「海外に行ったときでも、現地で購入したプリペイドSIMカードを挿せばそのまま使える!」という点にも魅力を感じるSIMフリースマートフォン。
でもちょっと待って?よくよく考えたら、そもそもプリペイドSIMってそんなに簡単に買えるものなの?そもそも英語だって、そんなにしっかり話せないし……。
ちょうど先日、筆者は台湾に渡航し、現地でプリペイドSIMカードを購入する機会がありました。
そこで今回はSIMフリースマートフォンを海外で使うための基本ともいえる、海外現地でプリペイドSIMカードを購入する流れ(一例)を紹介します。
プリペイドSIMカードは空港や街中で購入する
今回例としてとりあげるのは、台湾でプリペイドSIMカードを購入した際の流れ。場所は台北・桃園国際空港です。
最近ではLCC(格安航空会社)も多く就航しており、どんどん身近に感じられるようになってきましたね。
筆者の住む仙台(仙台国際空港)でも、台北(桃園国際空港)との間でLCC便が就航。最近では安く、気軽に、足を運べるようになりました。
桃園国際空港(以下、桃園空港)では、隣接する二つのターミナルそれぞれに、旅行者向けのプリペイドSIMカード契約窓口が設置されています。
▲桃園空港・第一ターミナルの到着ロビーに設置されたSIMカード契約窓口
桃園空港では入国審査前に通過する入国前エリア、預け荷物を受け取った後に出る到着ロビーなど、複数箇所にて、プリペイドSIMカードを契約できる窓口を見つけられます。
場所により営業時間、契約できるキャリアは異なります。とくにこだわりがなければ、到着した時間で空いているキャリアの窓口へGO!でもよいでしょう。
各キャリアプランは一目瞭然
桃園空港で購入できる海外旅行者向けのプリペイドSIMカードは、どこのキャリアでも似たようなプラン内容でした。
主には計日型とよばれる料金体系で、一定額の通話無料分+◯日間データ通信使い放題という感じです。
▲台灣大哥大(Taiwan Mobile/たいわんもばいる)の料金プラン
▲遠傳電信(Far Eastone/ふぁーいーすとーん)の料金プラン
▲中華電信(Chunghwa Telecom/ちゅうかでんしん)の料金プラン
例えば三つのキャリアいずれでも、Aの料金プランでは「100台湾ドル分の無料通話+3日間データ通信使い放題」という内容。ちなみにこれで料金は300台湾ドル(約1,200円)。筆者には正直かなり安く感じられましたが、いかがでしょうか?
海外での“契約手続き”と聞くと「難しい話を英語で伝えるのは無理…..」なんて人もいるはず。筆者も英語は得意でなく、単語中心で意思を伝えますが(笑)、上記の料金プランであれば、例えば「Aプラン、プリーズ」などと言うだけでも理解してもらえますよ。
窓口が閉まっていたら?
なおフライトの都合により、到着した時刻には窓口がどこも閉まっていて契約できなかった、なんて場合もあるかもしれませんね。
空港でプリペイドSIMカードが契約できなかった場合、台北では街中にある携帯キャリアショップでもプリペイドSIMカードは購入できます。
▲地下鉄の台北駅構内に見つけた遠傳電信のキャリアショップ
ここで注意したいのは、空港と街中のお店では、契約できる料金プランが異なるということ。街中のお店で契約できるのは主に計両型と呼ばれる料金プランで「180日間、◯GBまでデータ通信可能」のような内容になっています。
また海外から訪れた人も多く行き交う空港とは異なり、街中のお店では英語すら通じないといった場合も。台湾旅行が初めての方は、できるだけ空港内でプリペイドSIMカードを契約してしまうことがオススメですね。
ちなみに台湾に限れば、今夏より羽田空港や成田空港など国内の主要国際空港において、出国前に台湾のプリペイドSIMカードを購入することも可能になっています。(詳しくはこちらのページをご確認ください。)
出国前に時間に余裕がある場合には、日本の空港であらかじめSIMカードを契約してしまえば、安心ですね。
プリペイドSIMカード購入のながれ
今回筆者はさきほど紹介した三つキャリアのうち、台灣大哥大(以下、台湾モバイル)でプリペイドSIMカードを購入してみることに。
旅程が2泊3日だったので、契約は「料金プランA」にしました。窓口の方に「Aプラン、プリーズ」と伝えます。
「大丈夫か?」と心配に思う適当な英語ですが、窓口の方も慣れているのか「OK!Passport please.(わかりました。パスポートを見せてください)」と返事をしてくれましたよ(汗)。
パスポートを手渡し、記載内容の確認とコピーを終えると、申込書類に「名前(①)」「生年月日(②)」「パスポートと同じ内容で署名(③)」の記入を求められました。
▲実際に記入した用紙。英語で書くのか迷ったら「イングリッシュ?」などと聞いてみましょう
記入した用紙を渡すと、続いて「SIMカードの差し替え、APNの設定は店頭でおこなっていくか?」と聞かれました。ここで「はい」と答えると、動作確認までの一連の流れをおまかせすることも可能です。
今回はこの後の移動のスケジュールが詰まっていたので、後ほど自分でおこなうことに。「I can do it myself.(自分でできます)」と伝え、最後に代金を支払いました。
今回利用した桃園空港の契約窓口では、キャリアによってはクレジットカードが使える場合もありますが、支払い方法は現金が基本。より確実に契約を済ませたいのであれば、出国前や海外到着後の空港内などで、あらかじめ余裕を持った両替をしておきましょう。
SIMカード購入時、他にこんなこと聞かれるかも?
なおこれまでも台湾には何度か渡航経験がある筆者。過去にプリペイドSIMカードを購入契約した際に窓口で聞かれたことも紹介しておきます。
それぞれ少し詳しく補足も書いておきますので、参考にしてみてください。
- 使っているスマホはSIMフリーモデルか?
- 購入したいSIMカードの大きさは?(標準SIM/マイクロSIM/ナノSIM)
- パスポート以外に身分証明書はあるか?
- 設定はココ(店頭)でおこなっていくか?
- SIMカードトレイを取り出すためのピンは持っているか?
使っているスマホ(機種)のことを確認しておこう
海外でプリペイドSIMカードを購入して使う場合には、そもそもセットで使うスマートフォンなどの機器がSIMフリー仕様であることが最低条件となります。
また厳密には「SIMフリースマホだからどのSIMカードでも使える」というわけでもありません。スマホ(機種)が対応する通信方式・周波数といった条件がマッチしないと、たとえSIMフリースマホであっても、海外で購入したプリペイドSIMカードは使えません。
このあたりにあまり自信が無い……ということであれば、プリペイドSIMカードを契約する際に、使っているスマホのスペック情報も印刷するなどして携帯しておきましょう。
▲このあと例として使う「ASUS ZenFone 3」の製品ページに書かれた情報
メーカーの製品ページから通信方式・周波数について書かれた部分を印刷しておき、プリペイドSIMカード契約時にスマホと一緒に見せるだけでも、契約後に使えるかどうか判断してもらえるでしょう。
SIMカードのサイズについて
購入するSIMカードのサイズについては、海外では、使うサイズに合わせて自分で切り取れるタイプの台紙も多く見かけます。そのため店頭で設定までお願いした場合を除けば、聞かれない場合もあることでしょう。
提示する書類について
契約する窓口やキャリアによっては、パスポートの他に身分証明として使える書類等の提示を求められることも。
過去には顔写真付きの身分証明書として日本の運転免許証を使った経験があるほか、飛行機のチケット半券が使えたことも。また入国審査時に提出する入国書類(入国カード)で代用できたという話も耳にしたことがありますね。
SIMカードトレイ取り出しピンは窓口で借りられる
設定は自分でできれば窓口でせずともOK……ですが、もしSIMカードトレイを取り出すためのピンを持っていなければ、手続きも含めて窓口で済ませてしまいましょう。
ピンは窓口でお願いすれば貸してもらえます。またスマホごと預けて、設定も含めてお願いする方法もあります。
少なくとも空港に設置された旅行者向け窓口では、こちらから断らないかぎり、窓口の人が設定をしてくれる流れになることがほとんどです。自分で設定するのに不安があったり、ピンを持っていない場合は、好意に甘えてお願いするのがよいかもしれませんね。
購入したプリペイドSIMカードのパッケージを紹介
下の写真は今回実際に購入したプリペイドSIMカードのパッケージです。赤枠の部分にSIMカードに割り当てられた電話番号も記載されています。
▲台湾モバイルのプリペイドSIMカードパッケージ
パッケージは簡単な冊子になっており、使い方などの説明が記載されています。ただし表記は中国語および英語のみ。
とはいえ画像つきで解説されている箇所もあり、データ通信を使うための最低限の初期設定だけならなんとかなります。
▲英語が読めれば何とか理解はできる
▲データ通信をおこなうために必要なAPN設定の説明ページ
▲画像付きで説明されており、わかりやすかった
SIMカードは必要なサイズにあわせて自分で切り取れるタイプの台紙でした。
▲SIMカードの台紙
APN設定をおこなう
ここからは入手したプリペイドSIMカードを用い、SIMフリースマホでデータ通信をおこなうための初期設定(APN設定)手順。
今回はBIGLOBEモバイルでも取扱いのあるAndroidスマホ「ASUS ZenFone 3」を例に紹介します。
まずは台紙から、必要なサイズにあわせてSIMカードを切り取ります。
▲赤枠が標準SIM、緑枠がマイクロSIM、青枠がナノSIM
▲今回はZenFone 3のSIMカードスロット2に差すので、ナノSIMサイズで切り取り
使う機種によってはSIMカードトレイの取り出しにピンが必要な場合も。プリペイドSIMカードにピンは付属していないので、あらかじめ旅行荷物に入れておきたいですね。ピンを忘れてしまったときは、安全ピンで代用することもひとつの方法です。
▲ピンでトレイを取り出し、切り取ったカードを差し込む
SIMカードを差したら、スマホの電源をオン。まずは設定画面を開きます。
続いて[もっと見る]→[モバイルネットワーク]の順番に選択。
▲[もっと見る]を選ぶ
▲[モバイルネットワーク]を選ぶ
設定するSIMカードスロット(SIM 2)を選び、[アクセスポイント名]を開きます。
▲SIMカードスロットが一つのみの場合は、そのまま[アクセスポイント名]を選択
するとプリペイドSIMカード受け取りの際に「これを使って下さい」と説明されていたAPN情報(Internet)があらかじめ登録されていました。チェックを付けます。
▲指定されていた[Internet]を選ぶ
すると数秒待った後、早速ネットワークに接続できましたよ。あとはスマホ単体で、自由にインターネットが利用できます。
万が一SIMカードを差しても選ぶべきAPN情報が出てこない場合は、手動で情報を入力・設定する必要があります。手順はパッケージに記載されているほか、日本でSIMフリースマホに格安SIMを差して使う場合の初期設定とも大きく変わりません。
必要に応じて以下の記事も参考にしてみてください。
ネットワークに接続した直後にはSMSでメッセージが届くことも。内容はプロモーションから契約内容に関することまで様々。参考までに今回使う中で受信した内容も紹介しておきますね。
▲回線の開通とプロモーション(翌月23日までに指定の番号にダイヤルすると最大15台湾ドルの無料通話をプレゼントという内容)を通知する内容
▲プリペイドSIMカードの利用期限を通知する内容。上では「9月28日の19時55分まで利用可能。それ以降は再契約の必要あり」と記載されている
さいごに
今回は台湾でのプリペイドSIMカードを例に、海外現地でプリペイドSIMカードを購入し、SIMフリースマホで使用するための流れを紹介しました。
プリペイドSIMカードを購入できる場所は渡航先によって空港であったり、街中であったりと様々。ただ今回の内容を知っておけば「購入時にどんな情報を求められるのか」「購入後はどうやって使えるようにすればよいのか」がなんとなく理解できるのではないでしょうか。
海外でもSIMカードを差し替えるだけで、いつものスマホがそのまま使えることはSIMフリースマホならではのメリットです。
これからSIMフリースマホの購入を考えている人、あるいはすでに使用中で近く海外を訪れる予定のある人はぜひ、参考にしてみてくださいね。
※本記事の内容は、2017年10月24日現在の情報です。