生成AIの進化と普及が止まりません。
中でも、質問に対してあらゆる回答を返してくれる生成AIのチャットボットサービスはChatGPTに始まり、GeminiやCopilotといったほかの生成AIもまもなく登場。ちょっとした疑問に答えてくれるツールとしてだけでなく、ビジネスシーンでの活用も当たり前になりつつあります。
しかし一方で、これら複数ある生成AIチャットボットはそれぞれどのような強みを持ち、どのような場面で活用されているのかは、素人目にはよくわかりません。
そこで本記事では、ChatGPT、Gemini、Copilotの3つのツールについて、それぞれの特徴を紹介します。先に結論から述べますと、各ツールには以下のような特徴があります。
- ChatGPT:カスタマイズ性が高く、有料プランで真価を発揮する
- Gemini:Googleアプリと連携でき、Androidと相性が良い
- Copilot:ビジネスを効率化するAIアシスタントとして注目を集めつつある
以下で、それぞれのツールを具体的に見ていきましょう。
目次
ChatGPTとは?
OpenAIが開発した対話型AI「ChatGPT」。2022年末に公開されると大きな話題となり、現在に至る生成AIの潮流を生み出すきっかけとなりました。
ChatGPTが話題になった理由はいくつか考えられますが、何といっても衝撃的だったのが、その自然な対話能力。まるで人間と会話しているかのような文章で受け答えができ、こちらの質問や文脈を理解しているような自然さでコミュニケーションができます。
それも、ただ単に受け答えをしてくれるだけでなく、専門的な内容まで対応可能。多様なトピックに関する情報を持っており、一般的な知識だけでなく専門領域まで幅広く回答してくれます。APIを通じて別のアプリケーションに組み込めるカスタマイズ性の高さも、ChatGPTが広まった一因だと言えるでしょう。
ChatGPTの特徴
その対話能力と幅広い知識を活かして、さまざまな用途で活用されているChatGPT。代表的なAIチャットボットとして、情報収集・コンテンツ作成・アイデア出しといった大抵の作業は任せることができます。
特徴①「カスタマイズ性の高さ」
ChatGPTの特徴として挙げられるのが、何と言ってもそのカスタマイズの高さ。
当初は配布されているプラグインを利用することでいろいろな用途で使えたChatGPTですが、のちにプラグイン機能は廃止。現在はプラグインに代わる機能として、「GPTs」が提供されています(※無料版でも利用できますが、カスタムGPTの作成は有料プランのみ)。
GPTsは、いうなれば「自由にカスタマイズできるChatGPT」のこと。特定の用途に特化したオリジナルのGPTを、ノーコードで作成することができます。外部サービスとのAPI連携も可能で、タスクを自動化するためのGPTを誰でも手軽に作成できます。
特徴②「作ったGPTを公開して収益化できる」
自分の目的に特化したGPTを作成できる一方で、作ったGPTは広く公開・共有することも可能。収益化も認められています。
GPTに関してはOpenAIが「GPT Store」を掲載先として公開しており、ユーザーが作成したカスタムGPTが多数シェアされています。公開されているGPTは無料版のユーザーでも利用できるため、世界中でGPTの活用が広がっています(※利用回数に制限あり)。
Geminiとは?
「Gemini」は、Googleが開発したAIチャットボット。Googleは以前から対話型AIの言語モデルを開発していましたが、ChatGPTに対抗するべく、2023年3月に「Bard」という名称でリリースしました。2024年2月に名称を「Gemini」に改めています。
ChatGPTと同様に「自然な対話能力」「幅広い分野に対応可能」といった特徴を有している対話型AIであり、能力面では大きな差異はないと言われています。ただし連携できるのはGoogle関連のサービスに限られるため、カスタマイズ性はChatGPTのほうが高いと言えるでしょう。
その一方で、現在Androidスマートフォンの多くに搭載されているのがこのGeminiで、Androidユーザーにとっては身近な存在でもあります。もともと共通機能として搭載されていたGoogleアシスタントよりもまとまった文章で回答してくれることから、優秀な音声アシスタントとして活躍しています。
Geminiの特徴
チャットボットとしての機能はChatGPTと同じなので、Geminiも先ほどの「ChatGPTの活用例」で挙げた用途で活用することができます。その一方で、Geminiの特徴としては主に以下の2点が挙げられます。
- Androidの音声アシスタント
- Google関連サービスとの連携
特徴①「Androidの音声アシスタント」
前述の通り、GeminiはAndroidスマートフォン上で音声アシスタントとして利用できます。
デフォルトではGoogleアシスタントが共通機能として搭載されていますが、最近はGeminiに置き換わりつつあるのが現状です。手元で操作することなく、呼びかけるだけで起動し、質問をするとまとまった文章で必要な情報を答えてくれます。
また、最新のAndroid端末の中には、レコーダーやメッセージなどのアプリ上でGeminiを用いた機能を搭載しているものもあります。今後は生成AIにとどまらない「AIアシスタント」として、存在感を発揮していくことになるでしょう。
特徴②「Google関連サービスとの連携」
ChatGPTほどの拡張性の高さはありませんが、同じ企業が提供しているサービスとして、Google関連サービスとの連携のしやすさはGeminiならではの特徴です。
Googleフライトで最適な航空便を探してくれたり、Googleマップで交通状況を考慮したルートを提案してくれたり、YouTubeで目当ての動画を見つけてくれたり。もちろん、いずれのサービスもGeminiがなくても使えますが、「普通に検索するだけではヒットしない選択肢を示してくれる」という点でメリットがあると言えます。
Copilotとは?
最後に、Microsoftが提供するAIアシスタント「Microsoft Copilot」。当初は検索エンジンの「Bing」と連携した「Bing Chat」として提供されていましたが、現在は「副操縦士」を意味する「Copilot」の名称に統一されています。
CopilotはOpenAIのGPTを使ったサービスなので、(GPTのバージョンや学習データの違いにもよりますが)性能面ではChatGPTと大きな差はありません。その一方で、Copilotを搭載したパソコン「Copilot+ PC」や、Microsoft 365上で動作する「Copilot for Microsoft 365」など、AIアシスタントを搭載したハードやソフトが次々に登場しています。
Copilotを活用したハード&サービス
GPTを基盤とするチャットボットとしてのCopilotは、ChatGPTと比べて目立った違いはありません。どちらかと言えば、このAIアシスタントを搭載したパソコンやソフトを使うことでビジネスパーソンやクリエイターの作業を効率化できる点が、Copilotならではの特徴だと言えるでしょう。
- Copilot+ PC
- Copilot for Microsoft 365
ハード「Copilot+ PC」
Copilot+ PCは、最新のAI技術を搭載した次世代のWindowsパソコンを指します。CPUに内蔵されたNPU(AIの演算処理に特化したプロセッサー)を活用することで、ローカル環境でAI機能を利用することが可能。AIによって諸々の処理を高速化した最新の高機能PCとして、最近は家電量販店でも見かける機会が増えつつあります。
ソフト「Copilot for Microsoft 365」
Copilot for Microsoft 365は、Microsoftが企業向けに提供している有料プラン。WordやExcelをはじめとするおなじみのサービスと連携して使える、ビジネスや生産活動に特化したAIアシスタントです。仕事の効率化と生産性向上を実現する文字通りの“副操縦士”として、徐々に導入が進んでいます。
各プランの比較と、ツールごとの得意分野
最後に、各ツールのプランを表にしてまとめてみました。ただし、生成AIの世界はモデルの進歩が早く、有料プランには次々に新しいモデルが搭載されています。各プランの最新の内容については、公式の情報を参照ください。
AIツール | 料金 | モデル | 特徴 |
ChatGPT | 無料 | GPT-4o mini GPT-4o(制限有) |
カスタムGPTの利用 |
ChatGPT Plus | $20/月 | GPT-4 GPT-4o GPT-4o mini GPT-o1(制限有) GPT-o1 mini(制限有) |
カスタムGPTの作成 |
ChatGPT Pro | $200/月 | GPT-4 GPT-4o GPT-4o mini GPT-o1 |
高度な音声モードに無制限でアクセス可 |
Gemini | 無料 | 1.5 Flash | Googleアプリと連携 自然な音声会話 |
Gemini Advanced | ¥2,900/月 | 1.5 Flash 1.5 Pro 1.5 Pro with Deep Research 2.0 Flash Expreimental 2.0 Experimental Advanced |
Googleアプリと連携 最大1,500ページのテキストを分析 複雑なタスクで卓越した性能を発揮(2.0 Experimental Advanced) |
Microsoft Copilot | 無料 | GPT-4 Turbo | |
Microsoft Copilot Pro | ¥3,200/月 | GPT-4 GPT-4 Turbo |
Microsoft 365 アプリでCopilotを使用可 |
また、このようにさまざまな特徴を持っているAIツールですが、それぞれに得意分野はあるのでしょうか。
「このAIは文章作成が得意」「こちらのAIはプログラミングが得意」という傾向もあるとは聞くものの、実際のところ、それぞれの得意分野を見極めるのは難しいのが現状です。
というのも、そもそもAIチャットボットは、ユーザーの指示や学習内容によって異なる返答をします。しかも無料版の場合は、同じ質問に対して別の答えを返したり、もっともらしい情報を生成して回答したりすることも少なくありません。
加えて、生成AIは日進月歩の勢いで成長し、次々に新しいモデルが登場しています。そのため、1年前のChatGPTと1年後のChatGPTを比較したときに、ほぼ別物になっていてもおかしくありません。
これらのツールに関しても当初は「AIチャットボット」と紹介されていましたが、やがて「AIアシスタント」とも呼ばれるようになり、最近は自律型の「AIエージェント」の概念も急速に広がりつつあります。
いずれにせよ、幅広い用途で活用できるのが、本記事で紹介した生成AIに共通する特徴です。画像生成やコンテンツ作成に特化したツールを使うならいざ知らず、AIチャットボットに関しては、自身が普段使うデバイスあるいは用途を考慮して選ぶのが無難だと言えるでしょう。
ツールごとに活用シーンもさまざま!まずは試しに使ってみよう
一見するとどれも同じAIアシスタントに見えるChatGPT、Gemini、Copilotですが、本記事でも説明したようにそれぞれが異なる特徴を持っており、活用シーンもさまざまです。
現時点で言えることとしては、冒頭でもまとめたように、
- カスタマイズ性の高いChatGPTは幅広い用途で使える
- AndroidユーザーはGeminiが使いやすい
- ビジネス用途でCopilotを使ったPCやサービスを利用の検討をするのはあり
といったところでしょうか。実際に使ってみて別の感想を持つ可能性もあるので、まずは一度試してみることをおすすめします。