2017年4月にVAIOから発売された、同社2機種目のAndroid OS搭載スマートフォン「VAIO Phone A」。
約1年前に発売されたWindows 10 Mobile搭載スマホ「VAIO Phone Biz」で好評を得たデザインをそのままに、OSをより汎用性の高いAndroidへの変更し、かつ約3万円という安さで買える派生モデルとして、注目を集めています。
今回はVAIO Phone Aを実際に使ってみて感じた特長や印象を紹介していきます。
目次
ひと目見て「大きい」!5.5インチディスプレイのボディ
VAIO Phone Aはアルミの塊から削り出した金属製ボディに、5.5インチのフルHD液晶ディスプレイを搭載するやや大きめサイズのスマートフォン。
まず手に持ってみても、率直に「大きい」とは感じますね。
側面から背面にかけてのアルミ部分は、ブラスト加工を呼ばれる加工技術を施し、高級感も高められています。指ざわりはサラサラ。
少し滑りやすい印象はありますが、もし気になるようであれば、ソフトケースを別に用意することをオススメです。
ソフトケースに使われる「シリコン」や「TPU」などの柔らかい樹脂素材は、その多くが滑り止めとしても効果を発揮してくれますよ。
幸いにも背面は左右の端にかけて丸みを帯びた形状となっており、しっかり握れれば、手のひらへのフィット感は悪くありません。
本体サイズはそれなりに大きいため、手の大きい人であっても、片手での操作はなかなか難しく感じるVAIO Phone A。
出来る限り片手で操作したいのか、両手操作でもかまわないのか……。
このあたりは購入を検討する上で、判断のポイントとして考えてみるとよいでしょうね。
ちなみに、「本体サイズが大きい」ことにはメリットも多くあります。
まず非常に単純ですが、画面がとても見やすいということですね。
5.5インチのディスプレイは解像度もフルHDと高く、動画視聴やインターネット閲覧、電子書籍での読書まで、幅広く活躍してくれます。
マンガはものにもよりますが、拡大表示せず、そのまま読むことができる場合もありました。
この点はやはり大きなサイズと高い解像度を持つディスプレイならでは、の魅力です。
こだわりを感じるセンスよいデザインは◯
サラサラとした金属の質感によるデメリットを紹介したばかりですが、この金属の質感には一方で大きな魅力も感じます。ズバリ見た目がカッコイイ!ということです。
VAIO Phone Aのデザインは、VAIOが手がけるノートPCの高性能モデル「VAIO Z Canvas」のデザインをベースとしており、アルミブロックから削り出し、いくつもの工程を重ねて生み出されたもの。
少なくともぱっと見では約3万円で買えるスマホには見えません。
背景を黒に変えてみると、ブラスト加工で仕上げられた表面の質感がより見て取りやすくなりますね。
高級さやスマートさとともに、無骨な男らしさも感じることができますよ。
またVAIO Phone Aならではのこだわりといえるのが、背面中央のロゴデザイン。
「VAIO」の文字が非常にはっきり確認できますが、これはプリントでなく、レーザー刻印で立体的にデザインされています。
他社の同じ価格帯にある製品でも金属ボディを採用しているスマホこそありますが、その多くでは、メーカーロゴのデザインはプリントで行なわれています。
手頃な価格で購入できるのに、デザインは細部までこだわりを感じられる。
このあたりはVAIOスマホだからこそ、といえますよ。
シンプル&万能に使いやすいソフトウェア
続いてVAIO Phone Aの処理性能やソフトウェアもチェックしてみましょう。
VAIO Phone Aには8つのコアを備えるプロセッサに、3GBのメモリ、16GBのストレージを搭載します。
現在発売中のスマホを性能別に上から「ハイエンド」「ミドルレンジ」「ローエンド」とすると、ちょうど中間の「ミドルレンジ」といえる内容です。
通常の操作で「動作がカクカクする」などストレスを感じることはほとんどなく、中間の性能といっても十分しっかりと使うことはできます。
スマホが処理性能をとくに必要とするゲームアプリも、大きなストレスを抱くことなく楽しめました。
ただしもっとも負担が大きいといえる、3Dグラフィックをバリバリ使ったアクションゲームなどは、さすがに厳しい印象も。
スマホの使いみちとしてゲームを思いっきり楽しむことも考えている場合は、もう少し予算を足して「ハイエンド」と呼ばれる、より性能の高い機種を選ぶほうがおすすめです。
プリインストールアプリは少なめ
さて、VAIO Phone Aの中身をチェックしてみて良いな!と思ったポイントもいくつか紹介しておきます。
まずは初期状態でインストールされているアプリ、いわゆる“プリインストールアプリ”の数が非常に少なく、シンプルであること。
下の写真は初期設定直後に確認したアプリドロワー(アプリ一覧)の様子。
アプリの数が少ないことと併せて、9割以上がGoogleサービスのアプリとなっています。
ストレージ容量が16GBと決して大きくはないVAIO Phone Aですが、そこに負担をかけないプリインストールアプリの少なさは◯。
デュアルSIM・デュアルスタンバイにも対応
続いては、現在のSIMフリースマホのトレンドでもある“4G+3Gの同時待ち受け”に対応すること。
これは2枚のSIMカードを同時に差し、2つの電話番号で音声着信を待ち受けたり、音声通話とデータ通信の機能をそれぞれ別のSIMカードに割り当てることができるものです。
下の写真ではNTTドコモとY!mobileの回線で待受できている状態。
この機能を活用すると、これまでプライベートと仕事用で2台持ち歩いていたスマホを1台にまとめることが可能に。
荷物が減って便利ですよね。
また最近では「音声通話かけ放題」や「データ通信の容量制限なし」といった特徴をもつSIMカード・契約プランも多く登場しています。
こういったSIMカードの良い部分だけを上手に組み合わせて使いやすい、ということも同時待ち受け対応機種のメリットです。
1枚のSIMカードですべてよいとこどりしてしまうと月額の料金も高くなりがち。それを2枚のSIMカードに分散させるだけで、グッと料金を抑えられる場合もありますよ。
SIMカードの大きさには注意!
さらにVAIO Phone Aでは、NTTドコモの高品質通話機能「VoLTE(ボルテ)」や高速通信技術「キャリアアグリゲーション」もサポートします。
約3万円のスマホがこれらの機能・技術をサポートすることは珍しく、これだけでもかなり大きな魅力です。
なおここでひとつ注意点も。
もしVAIO Phone Aに指して使用するSIMカードを端末とのセットでなく、それぞれ個別に用意する場合はSIMカードの種類(大きさ)を間違えないようにしたいところ。
比較的最近に発売された機種の多くでは「Nano SIM」と呼ばれる、サイズが一番小さいSIMカードで使う設計となっています。
ですがVAIO Phone Aでは、メインのカードスロットの種類はNano SIMよりひとまわり大きな「Micro SIM」です。
SIMカードを乗せられる場所は2箇所あり、もう一方はNano SIMサイズなので、Nano SIMカードも使えないことはありません。
ただそちらのスロットはMicroSDメモリカードとの兼用なので、Nano SIMを乗せてしまうと、メモリーカードを使うことができません。
内蔵されているストレージ容量は16GBと決して大きくはないので、MicroSDメモリカードはぜひ有効に活用していきたいもの。
そうなるとぜひ、SIMカードもMicro SIMサイズで用意したいですね。
ややクセのあるカメラはモードを賢く使おう
最後はスマートフォンの用途として今や欠かすことのできない、カメラをチェック。
VAIO Phone Aは背面に有効画素数1,300万画素のメインカメラを、前面の画面上に同500万画素のサブカメラ(自撮りカメラ)を搭載します。
ここではメインカメラで撮影した写真をいくつか例として紹介しつつ、カメラ機能を見ていきましょう。
以下紹介する写真はいずれも、撮影後の加工はリサイズ(縦横サイズの縮小)を施しただけのものです。
まずは天気のよい日に屋外で撮影した桜の花。
太陽の位置を確認しつつ、順光(背中側から陽が当たる状態)で撮影。
ピントを合わせた右側の花はしっかり明るく撮れましたが、左奥は暗さの目立つ惜しい仕上がりになってしまいました。
この写真に限らず、様々な場面で写真を撮影して試してみましたが、VAIO Phone Aのカメラは全体的に暗めの色合いに写ってしまうクセを感じます。
この問題への解決策となるのが、カメラアプリに用意された全12種類の撮影モードですね。
数が多いだけに「どんなシチュエーションではどのモードがハマるのか」慣れが必要ですが、上手に選べるようになると、写真の印象が大きく変わります。
例えば、さきほどの桜を「HDR」モードで撮影したのがこちら。
全体的に明るく、花のピンク色もより可憐に記録できました。
HDRモードは一度に明るさの設定を変えた複数の写真を撮影し合成することで、フレーム内の明るい場所と暗い場所をバランス良く記録できるモード。
やや色がキツく出てしまうケースはあるものの、全体的なバランスを揃えたい場合に使ってみたい撮影モードです。
次は料理を撮影。中をレア気味に焼いてもらったステーキをパシャリ。
これでも十分美味しそうですが、個人的には少し明るすぎる印象も。
もう少し落ち着いた温かみのある色合いが好みだったので、モードを切り替えて撮り直し。
全体的に落ち着いた雰囲気になり、“メシウマカメラ”といわれるような、暖色寄りの仕上がりになりました。
こちらのほうが食欲をそそられるという人も多いのではないでしょうか。
先程の全体的に明るくはっきりお肉が写ったほうが美味しそう!という人もいるかもしれませんが、ここで伝えたいことは“撮影モードを変えると写真の印象も大きく変えることができる”ということです。
VAIO Phone Aのカメラは、満足できる写真が撮れるようになるまで、慣れは必要だと感じました。
そのあたりも含めて楽しむことができるかが、大きなポイントとなりそう。
ただ慣れや工夫によっては、約3万円という価格におさまらない写真も撮れる性能は持っている機種ですよ。
さいごに
約3万円という手頃な価格で、センスよくこだわりが感じられるデザイン、日常では大きなストレスを感じにくい処理性能、トレンド機能、慣れと工夫次第でキレイに撮れる素質を秘めたカメラを備えるVAIO Phone A。
決して高いレベルで万能なスマホ、あるいはどこか一つが大きく優れたスマホ、というわけではありませんが、全体的なバランスは非常によく取れた1台といえます。
スマートフォンとしてある程度しっかりと使えるものを、少ない予算で選びたい。でもデザインも妥協はしたくない……。
そんな“欲張りさん”にとって、VAIO Phone Aは強い魅力を感じられる機種だと思いますよ。