老若男女、誰もがインターネットを日常的に使っている現代。10年前にはまだ「お年寄りはインターネットなんて使わない」というイメージもあったかもしれませんが、時代は大きく変わりました。
スマートフォンを使っているお年寄りの姿を街中で当たり前に見るようになりましたし、自宅のパソコンでYouTubeを見たり、離れて暮らす家族とビデオ通話で話したりと、インターネットはシニア世代にとっても不可欠な存在となっています。
そんななかで新たな問題として浮かび上がっているのが、老人ホームのインターネット環境です。
最近はインターネット環境が整備されている施設もあるとは聞きますが、すべての老人ホームがそうではありません。これから入居を考えている方、あるいはご家族の入居先を探すにあたっては、Wi-Fi環境が整備されている施設を探したほうがいいのでしょうか。それとも、ほかに選択肢があるのでしょうか。
本記事では、老人ホームのインターネット事情について解説します。
目次
まずは施設のインターネット環境を確認しよう
まず最初に確認したいのが、すでに入居している、あるいは入居を検討している老人ホームのインターネット環境です。
冒頭でも書いたように、Wi-Fiに接続してインターネットを使える老人ホームも近頃は増えつつあります。入居者が家族と連絡したり動画を見たりできるだけでなく、施設側の業務の効率化にもつながるため、Wi-Fiを導入する老人ホームも出てきているようです。
入居者が使えるWi-Fiが提供されているならそれに越したことはありませんので、まずは老人ホームのホームページなどで設備を確認してみましょう。共用スペースでしか使えなかったり、有料だったりする場合もありますので、Wi-Fiが使える場所と料金のチェックもお忘れなく。
自分でインターネット環境を用意するには?
もし施設のWi-Fiが無料で、居室でも快適に使えるのであれば、それが最も手軽で経済的な方法だと言えます。
しかし、「共用スペースでしか使えない」「費用がかかる」「速度が遅い」「そもそもWi-Fiがない」といった場合には、自分でインターネット環境を用意しなければなりません。では、どのようにインターネット環境を確保すればいいのでしょうか。
入居先の老人ホームでインターネットを使う方法としては、主に以下の4つが考えられます。
方法A「ホームルーター」
居室でたくさんインターネットを使いたい人には、ホームルーターがおすすめです。
「置くだけWi-Fi」「コンセントWi-Fi」とも呼ばれる据え置き型のルーターで、自宅のインターネット回線のように使えるのが魅力。後述する方法よりも通信の安定性が高いため、居室で過ごす時間が長く、安定したインターネット環境で動画視聴やビデオ通話を楽しみたい人に適した選択肢です。
ホームルーターのメリット①「設定が簡単」
ルーターを使うにあたって、難しい設定はありません。契約さえしておけば、コンセントに挿すだけでインターネットを使えるようになるため、機械が苦手な方でも簡単に導入できます。
ホームルーターのメリット②「通信の安定性が高い」
バッテリーで駆動するモバイルルーターなどと比べて電源供給が安定しているため、通信も比較的安定しやすい傾向にあります。データ容量無制限のプランが多いのも魅力です。
ホームルーターのメリット③「複数端末の同時接続が可能」
スマートフォン、タブレット、パソコン、スマートスピーカーなど、複数の機器を同時にWi-Fiに接続して使えます。ご家族が面会に来た際に一緒に使えるのも嬉しいポイントですね。
ホームルーターのデメリット①「持ち運びができない」
居室でのインターネット利用には最適解と言えるホームルーターですが、コンセントに挿して使うため、持ち運びはできません。共用スペースでインターネットを使うときは、スマートフォンのモバイル回線を使うか、施設側のWi-Fiを使うことになります。
ホームルーターのデメリット②「月額料金がかかる」
ホームルーターの導入には、当然ながら費用がかかります。決して割高というわけではありませんが、毎月の月額料金も積み重なれば結構な額になりますので、契約するプランはしっかりと吟味しましょう。
方法B「モバイルルーター」
第二の選択肢として、広くおすすめできるのが、モバイルルーターです。
その名の通り持ち運び可能なルーターで、手のひらサイズの、ちょっと小さいスマートフォンのようなデバイス。いつでもどこでもWi-Fi環境を持ち歩けるため、老人ホーム内はもちろん、お出かけの際にも役立つ優れものです。
モバイルルーターのメリット①「持ち運びができる」
モバイルルーターの最大のメリットは、ずばり携帯性。施設の居室だけでなく、共用スペースはもちろん散歩や外出、旅行先でもインターネットを使えます。
モバイルルーターのメリット②「複数端末の同時接続が可能」
ホームルーターと同様に、モバイルルーターも複数のデバイスを同時に接続できます。安定性は若干劣りますが、それでもインターネットの普段使いには十分なレベルだと言えるでしょう。
モバイルルーターのメリット③「比較的安価なプランもある」
サービスやプランにもよりますが、データ容量によっては、ホームルーターよりも月額料金を抑えられる場合があります。
モバイルルーターのデメリット①「充電が必要」
持ち運びができるがゆえのデメリットですが、モバイルルーターを使うにはバッテリーの充電が欠かせません。
とはいえ、最近はバッテリーの高性能化によって駆動時間も長くなっていますし、老人ホーム内であれば居室に戻ってすぐに充電できます。外に持ち出すのでなければ、そこまで大きなデメリットではないかもしれません。
モバイルルーターのデメリット②「通信が不安定になる可能性がある」
ホームルーターと比べると、電波の受信状況やバッテリー残量によって通信が不安定になることがあります。特に建物の中では電波が届きにくい場所もあるので、注意が必要です。
モバイルルーターのデメリット③「月額料金がかかる」
ホームルーターと同じく、利用には月額料金が発生します。
方法C「テザリング」
最も手軽なのが、普段使っているスマートフォンをWi-Fiルーター代わりにする方法です。「テザリング」という機能を使うことで、スマホを仲介して、パソコンやタブレットをインターネットに接続することができます。
この方法なら追加の機器は不要ですし、基本的には料金もかかりません。ただし、注意点はいくつかあります。
テザリングのメリット①「手軽に使えて、追加費用も(基本的には)かからない」
普段使っているスマートフォンをルーター代わりにするだけですので、何かを新しく準備する必要はありません。追加で機器を買う必要はないため、老人ホームに持って行く荷物も増えませんし、費用もかかりません。
テザリングのメリット②「設定が簡単」
テザリングの使い方は、スマホの設定画面から機能をONにするだけです。インターネットを使うパソコンやタブレット側で最初に接続の設定をする必要はありますが、それが終われば、あとは常に接続しっぱなしでも問題ありません。
テザリングのデメリット①「スマホのデータ容量を消費する」
手軽で便利なテザリングですが、スマホをルーター代わりに使うため、接続したパソコンやタブレットでインターネットを使えば使うほど、スマホのデータ容量が消費されます。
通信量に上限があるプランと契約している場合は、動画の閲覧やデータのやりとりで、あっという間に上限に達してしまう可能性があります。注意しましょう。
テザリングのデメリット②「スマホのバッテリー消費が激しくなる」
テザリング中はスマホのバッテリー消費量が多くなる傾向にあります。これも老人ホーム内でしたらすぐに充電できるかと思いますが、スマホ本体を酷使することにもなりますので、その点は意識しておきましょう。
テザリングのデメリット③「通信の速度と安定性は控えめ」
専用のホームルーターやモバイルルーターと比べると、テザリングの通信品質はそこまで高くありません。
SNSを使ったり、ほどほどの画質で動画を見たりするくらいでしたらそこまで気にはならないでしょうが、前述の選択肢と比べると、接続が不安定になりやすい懸念はあります。
方法D「スマホの契約容量を増やす」
最後に、老人ホームでパソコンやタブレットを使うのではなく、スマートフォン単体でのインターネット利用を快適にするための方法として、「スマホの契約プランで、使えるデータ容量を増やす」という対処法もあります。
シンプルに、「老人ホームへの入居でスマホを使う頻度が増えることを見越して、あらかじめ契約プランを上位に変更する」という方法ですね。普段スマホしか使っておらず、インターネット利用の目的もSNSや動画視聴くらいでしたら、これだけで事足りるかもしれません。
光回線を老人ホームの居室に引くことはできる?現実的ではない?
ここまで4つの選択肢を見てきましたが、インターネット回線の定番である「光回線」を取り上げていないことが、若干気にかかっている人もいるかもしれません。
たしかに、通信の速度と安定性を考慮するのであれば、間違いなく最善は光回線です。しかし実際のところ、老人ホームの入居者が個人で光回線を居室に引き込むことは難しく、現実的ではありません。
まず、光回線の利用には工事が不可欠です。電柱から建物内へ光ファイバーケーブルを引き込み、壁に穴を開けて配線工事を行う必要があります。勝手に工事を行うわけにはいきませんし、ほかの入居者への影響なども考慮すると、施設側の許可を得るのも難しいと言わざるを得ないでしょう。
仮に許可が得られたとしても、工事費用や月額利用料がかかるため、上記4つの選択肢のどれよりもかかる費用は高額になることが多いです。さらに、退去時には原状回復を求められる可能性が高く、そこでも追加で費用がかかります。
以上の理由から、老人ホームで個人が光回線を契約・導入することは、特別な事情がないかぎりは非現実的な選択肢だと言えるでしょう。
契約前に注意するポイントは?
光回線と違って工事の必要がないホームルーターやモバイルルーターは、契約すること自体はさほど手間ではありません。
ですが、契約を決める前に確認しておきたい注意点もいくつかあります。サービス選びもそうですが、「老人ホームにルーターを持ち込む」にあたってのチェックポイントもありますので、以下の点はあらかじめ確認しておきましょう。
注意点①「施設の規約を確認する」
施設によっては、一部の電子機器の持ち込みに制限がある場合があります。
「ルーターを持ち込んでも問題がないか」「居室の電源コンセントを使用してもいいか」の2点を、それぞれ施設側が認めているかどうかを確認しておきましょう。口頭で問い合わせても問題ありませんが、ルールとしてまとめられた書面上で確認できればより安心です。
注意点②「対応エリアを確認する」
続いて、契約を考えているサービスの対応エリアを確認しましょう。老人ホームがサービスの提供エリア内にないと、せっかく契約してもインターネットが通じなかったり、通信が不安定になりやすかったりする可能性があります。
提供エリアは各サービスのウェブサイト上で簡単に確認できますが、不安な場合はサポートセンターに問い合わせるのが確実です。「〇〇(施設名)で使いたいのですが、電波状況はどうでしょうか?」と具体的に聞いてみるのも良いでしょう。
注意点③「料金体系やプランの内容を吟味する」
3つ目の注意点は、老人ホームでの利用に限った話ではなく、サービス選びの際のポイントとなります。
まずチェックしたいのが、料金体系です。月額料金だけでなく、初期費用やオプションの有無、割引キャンペーンの内容と適用期間、そして契約期間と解約時にかかる費用などを、隅々まで確認しましょう。
また、データ容量と速度制限の条件もチェックしておきたいポイントです。データ容量無制限のプランでも、「〇日間で〇GB以上使うと速度制限がかかる」といった条件がついている場合があります。老人ホームでそこまで大容量の通信を行うことはそうそうないと思いますが、気になる人はあらかじめ把握しておきましょう。
補足:高齢者を狙ったインターネット回線の契約トラブルに注意!
近年、高齢者を狙ったインターネット回線の契約トラブルが数多く報告されています。
「よくわからないまま契約してしまった」「不要なオプションをたくさん付けられていた」といったことがないように、契約内容は必ずご自身でしっかり確認するか、信頼できるご家族や友人に同席してもらい、一緒に確認するようにしましょう。
少しでも不安や疑問があれば、その場では契約せず、一旦持ち帰ってしまってもOKです。慎重を期すに越したことはありませんので、周囲の人に相談したり、信頼できるレビューサイトを確認したりしながら、焦らずゆっくりとご検討ください。
よくある質問
Q. 老人ホームで、自分でインターネット環境を用意するには?
パソコンやタブレットで日常的にインターネットを使いたい場合は、ホームルーターやモバイルルーターを持ち込む方法がおすすめです。家族との連絡や、たまにSNSを使うくらいでしたら、スマートフォンのテザリング機能でも事足りるかもしれません。
Q. Wi-Fiルーターを使うのは初めてだが、設定は簡単にできる?
ホームルーターはコンセントに挿すだけ、モバイルルーターは電源を入れるだけでWi-Fiが使えるようになります。どちらも初期設定は必要ですが、説明書の通りに進めれば難しくはありません。もし不安な場合は、ご家族や施設のスタッフに相談しましょう。
Q. Wi-Fiルーターを自分の部屋に持ち込みたい場合、施設には事前に何を確認すれば?
「機器の持ち込みは可能か」「居室の電源を使ってもいいか」の2点は、事前に確認しておきましょう。消費電力や安全上の理由から、持ち込める電子機器に制限を設けている施設もあるからです。トラブルや規約違反を避けるためにも、この2点は最低限確認しておきましょう。
施設側の条件も確認しつつ、Wi-Fiルーターで快適なインターネットライフを!
以上、老人ホームのインターネット事情と、通信手段の選択肢についてまとめてきました。
入居者向けに提供されているWi-Fiがあればベストですが、インターネット環境が導入されている施設はまだ少ないのが現状です。それに、使えたとしても通信が不安定だったり、一定の制限がかかったりしている可能性もあります。
ですので、日常的にインターネットを使いたい場合は、自分でWi-Fiルーターを持ち込む方法が、現状ではスタンダードな手段だと言えるでしょう。施設側で持ち込みが認められてさえいれば、設定も簡単ですので、何も難しいことはありません。老人ホーム内でも快適なインターネット生活を送れるはずです。
ホームルーターもモバイルルーターもさまざまな事業者がサービスを提供していますが、その選択肢のひとつとして、BIGLOBE WiMAX +5Gはいかがでしょうか。スマホのセット割やおトクな特典も用意されていますので、ぜひこの機会にご検討ください。
\ お出かけ先でも使えるWi-Fi /

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選択肢のひとつとしてお出かけ先でも使える「BIGLOBE WiMAX +5G」をぜひご検討ください。
※WiMAXのサービスエリアを予めご確認ください。