最近のiPhoneシリーズで採用されている顔認証機能「Face ID」は、一瞬でロック解除や本人認証が行えて便利です。ただし、マスクを装着する機会が増えた昨今では、屋外における認証で使いづらく感じることも事実でした。
従来も、マスクで顔を半分ずつ隠した状態でFace IDを登録しておく手法で、マスクを付けたままFace IDを突破できることは知られていましたが(参考記事はこちら)、あくまで抜け道的な方法であって、メーカー公式で保証されたものではありませんでした。
しかし、2021年4月に配信されたiOS 14.5では、一定の条件を満たすことで、マスクを装着したままでもFace IDが利用できる機能が公式に追加されたのです。
目次
マスク装着時にFace IDを使うには
まず、マスクを付けたままFace IDで認証を行うためには、iOS 14.5以降を搭載したiPhoneと、watchOS 7.4以降を搭載したApple Watchが必要になります。残念ながら、Apple Watchがない場合、同機能は利用できません。
こうしたOSバージョンにアップデートした状態の両端末が用意できたら、iOS 14.5以降の「設定」アプリを起動し、「Face IDとパスコード」をタップします。
「Apple Watchでロック解除」という欄にスイッチが設けられているので、これを有効にしましょう。これでマスクを装着した状態でも、iPhoneのFace IDが利用できるようになります。
▲設定アプリの「Face IDとパスコード」をタップ。「〜のApple Watch」の横にあるスイッチをオンに。
▲Apple Watchが必要
ただし、この機能が有効になるには、(1)Apple Watchにパスコードでのロックがかけられており、(2)そのロックを外した状態で腕に装着しており、(3)iPhoneにApple Watchが接続された状態である——という複数の条件があります。
例えば、Apple Watchを一度外して、ウォッチ側にロックがかかった状態になると、マスク状態でFace IDを突破することはできなくなるわけです。
なお、「Apple Watchでロック解除」機能によって、Face IDの認証を突破できるのは、iPhoneを起動する際のロック解除のみです。Apple Payの支払いなど、厳重なセキュリティが求められる場面では、認証されません。
要するに、電車内等でスマホを起動する上では、毎度のロック解除が不要になって便利ですが、スーパーやコンビニのレジ前で決済を行う場合には、従来通りマスクを外す必要が出てきてしまうというわけです。
▲同機能をオンにしても、初回はパスコード入力が求められる
▲また、Apple Payでは使えず、パスコード入力など別の手段が提案される
セキュリティに関して知っておきたいこと
そのほかの注意点として、このロック解除方法を有効にすると、ロック解除の条件がApple Watchになるので、Face IDによる認証は行われなくなることがあります。
例えば、ユーザーが上述したApple Watchの条件を満たした状態で、iPhoneを放置している間に、第三者がマスクを付けるなど口元を隠した状態でiPhoneのロックを解除しようとしたら、画面ロックを突破されてしまうのです。これは、同設定をオンにする際に、警告文として表示されます。
ただし、Apple Watchを使って画面ロックが解除された場合には、Apple Watchに通知が届きます。ウォッチに表示されたその通知画面から再度iPhoneをロックする操作が行えるようになっていますので、意図せぬロック解除が行われた場合には、手元で対応が可能です。なお、再ロックをした場合、パスコード入力が行われないとFace IDがオンになりません。
▲Apple Watchを認証に使ってロックを解除すると、振動と共に、ウォッチ画面に通知が表示される仕組みだ。不審な場合は、「iPhoneをロック」をタップすると再ロックが可能
Apple Payで使えないなど、一部の制限は残っていますが、外出時の顔認証の手間にうんざりしている人にとっては便利な機能に間違いありません。Face ID対応のiPhoneとApple Watchを持っている人は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。