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ポータブル電源で電子レンジは動くの?買う前に最低限知っておきたい出力の話

ポータブル電源で電子レンジは動くの?買う前に最低限知っておきたい出力の話

TROUBLE

2023/04/20

うえやま
※本記事は作成時点の内容です。
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親子でキャンプを楽しむ北海道在住の筆者ですが、春や秋のキャンプ場では夜間の気温が氷点下になることもめずらしくありません。そこで、就寝時の寒さを和らげるため、電気毛布を利用する目的でポータブル電源を購入しました。

 

2018年の北海道胆振(いぶり)東部地震で大規模停電を経験したこともあり、どうせならば災害時にも活用できる機種にしたいと思い、最終的に購入したのが、EcoFlow社のRiver Proというポータブル電源です。

キャンプ・災害時、どちらも見越して決めたEcoFlow「River Pro」


購入検討時、筆者は以下の3つの条件を決めていました。

 

  • 電気毛布を一晩利用できる容量があること
  • コンパクトであること(テント内で邪魔にならない、かつ動かしやすいこと)
  • 停電時に電子レンジを稼働できること

 

これにかなったのが、さきほど挙げたEcoFlow社の「River Pro」です。

 

3つのAC出力に加えて、USB-Aが3つ、USB-Cが1つ、DC出力を2つ、シガーソケット出力を備え、最大で10台のデバイスへの同時に電力供給が可能です。容量は720Wh、定格出力は600W。

 

また、ポータブル電源自体を充電する際には、独自の高速充電機能により、1時間で80%まで充電可能。フル充電も、わずか1.6時間しかかからないというスピーディさです。後から調べてわかったことですが、同等程度のポータブル電源の多くはフル充電までに早くても数時間、遅い機種だと一晩かかるものもあります。電源自体の充電が速いRiver Proは、その点かなりのアドバンテージと言えるでしょう。キャンプ当日の朝、ポータブル電源の充電をうっかり忘れていたとしても、荷づくりをする間にフルに近いところまでは充電できるだろうという安心感も得られました。


River Proはまた、拡張性が高いのも魅力です。別売りの拡張バッテリーやソーラーパネルを導入することで、容量を2倍の1440Whへパワーアップできたり、太陽光からソーラーパネルを通してポータブル電源への充電も可能となっています。

 

そして面白いのがX-Boost機能です。高度なアルゴリズムにより高出力な電化製品の出力を下げ、600Wから最大1200Wまでの電化製品を動かすことが可能となっています。

720Whって何をどれくらい使えるの?

River Proが持つ720Whとは、ポータブル電源で言えばミドルクラスの容量にあたります。この720Whでいったいどんなアイテムをどれだけ稼働できるものでしょうか。

公式の解説では、LEDライト、スマートフォン、デジカメ、タブレット、電気毛布、車載用冷蔵庫、12V炊飯器、ヘアアイロン、デスクトップパソコン、コーヒーメーカー、ドライヤー、電気ケトルにおいてそれぞれ目安の稼働時間や稼働回数が案内されています。

 

スマートフォンやタブレット、デジタルカメラ程度であればモバイルバッテリーでも充電できますが、冷蔵庫、炊飯器、電気ケトル、コーヒーメーカーといったキッチン家電を動かせるのは、ポータブル電源ならではの強み。災害時の備えとして、心強い印象を与えてくれます。

 

筆者の一番の目的であった電気毛布も、River Proで実際にあたためることが可能でした。「弱」設定にした電気毛布で夜10時くらいから翌朝まで夜通し使ってちょうどポータブル電源が尽きるといった消費具合で、秋冬の夜の寒さを見事に和らげてくれています。

容量って?定格出力って?最低限抑えなくてはいけない数字の話

聞きなれない数字がでてきてそろそろめまいがしてきた方もいるかもしれませんが、ポータブル電源を検討するならば、どうしても知っておく必要がある数字の話をしておきたいと思います。

 

ポータブル電源のスペックには「容量」「定格出力」「最大出力」という数字が存在します。わかりやすく水のタンクに例えてみます。

「容量」とは水タンクの「大きさ」そのものです。大きければ大きいほどたくさんの電力をためておけます。もちろんおのずとタンク(ポータブル電源)のサイズも大きくなります。


次に「定格出力」とはタンクの「蛇口から出る水の強さ」で、ポータブル電源が常に出力し続けられる電力の強さを表します。この定格出力の数値は、家電を動かせるか動かせないかの第一の指標です。ポータブル電源の定格出力数値より家電の消費電力が高い場合は、その家電を動かすことはできません。


そして3つ目の「最大出力」とは、水タンクの蛇口から「瞬間的に出せる最大の水の強さ」で、ポータブル電源が瞬間的に出せる最大の電力を表します。

使いたかった家電が起動しない……、購入前にチェックしたいこと

ポータブル電源は基本的に、容量の大きさに比例して価格が上がります。安いもので2〜3万円、高いものだと10〜20万円を超えるものまでさまざまです。消費電力の大きな家電を動かすためには自ずと高額なポータブル電源が必要になり、高い買い物となるため購入後に後悔がないようにしたいものです。

 

そこで押えておきたいのが、ポータブル電源の「最大出力」と家電の「起動電力」の関係です。


さまざまな家電の中には、起動時に高い電力を供給しなければそもそも起動できない家電、というものが存在します。代表的なのは電子レンジです。一方でポータブル電源には、そうした家電の起動電力に対応するために、一時的に高い電力を供給できる仕組みが用意されており、その瞬時の電力の強さを「最大出力(あるいはサージ)」といった名称で示しています。

 

ポータブル電源を選ぶ際、使いたい家電の消費電力をまかなえる定格出力を持ったポータブル電源を選ぶ必要がありますが、起動時に高い電力を要する電子レンジなどの場合においては、消費電力に加えて、電子レンジの起動電力をポータブル電源の「最大出力」でまかなえるかどうかも確認する必要があります。

「インバータ式」か「高圧トランス式」かで異なるチェックポイント

停電時に冷凍庫の食べ物をすばやく消費していくためにも自宅の電子レンジを動かせるポータブル電源探しに奮闘した筆者ですが、電子レンジのためのポータブル電源選びはかなり注意が必要だということがわかりました。

 

まず、電子レンジはインバータ式と高圧トランス式とでタイプが2つに分けられます。インバータ式は一般的に価格が高い傾向にあり、高い出力を持つのが特徴です。このインバータ式の電子レンジをポータブル電源で動かしたい場合は、起動電力のことは気にせず、電子レンジの消費電力がポータブル電源の定格出力でまかなえていれば使えると思ってよいでしょう。

一方で、厄介なのは、高圧トランス式の電子レンジをポータブル電源で使いたい場合です。高圧トランス式の電子レンジとは、東日本(50Hz)専用や西日本(60Hz)専用などのようにエリアによって対応する周波数が異なり、1万円以下のものもあるほどリーズナブルな価格が魅力です。しかしながら高圧トランス式の電子レンジは、起動時の起動電力が非常に高いものが多い点がネックとなります。ポータブル電源の定格出力は十分だとしても、最大出力が電子レンジの起動電力を下回っている、というケースが考えられるからです。
この場合は、電子レンジを起動できる保証がありません。

 

そしてハードルの高いことに、電子レンジの起動電力の数値は説明書やスペック表に必ず記載されているとは限りません。調べるすべがない場合は、メーカーへの問い合わせが必要となってきます。

 

これらのことを踏まえると、高圧トランス式の電子レンジを動かすためのポータブル電源選びは、初心者にはとってかなりリスクが高いと言わざるを得ません。電力の知識によほど明るい方でない限りは避けたほうが良いでしょう。

 

その上でなお、自己責任のもとで高圧トランス式の電子レンジをポータブル電源で動かしたい方は、その消費電力および起動電力の確実な数値を調べたうえで、1「電子レンジの消費電力が、ポータブル電源の定格出力以下であるか」、2「電子レンジの起動電力が、ポータブル電源の最大出力以下であるか」という2つの条件がクリアできていることを必ず確認しましょう。

 

「なんとなくいけそう」という安易な考えで選んでしまうと、失敗するリスクが非常に高まります。不明点があれば、必ずメーカーや販売店に事前に相談をしましょう。

自分の目的や利用シーンを見極めてから購入しよう!


電力のないところでも、気軽に電化製品が利用できるようになるポータブル電源。キャンプだけでなく、車中泊やワーケーション、また自宅内であってもコンセントのない場所でのDIYといった作業にも向いています。場所にとらわれずに活動の幅を広げてくれ、また防災への備えにも最適です。


スマホやタブレット、扇風機など消費電力の小さい用途で使う分には、そこまでシビアに検討する必要はありません。ただし、上述したように電子レンジなどのように高い起動電力を必要とする家電を使用したい方は、ぜひとも慎重に検討しましょう。

 

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Contributor

うえやま

競馬カメラマンからWEB業界へ異色の転身。WEB制作に加えて大手メールマガジンやツイッターの中の人もこなす。三度の飯より件名を考えるのが好き

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