深川岳志 
「TVer（ティーバー）」は、2015年に始まった民放公式テレビ配信サービスです。見逃した番組を視聴することができます（注:全番組ではありません）。
テレビ番組の視聴は「テレビでリアルタイムに」から「Web配信でいつでも」の方向に舵を切った感があり、これからは電波ではなくインターネット回線を通じて視聴する機会が増えてくるでしょう。テレビ局もインターネットの影響力を大きくとらえ、従来の視聴率だけでなく、見逃し配信でテレビ番組を視聴している層の動向に注目しています。
そのような背景もあり、TVerは2022年4月1日に大きくリニューアルしました。
リアルタイム配信の開始
リニューアルの大きな目玉が、「リアルタイム配信」の開始です。いまのところ、全番組がリアルタイム配信に対応しているわけではなく、一部の人気番組を中心に対応が進んでいます。
地上波よりも40秒から1分半ほど遅延するので正確にはリアルタイムではないのですが、ほぼ即時と言っていいでしょう。注目すべきは、「追っかけ再生」にも対応していることです（注:追っかけ再生にはログインが必要です）。
「あ、しまった。5分過ぎてる！」
というような場合にも、5分遅れで番組冒頭から視聴を開始することができます。リアルタイム配信は、「日テレ系」「テレ朝系」「TBS系」「テレ東系」「フジ系」に分けて提供されています。
▲リアルタイム画面は「日テレ系」「テレ朝系」「TBS系」「テレ東系」「フジ系」にわかれている
ログイン機能により「続きから再生できる」
ログイン機能も、リニューアル後の新機能のひとつです。TVerはログインしない状態でも視聴できますが、「TVer ID」に登録すると、利用できる機能が増えます。
もっとも便利なのは「続きから再生」機能でしょう。
家でパソコンで観ていた番組の続きを外でスマホで見る、あるいは家の中で部屋を移動しても、タブレットなどにデバイスを切り替えて続きを見ることができます。
興味のあるものに「お気に入り」「あとでみる」などのチェックをつけておく機能がありますが、ログインすれば、このデータもほかの端末に引き継がれます。
また先に述べたように、ログインすれば、リアルタイム視聴における「おっかけ再生」も可能になります。課金されるわけではないので、「TVer ID」には登録しておくとよいでしょう。
▲ログインした状態であれば、番組の視聴で「続きから再生」を選ぶことができる
スマホだけの通知機能
スマホだけの限定機能も登場しました。
リアルタイム視聴番組の場合、予定表にあるマークをタップしておくと、開始前に通知が来ます。これで見逃しを防ぐことができますね。
なお、この設定をするためには、あらかじめ「設定」の中の「ティーバ－」で通知を許可しておく必要があります。
▲見たいリアルタイム視聴番組の通知ボタンをタップして通知を設定する
ローカル局のコンテンツを全国配信
最初は放送エリアのみ視聴可能だったローカル局コンテンツですが、現在は全国配信に対応しています。たとえば、以前は千葉テレビは千葉以外に埼玉県、栃木県、東京都の一部でしか視聴できませんでしたが、現在はTVerを使えば、全国どこからでも視聴できます。
自分の好きなアイドルや俳優が、ローカル局のコンテンツに出ているといった状況はよくあります。ふつうのテレビではエリア違いで視聴することができないため、TVerでローカル局のコンテンツが観られるようになったことは、大きなアドバンテージといっていいでしょう（注:番組によっては非対応の場合もあります）。
▲千葉テレビの「白黒アンジャッシュ」もTVerに対応している
特別編成の番組もある
TVerでは、さまざまな特集番組を見ることができます。
たとえば、「名作ドラマ特集」。2023年冬期ドラマの看板のひとつである関西テレビの「罠の戦争」は、放送前にシリーズの前作である「銭の戦争」「嘘の戦争」が、各局によって再放送されました。テレビの場合、毎日決まった時間に一回分ずつ放送されるわけですが、TVerでは一挙に全話を見ることが可能でした。
また、他のドラマも、基本は前回の放送後から次回の放送時間までが見逃し再生できるスケジュールですが、集客のため、特例として第一話から第三話までいつでも再生できるようにしているドラマもあります。古い時代の番組なども特集番組で特別配信することがあります。
▲一～三話が継続視聴できるドラマ特集
以上、TVerの便利な機能についてまとめてみました。
TVerは見逃した番組を視聴するだけのサービスかと思っていたら、いつの間にかリアルタイム配信を行ったり、昭和の時代の古い番組を拾い上げて特集するなど、総合的な放送番組に変貌を遂げていました。
放送中のドラマ特集のページをみると、現在放送中のすべてのドラマ番組の一覧を見ることができるなど、情報収集のツールとしても利用できそうです。
とくに複数の端末で情報がリレー式に伝わるのは便利です。ぜひご活用ください。
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