2017年7月に発売された、富士通のSIMフリースマホ「arrows M04」。
頑丈な設計、おサイフケータイをはじめとする国内で人気の機能を詰め込みつつ、手ごろな価格を実現しています。
なんと石けんで洗っても大丈夫!など、丈夫さにも自信のあることがわかる、細部に魅力を感じられる1台ですよ。
今回は実際に使って感じた富士通「arrows M04」の特徴を紹介していきます。
どんな人にオススメできるスマホか、という観点でもチェックしていますので、ぜひご確認ください。
目次
細部に宿る安心感。丈夫さがウリのデザイン設計がすごい
arrows M04には一部のMVNO(格安SIM事業者)向けに用意される限定色も含め、全5色のカラーラインナップが用意されています。
このうち今回見ていくのはブラックです。
本体は適度に角を残した長方形にも近い、シンプルデザイン。
ホームや戻る、アプリ履歴といった基本操作キー(ナビゲーションキー)は画面内に表示されます。
側面から背面は金属素材が使われており、見た目から頑丈さを感じられます。
金属の表面にはキズや指紋の付着をおさえるフッ素系のコーティングが施され、質感はサラサラとザラザラをともに感じる不思議な仕上がりです。
搭載する画面のサイズは5インチと現行品の中では標準~やや小ぶり。
手に持つと、前述の「サラサラとザラザラを感じる不思議な質感」がちょうどよく滑り止めとなり、思いのほか持ちやすく感じます。
そしてパッと見は非常にシンプルなデザインのarrows M04ですが、細部には“堅牢性”を意識した工夫も見られます。
例えば画面にはコーニング社のゴリラガラスと呼ばれる、傷がつきにくい特殊ガラスを使用。
さらにガラスへの傷付きを防ぐ工夫として、前面周囲の金属枠がすこし高く作られています。
金属枠に高さをもたせることで、機種本体を伏せておいた際にも画面が直接当たることがありません。
万が一落としてしまった際にも、画面が地面に直接ぶつかる可能性が下がる、というわけですね。
側面もいかにも“頑丈そう”な雰囲気が伝わってくるデザイン。
内部にはステンレス製のフレームも組み込まれており、不意にかかった力で「本体が曲がる」「本体が歪む」といった事態を防ぎます。
さらにarrows M04は防塵防水性能も持っています。
JIS規格では防塵等級・防水等級ともに最上位となるIP68(およびIP65)相当の性能で、雨による水濡れはもちろん、落としてちょっとのあいだ水に沈んでしまっても耐えられる内容です。
でもこれだけではありません。単純な水濡れだけでなく、食器用や手洗い用の石鹸で洗うこともできるんですよね。
先に書いたIP68などの防水基準はあくまで真水を前提としてのもの。
それ以上の防水性能は「実際に使えた」としても、メーカー側が「大丈夫、使えます」と保証するのは珍しいケース。
それくらい、arrows M04はメーカーが自信を持つ頑丈さというわけです。
「スマホを石鹸で洗う場面が想像できない」人もいるかもしれませんが、例えば小さな子供がいる家庭では、ちょっと目を話したスキにスマホがおもちゃになり、よだれでベタベタ……なんてシーンは起こりえます。
小さな子どもが口にくわえることも想定すれば、衛生的にはしっかり洗って使えると安心ですよね。
こういったニーズにもオススメできる作りとなっています。
arrows M04では他にも、アメリカの軍隊が使用する備品の調達基準として定められたMIL規格(みるきかく)において23の項目を満たします。
落下や衝撃、湿度、風雨、高温保管などにも耐えられる設計です。
「金属フレームだから頑丈」なんてざっくりしたものではなく、様々な観点で見ても頑丈であることがわかるスマートフォンとなっています。
機能と使い勝手
スマートフォンを性能別に上から「ハイエンド」「ミドルレンジ」「ローエンド」の3種類に分類すると、arrows M04が分類されるのは「ローエンド」あるいは「ミドルレンジ」。
処理性能という意味では、他の最新モデルと比べると、正直決して優れた内容とはいえません。
とはいえウェブページを閲覧する、メールを見る・送る、SNSを楽しむといった負荷の低い使い方なら、大きくストレスを感じることはないでしょう。
ストレスを感じやすい使い方の例をあげるとゲームアプリでしょうか。
とくに常に画面の表示内容が動き続けるアクション系のゲームなどでは、動作がカクカクしてしまうことも多いでしょう。
いろいろ試した中では、表示と動きがシンプルなパズルゲーム程度なら、遊んでいてもそれほどストレスは感じませんでした。
もしゲームを目いっぱい楽しむこともスマホを持つ目的であれば、もう少し性能の高い別の機種を選ぶことをオススメしますね。
ワンセグやおサイフケータイに対応
一方で処理性能の代わりにarrows M04が備える魅力となるのが、国内向けに人気のある機能をひととおり網羅していること。
先に紹介した防水はもちろん、代表的なものとしてほかにもワンセグ、おサイフケータイ、ストラップホールなどが挙げられます。
ワンセグは機種単体でもそこそこ安定して視聴が可能。
また映像が乱れる場合は、内蔵アンテナを伸ばして使うこともできますよ。
アンテナの角度を変えられないことはやや気になりましたが、ワンセグを見るために外付けアンテナを持ち歩かなくてもよい点は便利。
非常時にも心強い存在となりそうです。
SIMフリースマホとしては比較的珍しいおサイフケータイ機能も搭載。
センサーは背面上部に配置されています。こちらも自然にタッチしやすい場所ですね。
また下面の右側にはストラップホールも。
本体もかなり頑丈なつくりですが、ストラップホールもあわせて活用すれば、さらに安心して使うことができますね。
ここがポイント!独自のズーム機能やかんたん操作設定
またほかにも独自機能がいくつか見られます。
そのひとつが、読みたい箇所をいつでも拡大表示できる「いつでもズーム」機能。
最近はスマホ用に表示を最適化したウェブサイトが増えていますが、それゆえ“最適化済み=拡大不要”としてピンチアウト(2本の指で広げる)操作で拡大表示ができないことも多いです。
そんなときは画面下のナビゲーションキーにあるズームキーをタップしてみましょう。
するとピンチアウト操作で拡大できなかった画面も、かんたんに拡大表示が可能です。
下の写真は1枚目が拡大前、2枚目が拡大後。
1枚目の写真の赤枠部が2枚目の写真で画面いっぱいに広がっていることがわかりますね。
画面を元に戻したい場合も、再度ズームキーをタッチするだけと簡単。
さらには片手操作では手の届きにくい画面上部を下へ移動する、あるいは持ち手側(左右)に寄せるといった機能も。
場面に応じて表示位置を変えられるので、片手でも操作がしやすいですよ。
そのほか、基本的な画面表示サイズの変更、フォントサイズ(文字サイズ)の変更といった機能も揃っています。
また“電話としての機能をシンプルに使う”ための独自ホームアプリ「かんたんセット」も搭載。
大手キャリアが取り扱う年配者向けスマホのように、見やすくシンプルな表示にすることもできます。
そして“国内メーカーらしさ”をとくに感じるのがパッケージに含まれる内容物でしょう。
スマホ本体、充電器、充電ケーブルのほかに予備のSIMカードトレイ、そしてかなり細かく解説された説明書が2冊付属します。
説明書は画像つきなので、これを見ながら初めてのスマホにチャレンジしてみるのもよいでしょうね。
加えて有償ではあるものの、富士通独自のサービスとして、スマホが壊れた際に早急に新しいものと交換してもらえる「スピード交換サービス」、急に電源が入らなくなったなど万が一の際にも写真や電話帳などのデータを取り出してもらえる「データ復旧サービス」なども用意されています。
メーカー独自のサポートも手厚く用意されていることを考えると、離れて暮らすおじいちゃん・おばあちゃんに買ってあげるはじめてのスマホとして選ぶのもよさそうです。
気になるカメラの性能は?
カメラはスマホでもっともよく使う機能、といっても過言ではありません。
今回は背面搭載のメインカメラ、前面搭載のサブカメラ(自撮りカメラ)の両方をテストしてみました。
メインカメラはシンプル。価格相応の撮影性能
背面には1,310万画素のカメラを搭載。
フィルターをかけるなど、豊富な種類の撮影モードこそありませんが、静止画、連写、動画、パノラマ、QRコードと基本はきっちりおさえています。
ここからは実際に撮影した例を見ながら性能をチェックしてみましょう。
まずは晴れた日中に屋外で撮影した景色から。
撮影時、太陽は左側に。その背景の空と雲、右側の建物に設置された色とりどりの看板、そしてちょうど日陰になった左側の建物も自然な見た目で記録できました。
同じ景色をHDR機能をオンにして再度撮影。
パッと見でははっきりとした違いこそ感じませんが、全体的に雰囲気がやや明るくなった印象。
とはいえ思っていたより効果が確認できなかったので、HDR機能はこの後あらためてテストしてみることに。
次は雲がかかった日中に撮影した1枚。まずはHDRオフとしています。
全体的に雰囲気は出ており、中央に垂れ下がった「氷」旗の赤と青も自然な色合いに。
こちらをHDRオンで再び撮影してみましょう。
やはり大きく印象は変わらず……と思いきや、右側の木陰の中がはっきり確認できるようになりましたね。
自然さを損なわず、ほんのり、しかし確実に効果の出るHDR機能といったところでしょうか。
一方で少し物足りなさを感じたのは夜間の写真撮影。
雨天で濡れた道路の様子までしっかりと記録できたものの、空など暗い部分ではザラザラとしたノイズが目立ちました。
右上のビル窓枠も輪郭がややぼやけており、このあたりは価格相応の性能といえます。
色の再現能力を確認するため、屋外で花もいくつか撮影してみました。
こちらはいずれも細かい色味の変化まで記録できていますね。
それなりに明るい環境であれば、日陰での撮影においてもしっかり記録できます。
最後に食べ物もパシャリ。
光が差し込む窓際の席で撮影した写真ですが、やや白が強く写った印象。
もう少し赤みがかった暖色系に仕上がると、おいしそうな感じが増しそうですね。
というわけで、設定項目に見つけたホワイトバランス(WB)を少し調整し、再度撮影してみることに。
撮り直した写真がこちら。
全体的に赤みが増し、だいぶおいしそうに感じる写りになりました。
「食べ物モード」「料理モード」といった撮影機能がないため、色味は自分で調整する必要がありますが、使い方に慣れてくれば、食べ物もおいしそうに撮れそうです。
サブカメラは手軽かつ自然でキレイに撮れる
前面には500万画素のカメラを搭載。
おもに自撮りに使用するこちらのカメラには、被写体(人物)の顔を美顔補正するエフェクト機能が備わっています。
レベル0~8までの9段階でエフェクトのかかり方も調整が可能。
エフェクトのレベルを変えながら「レベル0(最小)」「レベル4(中間)」「レベル8(最大)」の3パターンで撮影してみました。
撮影後に写真を確認して真っ先に感じたのが「思いのほかキレイに撮れる」ということ。
正直そこまで期待をせず(ごめんなさい)試し始めたのですが、背景も含めて、ディテールから色味まで、よく撮れていると感心しました。
美顔補正に関しては、筆者の場合、レベルをあげるごとに肌のキメが整えられ、ヒゲの剃り跡も薄くなっていきましたね。
一方でレベル0とレベル8の写真(1枚目と3枚目)の写真を比べると、ほうれい線はやや浮き出た印象も。
肌のキメが均一に整えられた代わりに、色味に差のある箇所が浮き出てしまったように感じます。
このあたりは使う中で自分にとってのベストなレベルを見つけたいところ。
自撮りを試してみて他に魅力と感じたポイントが二つ。
まずは比較的コンパクトな本体サイズが片手でも持ちやすいということ。
手が小さい人でも、比較的ラクに持てる大きさです。
またもう一つが、目線をカメラに向けさせる工夫です。
初期設定ではシャッターにセルフタイマーがセットされていますが、タイマーの表示位置がカメラのすぐ横になっています。
セルフタイマーを使って自撮りを楽しむ場合、目線は自然と「残り◯秒」の場所にいきますよね。
そこを見ていればしっかりカメラ目線で撮影ができるしくみとなっていますよ。
いつもはまず1枚自撮りをしてから「そうだ、カメラを見ないと」と撮り直すことも多いのですが、今回は1枚目からしっかり、カメラ目線の写真が撮影できました。
地味ですが、とても便利な設計ですね。
どんな人にオススメしたいスマホ?
“国内メーカーが手がけるスマホ”でもあり安心感のあるarrows M04。
実際に使ってみると、処理性能は使い方によって物足りなさも感じる一方、「多少雑に扱っても大丈夫」と思える堅牢性、防水やおサイフケータイなどの機能を揃えた利便性には魅力が感じられました。
また筆者個人的には、シンプルながらも手軽に、そして自然に、キレイに記録できる自撮りカメラもぜひチェックしてみてほしいオススメ要素。
ゲームなどの娯楽用途より、日常生活で便利に使いたい。
とくにおサイフケータイや防水機能、ワンセグ機能を重視するのであれば、購入候補としてarrows M04を検討してみるのはよいと思いますよ。
また、離れて暮らすおじいちゃん、おばあちゃんへのプレゼントとしてもよいですね。
※本記事の内容は、2017年8月29日現在の情報です。