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5G(第5世代移動通信システム)とは?わかりやすく解説!

5G(第5世代移動通信システム)とは?わかりやすく解説!

5Gとは?

5Gとは、新しいモバイル通信技術です。最初の移動電話で使われていた技術から数えて、5世代目の技術なので「5th Generation」の頭文字をとって「ファイブジー」と呼ばれています。

日本の携帯電話キャリアのうち、NTTドコモ、au(KDDIと沖縄セルラー)、ソフトバンクはそれぞれ2020年3月中に5Gサービスを開始。新規参入した楽天モバイルも2020年6月に5Gサービスをスタートする方針を示しています。いずれのキャリアも当初は限られた場所でしか5Gが使えない状態となっています。

 

ちなみに、よくWi-Fiの「5GHz」と混同されますが、これは「5GHz帯」という周波数帯を指す言葉で、モバイル通信の5Gとは別物です。

 

モバイル通信は、スマホと「基地局」が情報をやり取りするため、全国で使えるようにするには、全国で基地局を展開していく必要があります。

 

今のスマホで主力の通信技術「4G LTE」は日本では2010年にNTTドコモがスタートし、2012年には各キャリアで利用できるようになりました。携帯キャリアは4G LTEの普及期には、前世代の3Gと併用しながら、徐々に4G LTEが使えるエリアを広げていきました。5Gもそれと同じように、時間をかけて全国で使えるようになっていきます。

5Gを使うには、5G対応のスマホが必要

5G通信には、基地局とスマホの両方が5Gに対応する必要があります。

つまり、5Gスマホを購入して、携帯電話会社で5G対応の料金プランを契約する必要があるのです。

 

2020年の初めに販売される初期の5Gスマホのラインナップは、高性能で価格も7万円~10万円前後のスマホが中心ですが、今後は5G対応のスマホも安くなってくると見込まれています。

たとえば、スマホメーカーのシャープは、今後2年以内に低価格なスマホにも5G通信機能を標準搭載すると表明しています。

▲シャープ製の5Gスマホ「AQUOS R5G」

 

初期の5Gスマホは、5Gと4G LTEの両方につながるようになっています。最初は混雑する場所などから5G対応エリアになり、それ以外の地域は今後2〜3年かけて徐々に5G対応エリアが広がっていきます。

 

やり取りするデータ量が多いため、5Gのエリア拡大は4G LTEよりも難しいとされています。筆者はNTTドコモの5Gスマホをサービス開始直前に試してみましたが、5Gの電波につながる地点から1m離れると5G通信できなくなるなど、まだ“どこでも使える”と言うには厳しい状況でした。

▲5Gにつながると4G LTEの数倍の速度で通信できますが、スタート時点では使える場所は限られています。

5Gで何が変わる?

5Gがスタートして最初の数年は、身近な存在になったスマホを中心に変化が起こっていくでしょう。たとえば、高画質な映画を一瞬でダウンロードして手軽に鑑賞できるようになったり、出張先からスマホの通信を使って高精細なテレビ会議ができるようになったりします。

 

5Gが全国で使えるようになるおよそ3〜5年後から、私たちの身の回りの生活でも大きな変化が起きるようになると言われています。

 

たとえば自動運転が実用化されて、「スマホで無人タクシーを手配して、運転せずに目的地へ行く」といった生活が当たり前のものになるかもしれません。

完全な自動運転が実現すれば、車の中で過ごす時間は、今とは違うものになる可能性があります。車をミニシアターとして使って、映画を鑑賞したり、英会話のレッスンを受けたり、といったことも実現しそうです。

 

また、VR(バーチャル・リアリティ)の技術が進化していくと、遠くの観光地に実際に行ったかのような観光体験が楽しめるようになります。

 

たとえば、東京にいながらにしてパリの街を観光できるようになるかもしれません。パリの街に自分の“分身“になるロボットを歩かせて、視覚(カメラ)・嗅覚(匂いセンサー)・手ざわり(触覚センサー)といった感覚を東京にいながらにして感じる、といった「行かない観光」も身近な存在になってゆく可能性があります。

▲ANAは「アバターイン」という遠隔観光サービスを開発中です。

 

普段の生活の中では、家の中のさまざまなモノが5Gにつながる可能性もあります。

家自体が“スマートハウス”になれば、たとえば、住む人の体調変化を予測して、脳卒中で倒れたときには自動で救急車を呼ぶ機能が付くかもしれません。また、壁紙や床がディスプレイのようになって、一瞬で模様替えできるといったように、まるでSFのような生活が現実になる可能性もあります。

 

こうした生活を支える大量の通信に5Gを使えば、ひとつの通信契約で家中すべての機器をまとめて管理できるようになるとされています。

5Gの3つの特長

5Gの特長として「高速・大容量」、「低遅延」、「多数接続」という3つがあげられます。

 

1つ目の「高速・大容量」は、スマホのデータ通信が今の数倍〜数十倍の早さになるということです。たとえば動画やアプリを一瞬でダウンロードできるようになるなど、この特長はスマホを使っている人にとって特に重要なものです。

5Gではひとりひとりの通信がすぐ終わるため、1つの基地局に多くの人が同時にアクセスしても、4G LTEより多くの通信を扱えるようになります。これが「大容量」の意味です。

 

2つ目の特長「低遅延」は、基地局が反応を返すまでの時間(遅延)を削減できるという意味です。この特長は、いま世界中で開発が進んでいる「自動運転」で欠かせない要素になると期待されています。

自動運転では、ドライバーが標識を読みとったり周囲の車とウインカーでやり取りするように、自動運転車が標識や信号と通信したり、他の車と通信したりする必要があります。

この時の通信が少しでも遅れると動きに大きな差が出るため、5Gの低遅延性能が生かせるのです。

 

3つ目の「多数接続」は、携帯電話やスマホ以外の機器を一度にたくさんつなげるようにするもの。

たとえば工場で、数百個〜数千個のセンサーを1つの基地局につないで、さなざまなデータを集める用途などに使えるとされています。膨大なデータをAI技術で分析して、機器の故障を予知したり、工場の中のロボットがするべき作業をロボット自身で判断したりできるようになります。

 

この3つの特長のうち、高速・大容量はすぐに利用できますが、低遅延と多数接続については2020年時点では使えません。2022年頃から、生活の中で使われるシーンが増えてくると見られています。

5G対応の「格安SIM」も登場する?

今のスマホライフを支える選択肢の1つ「格安SIM」でも5Gは利用できるのでしょうか。

格安SIMサービスを手がける会社は「MVNO」と呼ばれる通信会社で、ドコモやau、ソフトバンクといった携帯キャリアの通信網を借りてサービスを提供しています。MVNOでは、2020年4月現在、3Gと4G LTEが対象です。

 

このため、5Gがスタートしてから当面は、日本で「5GのMVNO」が登場することはなさそうです。一方で、日本で通信行政を担当する総務省では、5G時代のMVNOについても仕組み作りの議論を進めており、今後1〜2年で登場する可能性が高そうです。

 

5G時代の格安SIMサービスからは、自前でネットワークを持つ携帯会社と同じようにように多彩なサービスを提供する「VMNO」と呼ばれる存在が登場する可能性があります。たとえば「ゲーム機に特化した通信を提供する格安SIM」など、個性的なサービスを用意する会社が増えそうです。
 

Contributor

石井徹

スマホにハマり100台以上購入。携帯電話専門のニュースサイトで記者を経験後フリーランスに。鉄道旅行好きで全国踏破が目標(残り2県)。ときどき料理男子。

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