現代のパソコンを使った作業に欠かせないのが、Microsoft 365やAdobe Creative Cloud(以下、Adobe CC)といったサブスクリプションサービス。
ひと昔前は「PCソフト」といえば物理ディスクからインストールするものでしたが、今やパッケージで購入することはほとんどなくなりました。買い切り型のソフトは今もメジャーですが、一方では、月額課金制のサブスクリプションモデルに移行したサービスも少なくありません。
最新機能のために新バージョンを買い足す必要がなく、自動でアップロードしてくれたり、作業で使うファイルをオンライン上で保存してくれたりと、基本的には便利なサブスクソフト。ですが、この手のソフトを使っていて、なんとなく動作や回線速度が重く感じた経験のある人も多いのではないでしょうか。
はたして、Microsoft 365やAdobe CCといったサブスクサービスは、PCの動作や回線速度に影響するのでしょうか。順を追って説明します。
目次
そもそも「クラウドサービス」とは?
まず、そもそも「クラウドサービス」とはどのような仕組みのものなのか、改めて確認しておきましょう。ご存じの方は読み飛ばしてしまっても結構です。
正式には「クラウドコンピューティング」とも呼ばれますが、クラウドとは、ネットワーク上でデータやサービスを管理したり提供したりするシステムのこと。
オンライン上でやり取りを行うことで、ユーザーは端末の容量を気にせずにデータを保存・管理できたり、ソフトウェアを必要なときだけ利用できたりします。身近なところでは、スマートフォンで撮った写真をクラウドで管理している人は多いのではないでしょうか。
近年はそのような写真やデータだけではなく、作業で使うアプリケーションもオンライン上で動作するようになっており、Microsoft 365やAdobe CCもその一種です。これらのアプリケーションでは、作成したドキュメントをクラウド上に保存するだけでなく、編集中の作業もリアルタイムで同期してくれます。
言い換えれば、「オンライン環境下では、作業中のデータを常に最新の状態で自動保存してくれる」わけですね。「編集ソフトがフリーズして、それまでの作業データがなくなってしまった」なんて手痛い経験をしたことのある人もいらっしゃるかと思いますが、クラウドならそのようなリスクも抑えられます。
クラウドサービスを使っていて重く感じるのはなぜ?
しかし他方では、「クラウドサービスを使うようになってから、パソコンの動作が重くなった気がする」という声もしばしば耳にします。
まず前提として、クラウドサービスが動作に影響を与えている可能性はあります。
考えられる原因としては、主に以下の3つが挙げられます。
原因①「バックグラウンドでの同期」
先ほどの説明にもあったように、クラウドサービスは、データを同期するために定期的に通信を行います。
それもアプリケーションを使っての作業中だけではなく、別のアプリを開いているときにバックグラウンドで同期が行われることもしばしば。一見すると画面上では動いていないのですが、アプリケーション自体はバックグラウンドで動作しており、ファイルを最新の状態に同期するために通信をしているわけですね。
この同期プロセスによって、インターネット回線に負荷がかかるほか、CPUやメモリの使用率も増加することがあります。
原因②「大容量ファイルの同期」
作業中に目に見えて動作が重くなった場合は、容量の大きなファイルが同期中でないか確認してみてください。
ありがちなシーンとしては、Adobe CCでの画像や映像の編集中。特に高解像度の画像・動画データは容量が大きく、ファイルを同期する際の通信量も必然的に大きくなります。そうなることで、回線速度が低下したり、パソコン自体の動作が重くなったりすることがあります。
原因③「複数デバイスの同時使用」
クラウドサービスの中には、複数のデバイスで同時に接続し、リアルタイムで共同作業ができるアプリケーションがあります。
それ自体は便利な仕組みではあるのですが、複数の端末で同時に接続することで回線速度が低下することがあります。もし複数のデバイスでの利用中のみ動作が不安定になるようでしたら、それが原因かもしれません。
動作や回線速度が重く感じたらどうすれば?3つの対策
では、クラウドサービスを使っていて、パソコンの動作や回線速度が重くなっているように感じられたら、どうすればいいのでしょうか。
対策①「使っていないときはアプリケーションを終了する」
作業中以外の場面で、データの同期によって動作や回線速度が重くなっているようでしたら、そのアプリケーションを終了しましょう。
アプリケーション自体を終了させてしまえば、バックグラウンドでデータが同期されることもありません。もちろん、アプリケーションを起動すれば自動で最新の状態に同期されるので、別の用途でパソコンを使っているときは終了してしまってOKです。
対策②「同期の設定を見直す」
「いつでもすぐに最新の状態のデータを編集できる状態にしておきたい」「でもパソコンの動作は安定させたい」という人は、同期の設定を見直しましょう。
一例として、Adobe CCでは同期するファイルの転送速度を調整することができます。環境設定の「同期」の項目から、ダウンロード速度とアップロード速度の両方を変更可能。同様の設定ができるクラウドサービスも多いので、回線速度が気になる場合は設定を見直してみてください。
対策③「オフラインモードを活用する」
Adobe CCにはその名もずばり「オフラインモード」という機能があるほか、Microsoft 365もオフラインでの作業が可能です。
特に大容量のファイルを編集するようなシーンでは、頻繁にデータ通信が発生するため、動作が重くなる傾向にあります。そんなときは、オフラインモードで作業を行い、一段落したらオンラインに接続してファイルを同期するのがおすすめです。
ちなみに、オフラインモードはインターネット接続が不安定な環境でも作業ができ、バッテリー消費を抑えられるというメリットもあります。
別のバージョンを試してみるのもひとつの手
以上、クラウドサービスを使っての作業中にパソコンの動作や回線速度が遅くなる原因と、その対策について説明してきました。
本記事では「同期」の問題を主に取り上げましたが、考えられる原因はほかにもあります。稀なケースではありますが、アプリケーションの不具合や、パソコンとの相性の問題も可能性としてあるようです。もし最新版にアップデートして重くなるようでしたら、別のバージョンを試してみるのもありかもしれません。
また、このようなクラウドサービスが当たり前になりつつある今、根本的な回線速度が重要であることは言うまでもありません。回線自体が不安定ということでしたら、速度と安定性を兼ね備えた光回線への乗り換えを考えてみてはいかがでしょうか。
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*1 IPv6に対応していないサービス/サイトはIPv4接続となります。
*2 最大通信速度は光回線タイプによって異なります。最大通信速度はお客さまのご利用機器、宅内配線、回線の混雑状況などにより低下します。