規格がどんどん上がって速度が増しているWi-Fiルーター。
新しくて通信速度の速いものを買ったはずなのに、予想していたより速度が出ない──そう思ったことはないでしょうか。
もしかしたら、設置場所が良くないのかもしれません。
ここでは、Wi-Fiルーターの性能上、置くのに適さない場所と最適な設置場所を紹介します。
また、最適な場所に置いたのにいまひとつ速度が出ないという場合の対処法についてもお伝えしますよ。
目次
Wi-Fiルーターの電波の仕組みとは?
置き場所について考える前に、Wi-Fiルーターの電波の特性を知っておくと良いでしょう。
ここで取り上げていない状況でも判断できるようになるからです。
まず、Wi-Fiルーターの電波には、現在2.4GHz帯と5GHz帯、最近では6GHz帯の周波数も開放され、3種類の周波数帯が存在します。
とはいえ、6GHz帯を使えるのはWi-Fi 6E規格のみであり、電波のやり取りができるクライアント(スマホやPCなど)も少ないので、ここでは2.4GHz帯と5GHz帯のみにしぼって解説していきます。
2.4GHz帯はさまざまな家電に利用されており、Wi-Fiを搭載していなくても電子レンジやテレビなどから発射されています。
また、ワイヤレスマウスやキーボードには、2.4GHzワイヤレス通信を使ってPCと接続するものもあります。
そのため、2.4GHz帯のWi-Fiチャンネルは電波干渉を受けやすく混線しやすいというデメリットがあります。
とはいえ、障害物を避けられるため壁などの遮蔽物に強いので、2.4GHz帯で通信するWi-Fiルーターを1階に置いていても2階まで電波が届くなどメリットもあります。
5GHz帯は超高速ですし、家電では利用されていないため、電波干渉が少ないといったメリットがあります。
しかし、直進性が強く壁などの遮蔽物があると電波が弱くなるというデメリットがあります。
そのため、壁の多い家、フロアの分かれている家などでは通信が遅くなってしまうのです。
また、Wi-Fiルーターが発している電波どちらの周波数帯でも平面上に飛んでいるのではなく、Wi-Fiルーターを中心に360度の方向、つまり球状に飛んでいます。
さらに、電波はどちらの周波数帯であっても水に吸収されやすいという特性があります。
これらの特徴を考えると、どこに置いてはいけないかがなんとなくわかってきますね。
▲電波はWi-Fiルーターを中心に360度の方向へ飛んでいる
Wi-Fiルーターはここに置いちゃダメ!
ではまず、設置に不適切な場所から見ていきましょう。
電子レンジなど家電のそば
電子レンジやテレビ、エアコン、掃除機などはWi-Fiとつながらないものであっても稼働時に電波を発します。
そのそばに置いてしまうと電波干渉を受けてしまい、通信が遅くなるだけでなく、Wi-Fiルーターの故障の原因にもなりかねません。
家電のそばに置かないように気をつけましょう。
金属や壁の近く
壁などの遮蔽物はたとえ木製であっても高速通信を可能にする5GHz帯の周波数の進行を妨げます。
2.4GHz帯であっても金属の近くでは速度を出すことができません。
金属は電波を吸収または反射しやすいからです。
壁につけるような形で設置しないようにしたいものです。
押し入れや棚の中
生活感を出したくない、ミニマリストに見せたいなどの理由で棚の中や場合によってはベンチチェストなどの中にWi-Fiルーターを設置する人がいます。
しかしそれもオススメできません。というのも、高速な5GHz帯の電波は障害物に弱いからです。
せっかく高規格の機器を買っても、これでは台無しです。
Wi-Fiルーターに限っていえば「見せる収納」を心がけましょう。
水槽や水回りの近く
水は電波を吸収します。
これは障害物を避けながら進む2.4GHz帯の周波数の電波であっても同じです。
Wi-Fiルーターとクライアントが水槽などで隔てられないようにしましょう。
また、水回り近くは、水が電波を吸収するというだけでなく、単に水がかかってWi-Fiルーターが故障してしまう危険性があります。
Wi-Fiルーターに水は厳禁と覚えておきたいですね。
窓際や床
Wi-Fiルーターから出る電波は球状に飛んでいきます。
床や窓際に設置すると、せっかく出力された電波の半分が家の外や地面に流れてしまいます。
それはとてももったいない話ではないでしょうか。また、家の外に飛んだ電波を傍受されてしまうと、セキュリティリスクも高まります。
これらのことから、窓際や床は設置に不適切だと考えられます。
▲窓の近くもルーターを置いてはいけない場所。電波が無駄になること、セキュリティリスクがあることのほか、紫外線による筐体の変色や、雨による故障のリスクがあります。
Wi-Fiルーターを置くならどこ?
では一体、どこに置けば良いのでしょうか。
家や部屋の中心
ずばり、家や部屋の中心であれば、電波を無駄なく利用でき、しかもどこにいても同じように安定した通信を行なうことができるでしょう。
例えば、ダイニングテーブルの隅、部屋のパーテーションとして置いてある飾り棚の上などが良いでしょう。
床から1~2mの高さの場所
床に置いてしまうと電波の半分が無駄になってしまうので、床から1~2mの高さになるよう台を置いて、その上に設置するのが望ましいでしょう。
コンセントの関係で、壁に近い場所であったとしても、家の中心に近いこと、床からの高さを確保することで通信速度を保てます。
2階がある場合は、2階に電波が届きやすくなるといった効果も期待できます。
▲壁に近いものの、床から150cmほどの高さの場所に設置したWi-Fiルーター
天井から吊り下げる!?
突飛かもしれませんが、室内の中央に設置するのが難しいのであれば、ペンダントライトのように天井から吊り下げるといった方法もあります。
電源コードは壁や天井を這わせるようにし、Wi-Fiルーターはワイヤーなどを使って吊るします。
天井にフックを取り付ける場合は石膏ボードのような柔らかい場所ではなく、梁が裏側に通っていることを確認してください。
そして落ちないよう万全の対策をしておきましょう。
頭上にあるのがイヤ、という場合は壁の高い場所にメッシュワイヤーのラックなどを取り付けて、そこに設置するのも良いでしょう。
その場合でも、外に接する壁ではなく、家の中心に近い壁なら、電波が無駄になりませんよ。
設置場所を変えたのに速度が出ないときの対処法は?
場所を変えたのに、通信速度が遅いという場合、周波数帯が固定されている可能性があります。
2.4GHz固定になっている場合は、5GHzに変更してみましょう。
もしかしたら、遮蔽物が多すぎて、あるいは距離が遠すぎて速度が出ないという場合もあります。
そもそも電波法でWi-Fiルーターの電波出力量は定められており、その量は10mW。
直線距離では100m~250mですが、実際には壁や家具などが障害となるのでそこまでの距離を飛ばすことはできません。
これを解決するには、電波をリレーする「中継機」を使うという方法があります。
最近では、メインとなるWi-Fiルーターに負担をかけない「メッシュWi-Fi」も登場しています。
接続台数に応じて合う方を選びたいものです。
同時接続台数が少ないのであれば、Wi-Fiルーターによっては搭載されている「ビームフォーミング」機能を活用するのも1つの手です。
Wi-Fiルーターが自動的に端末の場所を検知して、そこに向けて集中的に電波を発射します。
これにより、通信の安定性と速度の向上が見込めるというわけです。
周波数帯を変えられない、中継機やメッシュWi-Fiに対応していない、ビームフォーミング機能がない場合はどうすれば良いでしょうか。
新しいWi-Fiルーターに買い替えるという方法があります。
一時的にコストはかかりますが、日々、イライラすることなく、QOL(クオリティ・オブ・ライフ。生活の質)を上げられます。
そのための投資と考えてみてはどうでしょうか。
より快適なネット環境を手に入れるには?
Wi-Fiルーターが飛ばす無線通信には規格があり、現在の最新規格はWi-Fi 7(IEEE 802.11be)で、最大通信速度が36Gbps(3万6000Mbps)となっています。
国内で、Wi-Fi 7に対応したWi-Fiルーターは数えるほどしかありませんし、その1つ前の規格Wi-Fi 6E(Wi-Fi 6の拡張版)に対応した端末自体少ないのが現状です。
とはいえ、Wi-Fiルーターの性能が年々アップしていることに違いはありません。
そのため、見定めて選べば、今より快適なネット環境を手に入れられることでしょう。
でも、本当に快適なネット環境を手に入れたいのであれば、Wi-Fiルーターだけ買い換えればいいというわけではありません。
LANケーブルも対応したものを購入しましょう。
長い間使われてきたLANケーブルの通信規格は「100BASE-TX」というもので、最大通信速度が100Mbps。
現在では「ギガビット・イーサネット」と呼ばれる「1000BASE-T」規格(最大通信速度1Gbps)のものや「10G BASE-T」(最大通信速度10Gbps)、「40G BASE-T」(最大通信速度40Gbps)というLANケーブルも登場しています。
Wi-Fi 6(または6E)対応のWi-Fiルーターを購入するのであれば、合わせてLANケーブルもそれに対応する10G BASE-Tのものを購入しておきましょう。
さらに、通信速度を左右するインターネット回線選びも重要です。
混雑しがちなIPv4だけではなく、IPv6を利用できるインターネット回線業者を選べば通信速度が早くなるだけでなく安定します。
ネットに接続しているすべての端末にはIPアドレスが割り当てられており、その住所があるからこそ選んだ情報をブラウザ上に表示できるのですが、IPv4で作れるIPアドレスの数はわずか約43億個。
1人1台どころか、2台以上のスマートフォンやPCといった端末を使う現在、アドレスの数が枯渇してしまいます。
それに対して、IPv6では約340澗(かん。億、兆、京、垓、杼、穣、溝の次の位)個のIPアドレスを作れます。
これに対応することで、間違いなく通信することができ、混線もなくなる、というわけです。
今後のIPアドレス枯渇問題を乗り切りたいのであれば、「IPv6対応プロバイダー」を選ぶことがいかに重要かということがおわかりいただけたかと思います。
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ご自宅でのWi-Fi環境導入にはIPv6接続(IPoE方式)*1で最大10Gbps*2の「ビッグローブ光」がオススメです。
*1 IPv6に対応していないサービス/サイトはIPv4接続となります。
*2 最大通信速度は光回線タイプによって異なります。最大通信速度はお客さまのご利用機器、宅内配線、回線の混雑状況などにより低下します。
まとめ
Wi-Fiルーターが古くないはずなのに予想より速度が上がらないときは設置場所を見直すこと、また設置場所を変えても速度が上がらない場合はWi-Fiルーターの買い替えや付属するLANケーブルの見直し、さらにはインターネット通信事業者の乗り換えの検討も視野に入れるということについて解説してきました。
動画が切れる、オンライン会議で音声や映像が乱れるという状況はプチストレスの元。高速ネット通信で快適な毎日を送りたいものです。
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*1 IPv6に対応していないサービス/サイトはIPv4接続となります。