ASUS(エイスース)から2017年12月に発売されたスマートフォン「ZenFone 4 Max(ZC520KL)」。
BIGLOBEモバイル価格で19,680円(税別)と手頃で、片手でも扱いやすいサイズ感、充電の心配から解放される大容量バッテリー搭載など魅力のつまった製品です。
この記事ではそんなASUS ZenFone 4 Maxを紹介。実際に使ってみると「安価」「扱いやすいサイズ」「スタミナ抜群のバッテリー」だけじゃなく、スマホの魅力がしっかり楽しめる1台でした。
目次
外観デザイン:上手な加工で低価格を実現
ZenFone 4 Maxは、BIGLOBEモバイル価格で19,680円(税別)。SIMフリースマートフォンの中では低価格帯(エントリークラス)~中価格帯(ミドルレンジクラス)の位置付けにあります。
ボディは前面がガラス、側面から背面までがプラスチック製。
プラスチック製ボディの質感がまず気になりましたが、表面に施した金属調のつや消し加工で安っぽさはありません。
現行機種では標準~やや小さめの5.2インチディスプレイもよいですね。なだらかに丸みを帯びた側面の形状と合わせ、手が小さくても片手で扱いやすいサイズです。
基本性能:日常使いには十分。便利な機能にも多く対応
1台で10万円近い高価格帯(ハイエンドクラス)の製品と比べれば、1/3ほどの予算で購入できるZenFone 4 Max。当然高価格帯の製品と比べれば、処理性能などは劣ります。
とはいえ、最近では低価格帯の製品向けに開発されるプロセッサでも性能は大きく向上。1~2年前と比べても、使っていて感じるストレスがかなり解消されました。
たとえばスマホへの負荷が大きく、かつ多くのスマホユーザーが楽しむであろうゲームアプリ。表示がカクつく・止まってしまうなど、ストレスを抱えながらのプレイは嫌ですよね。
ZenFone 4 Maxでゲームをいくつか試してみましたが、モンスト(モンスターストライク)のように2Dグラフィックでの表示をベースとするゲームであれば、割りとサクサク楽しめます。
3Dグラフィックをバリバリ駆使したアクションゲームなどを遊ぶには正直厳しさを感じましたが、「スマホゲームは暇つぶしとしてちょっと遊ぶくらい」なんて人なら、ZenFone 4 Maxでも性能は十分と感じられることでしょう。
もちろんスマホの用途はメールチェックやSNS、ネットでの調べ物がメインなのであれば、問題なく使えます。
次に魅力を感じたのが、SIMフリースマホに付いていると便利ないくつかの機能。
まずは2枚のSIMカードを同時に挿し、二つの電話番号で同時に音声通話の着信を待ち受けできる4G+3Gの同時待ち受け機能。
最近のSIMフリースマホではこの機能に対応する製品自体は珍しくありませんが、ZenFone 4 Maxではドコモ系、au系など、好きなSIMカードを挿して使える設計。
とくにau系のSIMでもデータ通信だけでなく、音声通話のVoLTEも使えることがポイントですね。
ちなみにZenFone 4 Maxでは発売後すでに、auのVoLTEに対応するためのソフトウェアアップデートが配信済みです。
“好きな機種と好きなSIMカードを自由に組み合わせて使える”のがSIMフリースマホの醍醐味。安価なZenFone 4 Maxですが、この点はしっかり楽しめます。
音声通話用のSIMカードとデータ通信用のSIMカードを挿して使う、仕事とプライベート用の電話番号を1台のスマホにまとめて持ち歩くなど、幅広い使い方が可能です。
また細かいことですが、初期設定が楽で、使い始めるハードルが低いことにも魅力を感じました。
というのも、筆者が普段私用しているBIGLOBEモバイルのSIMカード2種類(auの4G LTE回線を使ったタイプA/ドコモ回線を使ったタイプD)を挿してみたところ、データ通信を行なうために必要な初期設定(APN設定)の手入力は不要。
あらかじめ用意された表リストの中にBIGLOBEモバイルのAPN情報が含まれており、選ぶだけでOKでした。
あともう一つ細かい点ですが、カードスロットが三つ付いている点もよいですね。
SIMカードが同時に2枚挿せる「Dual SIMモデル」は多くが「片側のSIMカードスロットとSDメモリカードスロットは兼用」であり、どちらか片方しか挿せません。
しかしZenFone 4 Maxはカードスロットが個別に設けてあり、SIMカード2枚とmicroSDメモリカード、計3枚のカードが同時に挿して使えます。
搭載する機能をしっかり使いながら、写真や音楽などのデータを保存するための容量(ストレージ容量)拡張もできる配慮は実に嬉しい限り。
機能としてはほかにも、画面下に搭載されたセンサーを使っての指紋認証に対応しています。端末のロック解除も手間なくかんたんです。
価格の安さに「安かろう悪かろうでは?」なんて考えてしまう人もいるかもしれませんが、少なくともZenFone 4 Maxは通常のスマホ利用+αまでをしっかり備えた製品になっています。
注目機能①:大容量バッテリーで「モバイルバッテリー要らず」
ZenFone 4 Maxの特徴としてまず注目すべきことはバッテリー容量の大きさ。容量は4,100mAhで、バッテリー容量だけなら高価格帯の製品と比べて1.5倍近くの容量をほこります。
またZenFone 4 Maxが搭載するプロセッサは処理能力が控えめのモデルですが、これは「ハイパワーに動かない=消費電量は控えめ」でもあり、大容量バッテリーとあわせると駆動時間がより長くなるという相性のよさもあるのです。
メーカーが公表している参考値として「操作をしない」「電源オン」「画面オフ(消灯)」の状態で放置すると、なんと最大37日間もバッテリーが保つ(!)とのこと。
実際に日々使っていても、一日二日程度の充電忘れはへっちゃらでしたね。
大容量のバッテリーを便利に使い続けるために欠かせない「安全面」も、独自のバッテリー管理技術「パワーマスター(PowerMaster)」「パワーセーフテクノロジー」対応で万全の体制。
バッテリー残量の管理だけでなく、「あとどのくらい使えそうか」「バッテリーの温度はどうか」など、わかるとより安心して使える情報も確認できます。
また1回の充電での駆動時間は減るものの、バッテリーをいたわり劣化を抑える「劣化軽減モード」なども備えています。
1度の充電で2日程度は使えるZenFone 4 Max。仮に2日に1回の充電が最大500回まで可能とすれば、ざっくり1,000日(3年弱)はバッテリー交換せず、電池持ちもキープしつつ、使い続けることが可能ということになりますね。
パワーマスターを使ってバッテリーをスキャンすれば、バッテリーの節約につながる設定変更を提案してもらうことも。可能な範囲で設定を見直すだけでも、スマホを使える時間が延ばせます。
バッテリーが安全な状態かもスキャン可能。定期的な自己点検で、安心安全に使い続けられる設計です。
それと “ZenFone 4 Maxならでは” のすごい機能として外せないのがリバースチャージモード。ZenFone 4 Maxをモバイルバッテリー代わりとして、USBケーブルで接続した他デバイスが充電できるものです。
ZenFone 4 Maxのパッケージ内容物を確認してみると、スマホ本体、説明書・保証書類、イヤホン、USBケーブル、充電器のほかにリパースチャージモードで使うコネクタも同梱されています。
つまりこの機能はZenFone 4 Maxだけ買えばすぐに使えるわけですね。
2台のスマホ、スマホとタブレットなど複数のデバイスを使い分けている人は、スマホをZenFone 4 Maxにして予備バッテリーを兼ねてしまうのもヨシ。
外出先でコンパクトデジタルカメラなどのバッテリーが切れてしまった際、ZenFone 4 Maxを使って充電するなんて使い方もヨシですね。実際試してみましたが、しっかり充電できました。
リバースチャージモードの利用に際しては、ケーブルの接続順序が違うときちんと動作しません。画面に表示されるイラストをよく見て、そのとおりに繋ぐ点には注意しましょう。
便利なバッテリー関連機能をいろいろ試す中、少し気になったマイナスポイントも一つ。ズバリ、ZenFone 4 Maxに搭載されるUSB端子の種類が “裏表のあるMicroUSB” だということですね。
最近は表裏を気にせず使えるUSB Type-Cコネクタを搭載する機種もずいぶん増えてきただけに、他に使っている機器と混同し、間違った向きで挿さないような注意が必要です。
注目機能②:三つのカメラはかんたんに楽しく使える
ZenFone 4 Maxの特徴としてもう一つ、欠かさずチェックしておきたいのがカメラ。というのも「ZenFone 4」シリーズはすべての機種が、いずれも合計三つのカメラを搭載する “カメラスマホ” でもあるのです。
背面には画角の異なる二つのカメラ
ZenFone 4 Maxは?というと、背面にカメラが二つ付いています。それぞれ画角(1枚の写真に収められる範囲の広さ)が異なり、標準カメラと広角カメラではおおよそ2倍の画角差が。
実際にどう変わるのかは撮影した写真を見てもらうのが早いでしょう。
▲背面の標準カメラで撮影した写真
▲背面の広角カメラで撮影した写真
上の2枚の写真を比べると、写真に写り込んでいる範囲が違うことは一目瞭然ですよね。疑いたくなるかもしれませんが、いずれの写真も同じ場所から撮影したものです。
広角カメラを使うと“2~3歩うしろに下がって撮影したような写真が撮れる”とイメージするのがわかりやすいかもしれません。
▲背面の標準カメラで撮影した写真
▲背面の広角カメラで撮影した写真
こちらは地上31階の展望台にのぼり、地上を撮影した写真。
ZenFone 4 Maxだけに限らず、広角レンズを使ったカメラでは中央から端に向かい、放射状に独特のゆがみが生じます。ただしシーンを選んで使えば、歪みもほとんど気にならない写真が撮影できます。
ZenFone 4 Maxで広角カメラを使う際に注意したいポイントは二つ。
一つめはスマホを持つ手の映り込み。思いのほか広い範囲が写るため、慌てて撮影すると、いつもどおり構えたつもりでも手や指が映り込みやすくなっています。
▲標準カメラで撮影後、持ち替えずに広角カメラに。上~左に指が写り込んでいる
二つめは暗いシーンでの撮影にはあまり向かないこと。標準カメラが1,300万画素であるのに対し、広角カメラは500万画素。レンズも暗いシーン向きとはいえず、全体的にぼんやりした写りになりやすいです。
▲このサイズまで写真をリサイズ(縮小)すると目立たないが、引き伸ばすと全体的にぼんやりした印象になりがち
慣れないうちは、標準カメラをメインに使って撮影。撮影する中で「背景をもう少し広く写したい」「少し変わった印象の写真が撮りたい」といった場合には広角カメラに切り替えるという使い分けがオススメです。
カメラの切り替えは撮影画面上に表示されたボタンを一度押すだけでOKとシンプルなので、時間があればアレコレ自分で試して、使いながら慣れていくのも楽しいですよ。
標準カメラで撮影した写真ももう少しだけ紹介しますね。
▲曇り空の日に日陰で接写した花。花びらのギザギザした形もくっきり
▲マグロの刺身のようにビビッドな色はとてもきれいに写る
▲白いお皿はやや青みがかった印象。でもお肉は焼き目も含めてとてもおいしそう
▲色味のコントラストが薄い茹でタン(茹でた牛タン)はあっさりとした仕上がりに
標準カメラを使ってみて特に楽しめたのは接写。
特徴的な花びらのギザギザ感もくっきり記録できたほか、色の濃淡がはっきりしている食べ物も飯テロ写真として満足できる写真が撮れました。
色味が単調気味な茹でタンはもう少し温かみがつくとなおヨシでしたが、価格帯を考えれば十分すぎる性能です。
撮影モードが豊富な前面カメラも楽しい
最後に前面カメラで自撮り機能(セルフィー)もチェック。背面に二つ並んだカメラについ目を奪われがちですが、前面カメラも複数の撮影モードに対応。自撮りがしっかり楽しめます。
▲展望台から見下ろせる景色を背景に、オート設定で撮影
▲肌のキメや色味、シワ、輪郭などをキレイに補正してくれる「美人エフェクト」
▲背景を擬似的にぼかし、被写体の存在を際立たせる「ポートレート」
価格を考えたとき、正直「(ここくらいは手を抜いていても文句はないんだけど……)」なんて思いながら試してみたのですが、オートで適当に撮影してもそれなりにキレイに撮れる。
自然に美顔効果も出せるし、背景をぼかした撮影もできるし、と妥協のなさを感じました。
まとめ
手の出しやすい価格、手頃な本体サイズ、大容量のバッテリーなど、パッケージや製品本体を見てわかるポイントはもちろん。
でもそれだけでなく、SIMフリースマホの魅力がしっかりと試せる設計、一定以上の品質+広角撮影も楽しめるカメラ搭載と、ZenFone 4 Maxは実際使ってみるとより多くのことで魅力が感じられる製品でした。
スマホの主な使いみちがメールチェックやSNS、ネット検索などライトなこと。その上でガラケーと同じようにバッテリー残量を気にせず携帯電話を持ち歩きたい人にはとくに、ハマること間違いなしな1台としてオススメです。
※本記事の内容は、2018年3月23日現在の情報です。