どれだけ速くタイピングができても、「ペンを使って紙に手書きしたい!」と考える人は多いことでしょう。「慣れ親しんだインプット方法だから」「なんか、手書きのほうが記憶に残るような気がするから」「高級文具が好き〜♡」など、理由はさまざまです。
とはいえ、紙に書いたものはなくしやすく、また溜まれば溜まるほどノートの保管に場所を取りますし、目的の情報を探しにくくなってしまう、という弱点があります。
手書きの良さを保ちつつ、デジタルのような使い勝手を兼ね備えたのが“デジアナ文具”というジャンルの製品。手書きしたものを見たまま保存するタイプのものもあれば、再利用しやすいテキストに変換するものまでさまざまです。
筆者が愛用しているデジアナ文具は、NeoLABのNeo smartpenシリーズ。Nノートと呼ばれる専用ノートにこれまた専用のNeo smartpenで書くことで、使い回しの利くデジタルに変換してくれるというものです。
過去にはこちらの記事でもご紹介しています。
▼デジアナ文具とは?Neo smartpen(ネオスマートペン)でノートをデジタル化してみた
そして、そこに新しく加わったのが「LAMY safari all black ncode スマートペン」(以下、LAMYスマートペン)。ドイツの高級筆記具メーカー LAMYとコラボした、所有欲を満たしてくれる製品です。
さて、使い勝手はどうでしょうか……?
目次
Neo smartpenの仕組みを解説
ところで皆さんは、マウスを使っていますか? マウスは、マウスパッドなど平面の上を移動させることで、センサー(昔々は、コロコロとしたボールでしたね)が移動した距離を読み取り、ディスプレイ上の任意の座標にマウスカーソルを動かしたり、選択したり、対象を操作したりすることができる入力装置です。
Neo smartpenの場合は、ペン先に近い箇所、紙に面する部分にごく小さなカメラセンサーを搭載しています。そして、専用ノートの上に筆記することで、Nノートに印刷されたNcodeと呼ばれる独特な極小パターンを読み取り、移動距離(座標)や筆圧といった筆跡情報を本体に記録していくことで、紙に書いたものをペン内にデジタルとして保存する仕組みになっています。
保存したものは、そのままでは使えません。では、どうするかというと、専用アプリ「NEO STUDIO」を利用します。
NEO STUDIOはiOSとAndroidで使えます。スマホやタブレットにインストールしたら、自分のNeo smartpenとペアリングして、データを転送。すると、NEO STUDIOの中で表示したり、編集したり、テキスト変換したりすることができるようになります。
転送したデータは、紙に書いたそのままの形で保存され、JPGやPNGといった画像ファイルとしてだけでなくPDFとしても保存可能。また、筆順を動画として保存することもできます。
テキストにも変換できるため、議事録、またはミーティング内容を手書きしておいて、後から変換したテキストをメールに添付したり、プレゼンテーションや資料のドキュメントなどの骨子にしたりなど、再利用が可能です。つまり、手書きというアナログな作業を、高効率なインプット作業に変えてくれるアイテムなのです。
LAMYならではの高級感をまとったLAMYスマートペン
LAMYスマートペンは、その仕組みをそのまま搭載したスマートペン。スマートペンというと、どうしても機能優先で、デザインがいまいちだったり、素材がチープだったりして、文房具好きの人たちから敬遠されていましたが、こちらは高級感が漂います。ハードタイプのNノートと合わせれば、ますます高級な雰囲気に。
▲こちらは、手書きしたスケジュールをそのままGoogleカレンダーやMicrosoft Outlookに転記可能なデジタルノート「N planner 2022」を合わせてみた写真。N planner 2022がハードカバーであること、またブラック×ブラックという組み合わせが高級感を醸し出します
これなら、文房具好きの人たちでも、抵抗感なく日常使いできるのではないでしょうか。とはいえ、本当に便利なのでしょうか?
手書き文字がテキストになる快感
LAMYスマートペンは、歴代のNeo smartpenと異なり、キャップを外して……ではなく、書き始めることで電源が入ります。つまり、普通のペンのように、何も考えずに普通のノートに書くように、Nノートに書いていくだけで良いのです。
その場でデータを転送しなくても、筆跡のデータはペン内部に保存されます。内蔵メモリーは16MB。A4用紙でおよそ30枚分に相当するので、1日の終りにまとめて転送するという使い方もありでしょう。
【動画】リアルタイムで同期
録音内容を一発頭出し
とはいえ、スマホアプリと連動させておけば、もっと便利に使えます。録音データと筆跡データをリンクさせられるのです。
LAMYスマートペンにマイクがあるわけではないので、実際の録音はスマホで行いますが、NEO STUDIOアプリで録音しながら、ペアリングしておいたLAMYスマートペンでNノートに書いていけば、保存後に、書いた文字をタップするだけで、その箇所の録音音声の頭出しが可能。何を話していたのか、より正確に知りたい場合などに便利でしょう。
【動画2】録音した音声と同時に再生
保存データをさまざまに活用
ペンのインクの色は黒オンリーですが、アプリを立ち上げていれば、データのインク色を変更することができます。また、保存したデータ内のいらない箇所を削除したり、逆に追加で書き込みをしたりすることも可能。もちろん、ほかのNeo smartpenでとったノートのように、保存形式を指定して画像やPDFとして、またテキストを書き出すことも。“書いて終わり”ではないデジタルのメリットを享受できますよ。
▲黒一色のペンでも、アプリ側で色を変えながら筆記できる
▲ノートの罫線に沿ってテキスト化することもできます(スマートテキスト変換)。囲み枠などもそのまま反映されるので、よりわかりやすいでしょう
【動画3】手書きデータを編集&有効活用
手元に過去のノートがなくても、スマホ1つで何冊分ものNノートに書いたものを参照できますし、手書き文字がテキスト化されているため、検索も簡単です。ただし、書いた人の文字のクセによっては正確性が低い可能性もあり。キーワードとなる文字だけはていねいに書いて、確実にテキスト化されるようにする、など対策をしておきましょう。
専用アプリのデザインも変化
LAMYスマートペンを接続すると、NEO STUDIOアプリのテーマが、LAMY特別仕様に変化します。小さなことではありますが、所有欲を満足させてくれる仕掛けがうれしいですね。
▲左が通常仕様のNEO STUDIOアプリ。右はLAMY特別仕様のテーマが適用されたもの
▲Galaxy Z Fold3を開いた状態でアプリを立ち上げた場合。別のデザインになっているのが地味にうれしい
まとめ
LAMYスマートペンは、歴代のNeo smartpenの使い勝手を改良しつつ、ユーザーにプレミアム感を与えてくれるNeo smartpenです。今まで、デジアナ文具の便利さは理解していても、そのチープさゆえに手を出せなかったというのであれば、ぜひ手に取ってみてもらいたいアイテムです。