2018年9月13日に発表され、21日に発売されたiPhone XS(「テンエス」と読みます)。
大きさは143.6(高さ)×70.9(幅)×7.7(厚さ)mm、ディスプレイサイズも、ダブルレンズのメインカメラもiPhone Xから変化がなく、「これだったら、買い替える必要ないかな」と考えている人も多いかと思います。
でも、よく調べてみると、とんでもない新機能が搭載されているようです。iPhone Xと比べ、どんな点が新しくなったのでしょうか?
まずはスペックの進化ポイントをおさらい
カメラはダブルレンズで同じに見えるが……?
5.8インチのSuper Retinaディスプレイは、XとXSともにどちらも数値上は全く同じ。メインカメラのレンズは12MP広角と望遠、サブカメラでは7MPのレンズを搭載。
動画撮影中に静止画をキャプチャできることや強力な手ぶれ補正があることなども同じですが、先進的な驚きの機能が搭載されました。詳しくは後述します。
スマートHDRって?
iPhoneのカメラ仕様について細かく見ていくと、iPhone Xでは「写真の自動HDR」となっているのに対し、iPhone XSでは「写真のスマートHDR」と表記。
スマートHDRになった事で、今までのHDR写真以上に明るい箇所が白飛びせず、暗い箇所から黒つぶれしないようシャッターを一度切るだけで明暗の違う複数の写真を撮影し、それらを目で見た印象のまま写真として残せるよう合成してくれます。
下は、左がiPhone Xで、右がiPhone XSで撮ったもの。暗部である、空の雲まで残しつつ、手前左下の看板が白飛びすることなく文字が読めるような写真になりました。
それぞれ上の写真をトリミングしたものがこちら。ビル最上階の照明の一つ一つの輪郭がはっきりとわかりますね。
ポートレートを撮るならiPhone XSが有利
顕著なのは人物の撮影。これまでだと、逆光下ではHDR撮影でもかなり顔が暗くなってしまいましたが、顔もしっかり明るく撮れるようになりました。
窓の外の背景と、室内の人物を同時に撮りたいときに便利ですよね。もちろん、夜景と人物の組み合わせもバッチリです。
全く同じ条件下で、写真を撮ってみました。左がiPhone Xで、右がiPhone XSです。
人物が明るく撮れている、というだけでなく、背景が色鮮やかであることや、ショーウィンドウが白飛びしていないことにも注目できるかと思います。
撮影後もボケをコントロールして思い通りの作品づくりを
また、iPhone Xでは「ポートレートモード」「ポートレートライティング(ベータ版)」となっていたものが、iPhone XSでは「進化したボケ効果と深度コントロールが使えるポートレートモード」「5つのエフェクトを備えたポートレートライティング(自然光、スタジオ照明、輪郭強調照明、ステージ照明、ステージ照明(モノ))」という正式版へ変更。
「深度」は被写界深度ともいいますが、写真に写っているものの奥行のことを指します。この深度情報を、ポートレートモードで撮影すればiPhone XSでは(簡易ではありますが)取得し、撮影済みの写真でコントロールし、ボケを自分好みにできるようになった、というわけです。
何気なく撮った写真でも、一眼レフで撮影したような作品に仕上げることができるとなれば、10万円超えでも買いたいと思う人がいるのもうなずけます。
ボケ具合だけでなく、ライティングも写真上で変更可能。iPhone Xのベータ版との違いを試してみるのもおもしろいかもしれませんね。
なお、この被写界深度情報を使って好みの場所にピントを合わせたり、照明を当てられたりする「Focos」というアプリがAppStoreでは大人気。iPhone XSを買ったなら、インストールしておきたいアプリの一つです。
機能性がアップしたのは、静止画周りだけではありません。iPhone XSでは、ビデオ撮影時にステレオ録音に対応できるようになりました。
実は表示がより美しくなったSuper Retinaディスプレイ
HDRコンテンツに対応した、とするiPhone XSのSuper Retina ディスプレイ。数値上での違いはありませんが、同じ写真を表示させると、ディテールの表現に変化が見られます。
下の写真は、どちらもiPhone XSで撮影した夜景。左がiPhone Xで、右がiPhone XSです。iPhone Xでは、真っ暗な空のようにしか見えませんが、iPhone XSでは、よく見ると雲があることがわかります。
iPhone XSは、写真を撮って作品に仕上げるだけでなく、見るのにも適しているというわけですね。
「予備電力機能付きエクスプレスカード」で不安を軽減
もうひとつ、iPhone使いとしてうれしいアップデートは、交通系ICカードが、今まで以上に使いやすくなったこと。新たに「予備電力機能付きエクスプレスカード」が搭載されたからです。
これは、iPhoneのバッテリーが充電を必要とする状態になってもiPhoneに登録したSuicaが使える機能。最大5時間まで、予備電力で改札を通ることができます。
利用には、Suicaをエクスプレスカードとして設定しておく必要があります。
使えるかどうかは、iPhoneの充電が必要な状態になってディスプレイの電源が落ちてから、iPhoneのサイドボタンを押し、「エクスプレスモードのカードが利用できます」と表示されるかどうかで確認できます。
ただし、何度も行うと予備電力が減ってしまい、いざという時に使えなくなってしまう可能性があるので、この確認はほどほどにしておいた方がよさそうです。
また、iPhoneの電源を強制的にオフにした場合も使えなくなってしまうので、バッテリーが切れそうになったら、iPhoneの使用を控えるとともに、電源オフの操作をしないように気を付けたいところです。
とはいえ、iPhoneでSuicaを使っている人にとって、「バッテリーが帰り着くまでになくなりそう」=「モバイルSuicaを使って電車に乗れない」だったため、これはかなりありがたい機能改善ではないでしょうか。
できればモバイルバッテリーも持ち歩きたいところですが。
アクティブな人に寄り添う防塵・防水性能
「Apple Special Event」(AppleによるiPhoneの発表会)で印象的だったのは、新しいiPhoneに、ビールらしきものをドバドバと注ぐシーン。
もちろんiPhone Xにも防塵・防水機能はありましたが、常温の真水以外に浸けようとは思わなかったのではないでしょうか?なんとiPhone XSでは防塵・防水性能としては最高のIP68と防水性能を備えたんです。
ちなみに、IPとは国際電気標準会議によって定められたInternational Protectionの頭文字をとったもの。「IP」のすぐ後ろの数字は防塵性能を、その次の数字は防水性能をあらわします。
それぞれ、最大の数字が「6」と「8」。「6」は「粉塵が中に入らない(耐塵形)」であることを、「8」は「継続的に水没しても内部に浸水することがない(水中形)」を意味します。
Appleでは、発表会で水中に落ちたiPhoneを潜って拾っているシーンを、紹介動画にはiPhoneを砂漠で利用しているシーンを挿入していました。
頭脳と記憶領域がアップグレード
頭脳ともいうべきチップはA11からA12へ。Appleでは、前モデルに比べ、グラフィックの処理が最大50%、基本処理が15%速くなり、消費電力は最大50%少なくなった、と説明。
バッテリーの駆動時間が、iPhone Xより最大で30分長くなったのは、そのおかげなのかもしれません。
選択できるストレージ容量の種類も増えました。iPhone Xでは64GB、256GBの2種類だったのに対し、iPhone XSでは512GBが新たに仲間入り。ラップトップPCと同程度のストレージを備えたことになります。
価格もPC並み。2018年11月7日現在、Apple Store価格で11万2,800円から15万2,800円(税別)。カバーをつけて、大切に大切に使いたくなるようなお値段ですね。
新色「ゴールド」が追加された!
新しいiPhone XSは、見た目が前モデルと変化がないと書きましたが、これまで「スペースグレイ」と「シルバー」のみだったカラーに「ゴールド」が追加されました。
ゴールドといっても、ギラギラとしておらず、どちらかというとiPhone 8までの人気色「ピンクゴールド」に似た色味。見た目の変化が欲しい人にとってだけでなく、ピンクゴールドファンにとってもうれしい追加でしょう。
アンテナ線が追加!スピーカーの穴は減少
細かいところでは、上下にそれぞれ1本ずつアンテナ線が追加され、合計4本になりました。そのぶん、Lightningコネクタまわりのスピーカーの穴が減らされています。
▲いずれも上がiPhone XSで、下がiPhone Xです。
少しだけ重くなった
また、若干重さが増しています。といってもiPhone Xが174gだったのに対し、iPhone XSは177g。カバーを付けたり、保護フィルムを貼ったりする人にとって3gは、ほぼ誤差のようなものかもれません。
まとめ
ぱっと見では分かりづらい、既存のiPhone Xと新しいiPhone XSの違い。でも、中身に大幅な変化があった、ということをおわかりいただけたのではないでしょうか。
今まではインドアの料理写真が多かった人も、iPhone XSを手にしたら、思う存分外に持ち出して、たくさんの思い出を残したくなるかもしれませんね。
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※本記事の内容は、2018年11月7日現在の情報です。