ハイエンドのスマートフォンだけでなく、普及価格帯の端末でも珍しくなくなった「ノッチ(切り抜き)」や狭額縁のディスプレイ。実際にどんなメリットがあるのか、改めておさらいしましょう。
改めて「ノッチ」とは
結論から言うと、インカメラが邪魔なんです——。
スマートフォンのディスプレイの表示領域を最大化しつつ、インカメラをどこに配置するのかというのは、メーカーを悩ませる問題。これを解決するために、これまで各社は様々なチャレンジをしてきました。
例えば、端末の上部がウィーンとスライドしてカメラが現れたり、背面カメラがぐるっと回ってインカメラ代わりになったり、ディスプレイの裏にカメラが隠されていたり……。こうした努力のうち、早期に登場し、かつ最も堅実なものが「ノッチ(切り込み)」でした。
スマートフォンのディスプレイに「ノッチ(切り込み)」が搭載され始めたのは、2017年頃のこと。
ベゼル(画面周囲の枠)を減らして「ほぼ全画面」なディスプレイを売りにした「Galaxy S8」や、初のノッチ搭載端末と言われる「Essential Phone」、iPhoneシリーズとして初めてノッチを搭載した「iPhone X」などが登場したのが、同年のことでした。
最初は、ハイエンドのスマートフォンを中心に、端末サイズをキープしたまま大画面を実現するために採用されたノッチですが、時間とともにミッドレンジやエントリーの価格帯でもこれを採用した端末が増えてきました。
ちなみに、同じノッチにもいくつかのタイプがあり、メーカーや製品によって形状が異なります。
特にノッチが小さいものは、「水滴型」や「しずく型」などと言われることもあり、現状、多くの端末はこれを採用しています。例えば、SIMフリースマホならば、「OPPO Reno 3 A」や「Mi Note 10 Lite」などを見るとこのタイプがわかるかと思います。
▲BIGLOBEモバイルの端末一覧ページより
さらに、現在では、ディスプレイに穴を空けたような「パンチホール型」のインカメラも増えてきていますね。こちらはSIMフリースマホなら「moto g PRO」良い例でしょう。
「ノッチ」のメリット
ノッチがあることでの最大のメリットは、端末のサイズ感をコンパクトに保ったまま、ディスプレイを大きくできることでしょう。
先に挙げた「OPPO Reno 3 A」は、3万円代でありながら、6.44インチの大画面を備えています。
ノッチがない頃の6インチ端末は、相当大きく感じる一方で、今よりもディスプレイが占める割合が大きくありませんでした。
例えば、ノッチを備えない「iPhone 8 Plus」などは、大型端末でも、実はディスプレイサイズが5.5インチしかありません。比較的コンパクトなサイズでありながらも、表示領域の広い5〜6インチ以上の端末が増えたのは、ノッチをはじめとするインカメラ配置の工夫の産物と言えるでしょう。
こうした構造がもたらす体験としては、動画を視聴している際により表示領域が広がって、没入感が向上することや、ブラウジングやゲームでより広くディスプレイを使えることが挙げられます。
もちろん、ノッチがあることで、動画や写真の一部が表示できず欠けてしまうという現象は当然起こるのですが、先述の水滴型やしずく型ノッチならば、こうしたデメリットも最小限に抑えられるでしょう。
また、ノッチが大きい端末だからといって、デメリットばかりではありません。その広がったスペース分、インカメラやセンサー類が強化されていることもあるからです。もし該当する端末を見かけた際には、インカメラで超広角撮影ができたり、顔認証用のセンサーが整っているかどうか、チェックしてみると良いかもしれません。