光回線の月額料金は、同じ回線事業者なら戸建てタイプよりもマンションタイプのほうが安く設定されています。両者が違う価格設定になっていることに関して疑問に感じている人も多いかもしれません。戸建て住宅の回線とマンションの回線で一体何が違うのでしょうか。
本記事では、光回線のマンションタイプが戸建てタイプよりも安い理由や、マンションの光回線の仕組みについて解説していきます。
目次
光回線の戸建てタイプとマンションタイプの違い
光回線は戸建てタイプとマンションタイプで、回線の引き込み方が異なります。この違いが、価格の違いにかかわっています。では、それぞれ、どのような仕組みで回線が引き込まれているのか見ていきましょう。
戸建てタイプの仕組み
戸建てタイプの場合には、近くの電柱から1本の光ファイバーケーブルを直接1軒の家に引き込む仕組みです。1軒の家で1本の光ファイバーケーブルを使用できるため、通信速度は高速で安定しやすくなります。
しかし、1軒あたりにかかる維持費や管理費などは高くなるため、月額料金も高めに設定されています。
マンションタイプの仕組み
マンションタイプの場合には、マンションの共有部分まで1本の光ファイバーケーブルを引き込んでいます。共有部分にスプリッターを設置して各部屋に振り分けている仕組みです。つまり、1本の光ファイバーケーブルを複数世帯で共有しています。
戸建てタイプと比べると、他の住人の影響を受けやすく、混雑して通信速度が落ちたり不安定になったりしやすいのが実情です。その一方で、1軒あたりにかかる維持費や管理費は戸建てタイプよりも安く済み、月額料金にも反映されているというわけです。
マンションタイプでの各部屋への振り分け方
光回線が導入されているマンションでは、各部屋への回線の振り分け方が3種類に分かれています。では、それぞれの仕組みや特徴について見ていきましょう。
光配線方式
光配線方式は、光ファイバーケーブルを使用して各部屋に配線する方法です。各部屋には光コンセントが設置され、接続方法は戸建てタイプとほとんど変わりません。
共有部分の前も後も光ファイバーケーブルのため、戸建てタイプには若干劣るとはいえ、高速で安定しています。マンションタイプの光回線でもっとも多いタイプです。
LAN配線方式
LAN配線方式は、LANケーブルを使用して各部屋に配線する方法です。各部屋にはLANコンセントが設置されており、LANケーブルでデバイスを接続します。光配線方式に次いで高速で安定した通信が可能です。
VDSL方式
VDSL方式は、電話回線用のケーブルで各部屋に配線する方法です。各部屋にはモジュラージャックが設置され、モデムを使用して接続します。
電話回線用のケーブルはアナログ回線のため、光配線方式やLAN配線方式ほどの速度は出ず、接続が不安定になることもあります。
※10Gbpsプランに関しては光配線方式のみとなり、マンションタイプと戸建てタイプの月額料金が同じになる場合が多いようです。
マンションでも戸建てタイプのプランを契約可能
マンションに住んでいる人の中には、光回線でも速度が遅く不満に感じている人もいるでしょう。より高速で安定した回線を使用するために、マンションでも戸建てタイプを契約することが可能です。ただし、注意すべき点もいくつかあります。
オーナーや管理会社の許可が必要
戸建てタイプの光回線を利用するには、光ファイバーケーブルを直接部屋に引き込むための工事が必要です。しかし、マンションなどの集合住宅では、住人が勝手に工事をすることはできません。事前にオーナーや管理会社から許可を得ておく必要があります。
許可を得ず勝手に工事をしてしまうと、トラブルになる可能性もあるため注意しましょう。
工事費用がかかる
光回線の工事をするのには2万〜4万円程度の費用がかかります。オーナーや管理会社の許可は得られても、工事費用まで負担してもらえる可能性は低いでしょう。
ただ、回線事業者の方ではキャンペーンが頻繁に行われています。キャンペーンを利用することで、工事費用が安くなったり実質無料になったりすることも多いので、キャンペーン開催のタイミングを狙うのもおすすめです。
退去時に原状回復が必要になる場合もあり
賃貸マンションの場合には、退去時のことも考慮しておかなければなりません。自分で戸建てタイプの光回線を契約して工事をした場合には、退去時に原状回復を求められることもあります。
オーナーや管理会社に許可を取る際に、原状回復の要否に関しても併せて確認しておきましょう。
マンションの光回線でよくある質問
マンションの光回線に関して、よくある質問とその回答を見ていきましょう。
小規模なマンションなら速度はあまり遅くならない?
基本的に1本の回線を共有する世帯数が多いほど、速度も落ちやすくなります。小規模なマンションの場合には、回線を共有する世帯数も少ないため、速度の低下も限定的です。
ただし、マンションの光回線の速度は、世帯数だけでなく配線方式も関係しています。その意味で、VDSL方式だと小規模なマンションでもあまり速度が出ないことが多いです。
中上層階でも戸建てプランを利用できる?
戸建てプランでは、戸建てと同じように電柱から光ファイバーケーブルを引き込む必要があり、利用可能なのは3階くらいまでです。
概ね4階以上だと工事ができず、戸建てプランを利用できない可能性があります。光回線事業者に事前に確認しましょう。
まとめ
戸建てタイプは、電柱から1本の光ファイバーケーブルを1軒で使用していますが、マンションタイプは複数世帯で共有しています。戸建てタイプほどの速度や安定性はありません。
特にVDSL方式で配線しているマンションだと、速度は遅めです。ですが、1軒あたりの維持や管理にかかるコストは安いことから、月額料金が安く設定されています。
また、マンションでも1〜3階くらいであれば、戸建てタイプを利用できることがあります。もし、速度などで満足していない場合には、戸建てタイプの利用も検討してみましょう。