iPadシリーズは2021年3月時点で4モデルがラインナップされていますが、これからiPadを購入しようと思ったときにはどれをチョイスすると良いのでしょうか。本稿では、各機種の特徴をまとめつつ、選び方をアドバイスします。
目次
4つの機種の違い
現行のiPadシリーズには、大きく分けて4つの機種が存在します。
最上位モデルの「iPad Pro(第4世代の12.9インチモデル、第2世代の11インチモデル)」はハイエンド向けのキーボードアクセサリを活用してノートPC風の運用が可能。コストはかかりますが、オールラウンドな性能を備えた一台です。
それに続く「iPad Air(第4世代)」も一部仕様は劣りますが、Proシリーズでのみ使えたアクセサリーに対応したことで、魅力を増しました。ただし、生体認証はFace IDではなくTouch ID(トップキー内蔵)です。
iPad(第8世代)は、従来型のホームボタンありのデザインを採用します。Apple Pencilやキーボードアクセサリには対応しますが、周辺機器は1世代前のものです。ただし、より安価に入手できることはメリットと言えるでしょう。
そして、iPad mini(第5世代)はその名のとおりコンパクトな機種で、想定する使用用途がやや異なります。例えば、ポケットに忍ばせる電子手帳として、あるいは電子コミックなどを手持ちで閲覧するためのビューワーとして活躍します。
モデル | 画面サイズ | チップセット | Apple Pencil | Magic Keyboard |
iPad Pro | 12.9"、11" | A12Z Bionic | 第2世代 | 使える |
iPad Air | 10.9" | A14 Bionic | 第2世代 | 使える |
iPad | 10.2" | A12 Bionic | 第1世代 | 使えない |
iPad mini | 7.9" | A12 Bionic | 第1世代 | 使えない |
用途ごとに最適モデルを考えよう
それでは、実際にどんな用途で使うのかを考えた場合に、どの機種がベストなのかを考えてみましょう。
仕事で使うなら「iPad Air」が◎
リビングなどにちょっと持ち出して使うノートPCの代役、あるいはメインPCに万が一のトラブルがあったときにPC代わりになるサブマシンとして購入するならば、まず「iPad Air」を検討するのが良いでしょう。
もちろん「iPad Pro」でも同じことができますが、利用用途が書類の作成やメールの返信、ブラウジング程度ならばややオーバースペック気味になります。
▲いまビジネス用途で買うならiPad Airを勧めたい
理由としては、別売のiPad用Magic Keyboardが使えることが大きいです。このキーボードも決して安くないですが、長時間のタイピングを快適に行えることに加え、トラックパッド操作も行えるため、ほかのiPad向けキーボードと比べて使い勝手に差があります。
なお、これらのiPadは、USB Type-Cポートを備えることもポイント。MacBookなどを使っている場合、周辺機器を共有しやすいメリットがあります。
ほかにも、iPad向けMagicKeyboard経由で充電を行いながら、ディスプレイにType-Cケーブル等で接続してミラーリング出力することも便利です(※ただし、iPadOSの場合、一部のアプリを除き、画面拡張には対応せず、外付けディスプレイに出力される画面のアスペクト比もiPadと同じものになります)。
▲ProやAirならこんな風にアダプタなしでディスプレイへのミラーリング出力が行いやすい。別売のMagic Keyboardがあれば、充電しながらの出力にも対応
一方、iPad自体をあまり携帯する必要がなく、デスクに半固定して使うような場合には、「iPad」にワイヤレスキーボードを併用するような運用も良いでしょう。
携帯性は先述したPro/Airに劣りますが、リーズナブルに装備を整えられます。また、端子はLightningになるので、iPhone類と周辺機器を共有できるのも特徴です。
がっつりイラストを描きたいなら「iPad Pro」が◎
iPadでイラストを描きたい場合には、ある程度の画面サイズがあった方が快適です。そういう意味では、miniを除く3機種がおすすめと言えます。
さらに、iPadを持ち運んで作業したい場合には、本体側面にApple Pencil(第2世代)をマグネットで固定し、ワイヤレス充電が行えるPro及びAirが便利です。一方、自宅の机でどっしり構えて使う分には、第1世代のApple PencilとiPadでも問題ありません。
▲プロやプロを目指すイラスト用ならiPad Pro一択だろう
また、ディスプレイのレスポンスについては、Proとそれ以外で明確な差があります。
筆の動きが速い場合には、Proの方がピッタリと筆跡がついてくる感覚が伴いますので、仕事や趣味で絵を描いている時間が長い場合には、Proを選択することを勧めます。
なお、サイズは12.9インチの方が、ディスプレイを広く使えますが、用途によっては11インチでも対応できるでしょう。携帯性は後者のほうが高いので、トレードオフの関係にあると言えます。
特にiPad Proに関しては、超広角カメラが備わっているので、デザインの参考にする写真を撮るのにも柔軟に使えます(ただし、これはiPhoneやカメラでも代用できる部分なのでさほどこだわらなくても良いでしょう)。
もちろん、AirやiPadでイラストが描けないわけでは決してありませんので、たまの息抜きにお絵描きしたいような人でしたら、こちらでも問題ありません。
デザイン重視なら「iPad Air」が◎
デザインや見た目を重視したい人には、iPad Airを勧めます。同シリーズの最新モデルでは、デザインが刷新され、一見すると上位モデルのProと見分けがつかなくなっているからです。また、豊富なカラーバリエーションを選択できるため、スペースグレイー・シルバー以外の鮮やかな色を選択できることもポイント。
▲iPad Airはカラバリが豊富だ
また、使用できるApple Pencilは第2世代なので、iPadの側面にマグネットで固定して充電できるのも安心です。ちなみに、第1世代のApple Pencilだと、屋外で充電する時にiPadにペンの端子を挿す状態になり、不恰好なのが気になります。iPad AirやProならばこうした心配がありません。
▲第2世代(左)と第1世代(右)のApple Pencil。充電方法がワイヤレスとLightnig端子で異なるため、見栄えのほか、日々の管理の容易さにも差がある
コンテンツ視聴用なら「iPad mini」が◎
コンテンツを視聴するという意味では、何を閲覧するかで最適なデバイスが異なってきます。例えば、動画を大画面かつ良い音で視聴したい場合には、iPad Proが最適です。最大12.9インチのディスプレイを備えるほか、4隅にあるスピーカーはウーハーとツイーターとして低音・高音を再現するので、臨場感のあるサウンドが楽しめます。
電子雑誌を読むのならば、12.9インチのProはもちろん快適です。ただし、それだけのために購入するにはややオーバースペックでしょう。その点、原寸大に近い表示こそできませんが、iPad AirやiPadでも十分に大きな表示で楽しめるので、この辺りがコストパフォーマンス的には狙い目と言えます。
▲片手でホールドしやすいのがiPad miniの魅力
一方、電子コミックやテキストベースの電子書籍を閲覧する場合には、片手で長時間ホールドすることが想定されますので、iPad miniがおすすめです。
ほかのiPadでももちろん快適な表示はできますが、ソファにごろごろと寝転がりながら手で筐体を支えるのは現実的ではありません。そういう意味でiPad miniが重宝すると思いますよ。
通信仕様と容量を選択する
さて、購入したいiPadの機種が絞れたら、通信仕様とストレージ(容量)を選択することになります。Apple StoreにおけるiPadシリーズ本体のみの価格をまとめたものが下記になります。(価格は2021年3月現在のものです)
モデル | 32GB | 64GB | 128GB | 256GB | 512GB | 1TB |
12.9" iPad Pro (Wi-Fi) |
104,800円 | 115,800円 | 137,800円 | 159,800円 | ||
12.9" iPad Pro (Wi-Fi + Cellular) |
121,800円 | 132,800円 | 154,800円 | 176,800円 | ||
11" iPad Pro (Wi-Fi) |
84,800円 | 95,800円 | 117,800円 | 139,800円 | ||
11" iPad Pro (Wi-Fi + Cellular) |
101,800円 | 112,800円 | 134,800円 | 156,800円 | ||
iPad Air (Wi-Fi) |
62,800円 | 79,800円 | ||||
iPad Air (Wi-Fi + Cellular) |
77,800円 | 94,800円 | ||||
iPad (Wi-Fi) |
34,800円 | 44,800円 | ||||
iPad (Wi-Fi + Cellular) |
49,800円 | 59,800円 | ||||
iPad mini (Wi-Fi) |
45,800円 | 62,800円 | ||||
iPad mini (Wi-Fi + Cellular) |
60,800円 | 77,800円 |
iPadには、モバイル通信プランをiPad自体で利用できるWi-Fi + Cellularモデルと、Wi-Fi接続下での通信しか行えないWi-Fiモデルの2モデルを選べます。
前者を選択したほうが価格が高くなり、通信プランの維持費も別途発生しますが、外出時に単体で通信を利用できるというメリットが生まれます。
外出時に持ち運ぶ際に、iPadを起動してすぐに通信が行えるのは、非常に快適です。
これがWi-Fiモデルだと、例えばiPhoneのテザリング機能を活用したり、モバイルWi-Fiルーターを携帯したりする必要が出てくるので通信環境を整えるための一手間が発生することになります。
一方、自宅で電子雑誌を読むなど、Wi-Fi環境が整った屋内でのみ利用する想定ならば、Wi-Fiモデルの方がコストを抑えられます。
▲iPadの良いところはやはり安く入手できること。単純に大画面が欲しい人にはこれがおすすめ
また、ストレージによってもiPadの価格が変わります。ストレージが多い方が本体に保存できるデータ量が多くなるので、写真や動画をたくさん保存したり、アプリを多くインストールできたりします。
iPadは長期的に利用する傾向が高いので、コストは多少かかってしまいますが、なるべく最小容量ではなく、大き目のストレージを選択しておいたほうが、快適に利用できるのでおすすめです。
ただし、iPadを購入する場合、本体価格以外にもキーボードアクセサリやApple Pencil、保護カバー、画面に貼り付けるシートなどの周辺機器を揃えるのにコストがかさむ傾向があります。予算の合計よりも、iPad本体の価格は一回り安くなるように考えておくと良いと思います。
4機種もあるiPadですが、使用用途がはっきりしていれば、最適なモデルを見つけることは難しくありません。ぜひ自身のスタイルにあった一台を手に入れてみてください。