スマホのニュースサービスには無料のものと、サブスクリプション(月額課金)のものがあります。お金を支払って読む記事にはどんな付加価値があるのか、実際に試してみました。
実感できたのは、テーマの興味深さ、情報の信憑性、掘り下げの深さなどです。また、広告がないため、とても読みやすい画面構成になっています。
今回は、「Newspicks」「日経電子版」「Business Insider Japan」「Quartz Japan」「Slownews」という5つの経済系ニュースメディアを取り上げ、サブスクリプションの料金とその内容について比較していきたいと思います。
※記事内の金額はすべて税込で表記いたします。
目次
人と人がつながるソーシャル型経済ニュースサイト「Newspicks」
Newspicksはソーシャル型のオンライン経済メディアです。料金体系はサブスクリプションで、プレミアム会員は月額1,500円(年割プラン月額1,250円、学割プラン月額500円もあり)。イベント動画などが見放題になるアカデミア会員は月額5,000円です。30日間の無料体験期間があります。(2021年8月4日時点)
▲トップページ。Picks数によって人気がわかる。「+PICK」で自分でもコメントできる
NewsPicksはWebサイトでも読めますが、スマートフォン用に専用アプリを提供しています。
内容は国内外の最先端の経済ニュースが中心。さまざまなソースから経済ニュースをピックアップするほか、オリジナルニュースを提供しています。
ニュースを軸として人と人がつながる
NewsPicksで特徴的なのは、ソーシャル機能が充実していること。専門家や読者が記事に対して直接コメントできる機能が実装されており、コメントの数はPicksとして表示されます。必ずしもタイムラインに沿ってニュースを読む必要はなく、Picks数の多い記事を選んで読んでもいいでしょう。
▲記事を開くと画面下部にコメントの一部が表示される。タップするとコメント画面に移行する
記事に対するコメントに読み応えがあるという点もNewspicksの大きな特徴です。気に入ったコメントをした人をフォローし、その人がコメントをつけたニュースをたどっていく読み方も楽しいですね。
フィードを自分好みに調整していける
▲画面左上のメニューからフィード画面をカスタマイズできる
トップに表示されるフィード画面をカスタマイズする機能も充実しており、興味のあるカテゴリーを指定したり、キーワードやユーザーを指定できます。
日々の経済ニュースと膨大なアーカイブが役立つ「日経電子版」
次に紹介するのは、日本経済新聞の電子版です。大手メディアとしては、もっとも購読者が多い電子サービスで、読みやすさには定評があります。
▲トップページ。上部の設定メニューから文字の大きさや行間を指定できる
料金体系は月額4,277円のサブスクリプションで、読み放題となります。利用には、専用アプリを用います。ブラウザで読むこともできますが、スマートフォンで読むなら専用アプリを利用するほうが便利でしょう。一カ月の無料体験期間があります。
内容は経済中心ですが、政治、ビジネス、マーケット、テクノロジー、国際、オピニオン、スポーツ、社会・くらし、地域、文化、ライフなど、幅広い内容をカバーしています。
Myニュースで自分専用の画面を作る
日経電子版の有料登録者には「Myニュース」という便利な機能が提供されています。
▲「Myニュース」の設定画面。企業、業界、トピック、コラム、キーワードを指定できる
業界や企業を選んだり、個人的なキーワードを登録しておけば、関連ニュースをまとめて表示してくれます。また、役立ちそうな記事をテーマ別に分類して保存する機能もあります。
膨大なアーカイブを利用しよう
▲「葬式」を検索してみた。関連記事が時系列に並ぶ
過去11年分の膨大なアーカイブ記事を検索できるのも、日経新聞ならではのサービスといえるでしょう(それ以上遡りたい場合は、別途日経テレコンと契約することで可能です)。
企画案を考えるときなど、まずは日経電子版でキーワードを調べるのが有効です。短い時間で効率よく信憑性の高い情報に行き着くことができます。
グローバルな視点を身につけたい人向けのニュースサイト「Business Insider Japan」
Business Insider Japanは、政治、経済、金融、テクノロジー、企業戦略、スポーツなど幅広い分野のニュースを配信するビジネスニュースサイトです。
料金体系は、月額550円、年額5,500円のサブスクリプション。無料でもある程度の記事は読めますが、独自の深い記事を読むには有料登録が必要です。
▲トップページ。サブスクに登録すると「有料会員限定」記事が読める
「夕刊メルマガ」に登録すると、毎日メールマガジンが届きます。メールマガジン本体に記事はなく、気になるリンクをタップして、ブラウザで記事を読みます。
グローバルな経済記事をリアルタイムな翻訳で流しているところが魅力。日本発のオリジナル記事もあります。
サブスクで読めるBI PRME
▲読者からの質問に佐藤優が答える有料連載記事。
Business Insider Japanの有料会員になると、有料限定記事が読めるようになります。「BI PRME」と名づけられた有料記事の中には、「佐藤優さんのお悩み哲学相談」「浦上早苗のインサイド・チャイナ」といった読み応えのある連載が含まれています。
- Business Insider Japanの公式サイトはこちら
精選された記事を深く読み込むニュースレター「Quartz Japan」
Quartz Japanは、経済を中心に世界のニュースを流すニュースレターです。
▲火曜日の夕方の記事(メール)。英文と合わせて読むこともできる
料金体系はサブスクリプションで、月額プランだと1,000円、年額プランだと10,000円になります。
登録すると毎日、朝夕にメールが届きます。朝は7時半、夕方は17時です。
朝のメールは「今、世界で起きていること」。短い記事が網羅的に並びます。夕方のメールは、ニュースメールより深い考察記事や調査記事が掲載されます。通勤の帰路や寝る前に読むのに適した読み物です。
なお、夕方のメールは曜日ごとにテーマが設定されており、月曜日は「Next Startups」、火曜日は「Impact Economy」、水曜日は「Crossing the Borders」、木曜日は「Future of Work」、金曜日は「New Cool」というテーマに沿った深掘り記事が届きます。
Quartz Japanのニュースを読むのに特別なアプリは必要なく、メールアプリだけで完結します。
- Quartz Japanの公式サイトはこちら
活字派にうれしいノンフィクション作品の試し読みサイト「Slownews」
Slownewsは、Webサイトで各種受賞作や日本初の海外メディア翻訳記事や、時代を超えた作品、ノンフィクションや調査報道の長編記事を配信しています。他の経済系メディアと比べると、かなり異色な路線です。料金体系はサブスクリプションで、月額1,650円。
▲トップページ。下方向にスクロールしていく
▲縦読みも可能。
ノンフィクション作品は全部を公開するのではなく、その一部(約40ページ分)くらいを公開しています。雑誌の連載記事(「AERA」の「現代の肖像」など)やオリジナルの連載は全文公開です。
基本的に情報は活字、とくに書物から仕入れるという人にとっては、毎日、どんどん新しいお試しが読めるという意味で、貴重なメディアです。Slownewsで試し読み、気に入ったらそのまま書籍や電子書籍を購入して全文を読むという流れができます。
電子書籍には自分の興味のあるものしか視野に入らないという欠点がありますが、広い視野でさまざまな作品を紹介してくれるSlownewsは、その穴を埋めてくれる存在といっていいでしょう。
- Slownewsの公式サイトはこちら
それぞれのサービスを試してみて
最後に、それぞれ実際に試してみた感想を簡単にまとめてみます。
- 斬新な切り口の「NewsPicks」。ニュースを軸として人と人をつなげるソーシャル機能を持っている点が特徴。
- 「日経電子版」はすべての点においてそつがなく、調べ物に強い。
- 「Business Insider Japan」と「Quartz Japan」はグローバルな記事を深く素早く届ける点が強み。
- 「Slownews」は読書好きの方向き。調査報道にも力を入れており、硬派といえる。
それぞれお値段分の特徴は備えているので、お好みのサービスを選んでみてください。