「◯◯Pay使えます」――QRコードと合わせてこんな文字の書いてある小さなスタンドをレジ脇で見たことはありませんか? これは、現金を使わない=キャッシュレスで支払いが可能なことを示すサインです。
以前は“キャッシュレス”といえば、クレジットカードまたはデビットカードと相場は決まっていましたが、最近ではスマートフォンのバーコード(またはQRコード)を表示したり、IC読み取り機にピッとタッチして支払いをするキャッシュレス決済が当たり前のものになってきました。
前編ではキャッシュレス決済ライフを送っているIT系ライターたちに、どんなものを使っているのか、いくらチャージしているのかなどについて語ってもらいました。後編ではキャッシュレス決済ライフで便利になったと思うことや、デメリットを感じた部分などについて赤裸々に語ってもらいます。
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目次
参加者紹介
松重明子さん(画面左)
ビールを嗜み、猫を愛で、読書する時間を至福と感じる日本史好きな三児の母。ウォーキングやストレッチなども好む健康的なITライター。
井上晃さん(画面中央)
フリーライター。スマートフォンやタブレット、スマートウォッチを中心に、多数の雑誌やWeb媒体向けにIT系記事を執筆する。
渡辺まりかさん(画面右)
デジタルガジェットをこよなく愛するフリーライター。小型船舶操縦士免許2級、乗馬5級、普通自動二輪免許取得など趣味多し。
いくら使ったかわかるから無駄遣いが減った!
編集部:前回は、みなさんが現金をほぼ使わない“キャッシュレスライフ”をされていることがうかがえましたが、そもそもキャッシュレスって便利ですか?
松重:「便利」というか、クレジットカードと違い、チャージしておくタイプのものを使っているからかもしれませんが、使いすぎを防げるし、紛失したときでも損害が少ない、という安心感がありますよね。まあ、スマホをなくしたら、それ自体が損失ですが(笑)。
それに、アプリ内にいくら使ったか、いつどこで使ったかという履歴が残るので、家計を管理するのに便利だと感じています。
井上:スマホひとつで出かけられるのは楽ですよね。支払いもスピーディーですし。キャッシュレス決済を利用するとポイントが貯まるので、そのポイントをキャリアの支払いに回せる、といったエコシステムが完成しているのもいいですよね。
もちろん、履歴が残ることや、無駄遣いが減ったことも大きなメリットだと感じています。
松重:身軽といえば、小さなお子さんがいるお母さんであれば、特にキャッシュレス決済のメリットを感じてもらえるんじゃないかなぁと思います。レジ前で、財布を出して、ポイントカードを探して、小銭を数えて……なんて、大変ですよね。
その点、うちの近所のスーパーのようにポイントカードも電子マネーもひとつのアプリにまとめられていると、いつも手に持っているスマホを見せるだけで済むので、本当に楽ですよ。独自アプリのあるスーパーがもっと増えればいいのになぁと思います。
編集部:いろいろなメリットがあるんですね。
井上:まだありますよ! 銀行まで行かなくても、手数料無料で口座から残高チャージと言う形で引き出せますし、コンビニまで行かなくてもガス代などの請求書払いができます。それに送金機能が付いているので、割り勘のときにどんぶり勘定にならず、1円単位でフェアに支払えることもありますね。
渡辺:現金で1円単位まで割ると、「うわぁ、ケチくさいなぁ」って思われますものね(笑)。
編集部:送金といえば、最近、子どものスマホにPayPayアプリをインストールしたので、出先で「お母さん、お金が足りないの!」というSOSが飛んできたときでも、すぐに送ってあげられるというのが便利だなぁと感じています。
一同:お母さんっ!
渡辺:もらったポイントを支払いに使わず、投資できる、というのもメリットのひとつかもしれませんね。自分で出したお金ではないので、減ってしまったとしても懐が痛まないというか。いつかは、ポイントを運用したお金だけで暮らせたら……と夢がふくらみますね。
編集部:まさに“しむぐらし”ですね。ケータイで生活まで支えるという意味で(笑)。
学校や病院で使えないというデメリット
編集部:逆に、デメリットだと感じること、ここは不便だと感じることはありますか。
井上:サービスダウン(アクセスが集中するなどしてサーバーが処理できなくなり利用不可になってしまうこと)で使えないことですかね。特に、キャンペーン初日にそういう事態が増えます。
松重:電波が通じなくても使えないですよね。
渡辺:スマホを落としたら使えないことでしょうか。……あ、これは現金も同じですね。
一同:(笑)
井上:災害時に使えないのもデメリットですよね。電波、電力などさまざまな要因が絡んでいるかとは思いますが。
松重:キャッシュレス決済が悪いわけではないんですが、病院や役所、それから学校関係の支払いに使えないのが不便だと感じますね。特に、普段、現金を使わない生活をしていると、「ええ、明日までに給食費、4,516円必要なの!?」とあわてて現金を用意しないといけなくなる。コンビニのATMに行って、1万円札を入れて、6,000円分チャージして、1,000円札を4枚ゲットするという裏技で乗り切ったこともあります。
編集部:確かに、学校関係などではキャッシュレスで決済できない場面が多いですね。
松重:それから、キャッシュレス決済についての連載を持たれていた井上さんは特に実感があると思いますが、種類が多すぎます。どれが自分に合っているのかなど、わかりづらいので、中立的な立場で「あなたにオススメのキャッシュレス決済は?」といったチャートを提供するサービスがあるとありがたいですね。
編集部:そういうサービスがあると、とっつきにくいと感じている人でも使い始められそうですね。
最後になりますが、みなさんがキャッシュレス決済に期待することは何かありますか?
松重:最近、「絶対に現金払いで!」と頑なにキャッシュレス決済を拒否していた近所のお寿司屋さんが、PayPayを導入したんです。同じように、官公庁や学校など、公共の側面が強い場所でもキャッシュレス決済が使えるよう、各サービス提供企業の営業さんには、もっと頑張ってもらいたいですね。
井上:そうですよね。現金を持ち歩かなくなったために好きなラーメンも食べられなくなったので(笑)、対応券売機が増えるように働きかけてもらえればなぁと。
渡辺:一部の牛丼チェーン店では、バーコードを読み込むタイプのものを使っていますし、キャッシュレス決済対応券売機なら、釣り銭が切れたから使えない、という機会損失も免れられそうですよね。
病院や役所でも、現金だとどうしても接触が避けられませんが、キャッシュレス決済なら誰にも何にも触れずにお金のやり取りができるので、今の時代にマッチしそうです。
松重:経済産業省でもキャッシュレス決済の拡大化を目指しているとのことなので、頑張ってもらいたいですよね。
井上:スマホのキャッシュレス決済は、クレジットカードを何らかの事情で持つことのできない人にとって便利ですし、特にQRを使ったものはFeliCaなどを搭載していない格安スマホでも使える。この便利さを知ってもらいたいですね。
編集部:今後、避けては通れないキャッシュレス決済ライフということですが、それによるメリットも多いということがよくわかりました。今回はお集まりくださいましてありがとうございました!