1995年から1996年のインターネット黎明期に、「ネットサーフィン」という言葉は、デジタル系の情報に敏感な人たちだけでなく、一般にも受け入れられ、広がっていきました。
しかし、その実「サーフィン」などという疾走感あふれるものからは程遠く、あまりの回線の遅さに「ユーザーにクモの巣が張ってしまうから“インター『ネット』”だ」と揶揄されるほど、通信速度は遅く、画像1枚の表示にも数十秒から数分かかるのが当たり前でした。
▲1996年頃は、このような画像が出回るほど、インターネット回線速度は遅いものでした。
それから約30年――インターネット回線は驚異的な進化を遂げ、ついに「10ギガ(Gbps)」という超高速回線の時代を迎えるまでになっています。本記事では、10ギガ回線導入のメリットとデメリットを、当時と現在の体験を交えながら詳しく解説します。
目次
10ギガ回線を導入することのメリットとは?
まずは、メリットから解説していきます。
1. 圧倒的な超高速通信
10ギガ回線最大の魅力は、理論値だけなら従来の1ギガ回線の10倍にあたる10Gbps(単位のGbpsは、通信速度が毎秒nGBであるという意味)という圧倒的な通信速度です。これにより、リッチ化が進む現代のWebサイトや動画、オンラインゲーム、クラウドサービスも、待ち時間ほぼゼロで快適に利用できます。
例えば、フルHD画質で約10分の動画のデータ容量は150MBにもなります。その動画データをダウンロードする場合、1996年当時に「64、64、128(ロクヨン、ロクヨン、イチニッパ)」で話題になったISDN回線でネット接続すると64Kbpsの速度を出すことができます。このモデムでは、約5時間28分かかってしまいます。
しかし、10ギガ回線なら理論値上ではわずか0.12秒で完了します。画像や動画が上からじわじわ表示されていた時代を知っている筆者としては、隔世の感があります。
2. 複数端末の同時接続でも安定
家族やオフィスで、PCやスマートフォン、タブレット、IoT機器など多数の端末を同時にネット接続していても、10ギガ回線なら帯域が広いため速度低下が起きにくく、安定した通信を維持できます。テレワークやオンライン授業、動画配信、ゲームなどが重なってもつながりにくさや速度低下といったストレスを感じることは少ないでしょう。
3. 混雑時でも速度維持
夜間や休日、特に午後10時から午前0時までの時間帯は、インターネット回線の混み合う時間帯です。たとえ家の中で1人きりでインターネットを使っているとしても、1ギガ回線では速度が大きく低下することがあります。回線収容局からの光ファイバーケーブル丸々1本を占有しているわけではないからです。
しかし10ギガ回線は帯域が非常に広く、混雑の影響を受けにくいという特徴があります。そのため、混雑しがちな夜間でも高速通信を維持することができるのです。
4. 低遅延性で快適な体験
オンラインゲームやビデオ会議、ライブ配信など、リアルタイム性が求められる用途でも、10ギガ回線は遅延(ラグ)が非常に少なく、快適な操作や高画質映像のやりとりを行えます。
テキストメールのやりとりだけであれば1Mbps程度の回線速度で問題ありませんが、動画視聴であれば25Mbpsほど、オンライン会議なら30Mbpsほど、eスポーツ(オンラインゲーム)を行うのであれば100Mbps以上の回線速度を維持したほうが有利でしょう。
今や、顔出しをせずに自分の好きなことを大勢に向けて発信できるVTuberなども人気で、自宅から配信している人も多くいます。そのような活動をしているのであれば、通信品質が良ければ良いほど、視聴者にとっても快適な体験を提供できるでしょう。
10ギガ回線のデメリットとは?
さて、ここまで10ギガ回線を導入することのメリットを解説してきましたが、デメリットはあるのでしょうか。10ギガ回線を実際に契約した筆者としては目を背けたいポイントですが、こちらも解説していきます。
1. 対応機器が限定される
10ギガ回線の性能を最大限に活かすには、10ギガ対応の無線LANルーターやCat6A(一般的な読みは「カテゴリー6エー」)がおすすめです。高性能な分、価格が多少高くなります。
無線LANルーターも同様で、例えばエレコムのサイトでは、同じWi-Fi 7対応の最新製品でも、インターネットポートが最大2.5Gbps通信に対応している製品に比べて、10Gbpsに対応している製品は、倍以上の価格差が出ています。
▲ ELECOM公式サイト より
もちろん、パソコンやスマートフォンなどの端末も10ギガ通信やWi-Fi 7に対応していなければ、高速通信の良さを感じることはできません。古い機器を使っている場合は、買い替えや追加投資が必要になるということに注意しなければならないのです。
もっとも、事業者によっては、10ギガ回線を契約するときにおすすめの無線LANルーターを紹介していることがあり、さらに同時に購入したりレンタルしたりする制度を設けている企業もあります。
筆者も契約前には、「10ギガはいいけど、どの無線LANルーターを選べばいいのか。対応していないものを買ってしまったら、せっかくの回線速度が無駄になるのでは?」と、かなり悩んでいました。しかし、BIGLOBE光10ギガ回線契約時に最適な無線LANルーターが掲載されていましたし、同時に購入手続きも済ませられましたので、安心して工事日を迎えることができました。
2. 月額料金がやや高くなる
10ギガ回線は1ギガ回線と比べて月額料金が500円~2,000円程度高くなるケースが多いものです。
例えば、同じBIGLOBE光でも、戸建て向けで1ギガ回線は月額5,478円であるのに対し、10ギガ回線は月額6,270円と、約800円月額利用料が上がります。
マンション向けでは1ギガ回線の月額利用料が4,378円なので、約2,000円のアップになってしまいます。
※BIGLOBE光1ギガタイプ(3年プラン)、BIGLOBE光10ギガタイプ(2年プラン)の場合
▲1ギガ回線の月額利用料金
▲こちらは10ギガ回線の月額利用料
年間では9,600円から2万4,000円のコストアップになるので、乗り換えの際は、本当に必要としているのかをよく検討しましょう。
とはいえ、もし「通信品質が安定しない」「PCの向こうでしゃべっている人の声が途切れがちでリモートワークに支障が出ている」などの状況が見られるなら、月額利用料が上がったとしても、10ギガ回線に乗り換えることをおすすめします。
3. 提供エリアの制約
実は、10ギガ回線はまだ提供エリアが限られている状況です。都心部や、首都圏の郊外などではエリア内であることが多くても、地方はエリア外ということが少なくありません。但し、提供エリアは順次全国に拡大していますので、申し込みの際には事前にエリアをご確認ください。
賃貸であれば、所有者や管理会社(大家や不動産会社)と交渉をして「工事費は自分で負担する」「問題なければ10ギガ回線の光ファイバーは残置物にしても良い」などの条件を告げることで工事の許可が降りることもあります。
提供エリア外であれば諦めるしかありませんが、エリア内であれば、ぜひこの方法も試してみてください。
まとめ:10ギガ回線にはデメリットがあるものの「待ち時間ゼロ」の快適さをもたらす
1990年代には「ネットサーフィンをしていたらクモの巣が……」という世界だったものが、今では10ギガ回線による「待ち時間ゼロ」の世界が現実なものとなっています。
対応機器の用意やコスト増、エリアの制限といったデメリットもありますが、動画やゲーム、リモートワーク、動画配信、家族全員の同時利用など、現代のリッチなネット体験を快適にしたいと考えているのであれば、10ギガ回線を導入することは大きなメリットをもたらすでしょう。
1995年あるいは翌年の1996年当時の、ブラウザ上の画像が上からじわじわと表示されるのを経験した世代だからこそ、10ギガ回線のありがたみを強く実感するのでした。
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*1 IPv6に対応していないサービス/サイトはIPv4接続となります。
*2 最大通信速度は光回線タイプによって異なります。最大通信速度はお客さまのご利用機器、宅内配線、回線の混雑状況などにより低下します。