Vol.6 無線LANと有線ではどちらが速い?10ギガ回線下でテストしてみた
(提供BIGLOBE)


渡辺まりか
- 本記事は作成時点の内容です。
最近話題の光回線10ギガプラン(BIGLOBE提供)を、IT系ライターが実際に契約して使ってみました。その体験談を綴るシリーズです。
BIGLOBE光10ギガプランのモニター記事を書くことになり10ギガ光回線を契約した際、不調になりつつあった無線LANルーターを「TP-Link Deco BE85」(以下、Deco BE85)へ交換しました。Deco BE85は、無線LAN規格はWi-Fi 7*1、有線ポートはWAN/LANともに10Gbpsに対応した10ギガ光回線に適合した無線LANルーターです。
- 1 接続する端末側も対応している必要があります。
今のところ、2基ある10Gbpsポートのうち1つは、光回線をデジタルへ変換して使えるようにする光回線終端装置(以下、ONU)につながっており、1つ余っている状態です。
せっかくなので、Wi-Fi接続と有線接続で違いがあるかどうかを試してみることにしました。
テストに使ったもの
今回テストに使った端末は以下のものです。
端末 | Wi-Fi規格 | |
---|---|---|
Windows PC | ONEXPLAYER 2 | Wi-Fi 6E |
携帯ゲーム機 | AYANEO Pocket S | Wi-Fi 7 |
Steam Deck OLED | Wi-Fi 6E | |
Androidスマートフォン | Galaxy S25 | Wi-Fi 7 |
iOS端末 | iPhone 16 | Wi-Fi 7 |
どの端末にも、RJ45コネクタ(LANケーブルの先端を挿し込むポート)がありません。そこで「UGREEN 5Gbps USB C 有線LAN アダプター」により、Type-CポートでLANケーブルの接続ができるようにしました。
なお、UGREEN 5Gbps USB C 有線LAN アダプターはファンを回すための電力を必要とし、AYANEO Pocket Sは単体で使用できなかったので、ドッキングステーション「サンワサプライ 400HUBCP19GM」も併用しました。
ケーブルは「エレコム LANケーブル CAT8 3m 40Gbps(ECLD-OCM/WH30)」です。10Gbpsの速度が出れば良いので、CAT6Aケーブルでも良かったのですが、これはいわゆる「自己満足のため」に現時点での最新カテゴリのものを選びました。
通信速度の計測には、「SteamDeck OLED」のみブラウザ上でのスピードテスト機能を使い、その他の端末ではOoklaの「Speedtest」アプリを使いました。
各端末で5回計測し、その平均値を「結果」としています。

▲Speedtestアプリは、Windows、macOS、iOS、Apple TV、Android向けに用意されています
スマートフォンで有線接続する方法
さて、ここで読者の中には「スマートフォンって、有線でインターネットにつなげられるんだ!」と驚いた人もいるかもしれません。
実はできるのです。
例えば、iPhoneであれば、前述のようなLAN to USB Type-Cアダプター、またはスマートフォンにも対応するドッキングステーションを使ってLANケーブルを接続し、「設定」アプリを開きます。すると、「Ethernet」(イーサネット。ネットワークに有線で接続するための通信規格)という項目が現れます。LANケーブルの種類を確認してから、機内モードを選択すれば、確実に有線でのみインターネットに接続します。

▲「設定」内に「Ethernet」が出現していればOK
Androidの場合、機種によって異なりますが、USB Type-C端子がOTG(On-The-Go)、つまりPCのようにスマートフォンをホストとしてマウスやキーボード、その他のUSB機器をつなげて使える機能があるので、ケーブルを挿すだけで接続される場合もありますし、OTG機能やイーサネットをオンにする必要があるものもあります。

▲こちらはLibero Flipの設定画面。まずは「USB OTG Checker」などのアプリで搭載しているポートがOTGに対応しているかどうかを確認しておきましょう。Libero Flipの場合は、「設定」からOTGをオンにしないと有線接続を行えません

▲Galaxy S25では、「設定」→「接続」→「その他の接続設定」→「イーサネット」へと進みます。イーサネットをオンにすれば後は接続するだけで自動的に有線接続が優先されるようになります
気になるテスト結果は……?
まずは無線接続です。
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | |
---|---|---|
ONEXPLAYER 2 | 1591.3 | 1856.4 |
AYANEO Pocket S | 1564.0 | 1724.8 |
Steam Deck OLED | 947.8 | 71.2 |
Galaxy S25 | 2990.4 | 2324.4 |
iPhone 16 | 1433.4 | 1417.8 |
同じWi-Fi 7規格対応のGalaxy S25とiPhone 16ですが、前者ではダウンロードが2990.4Mbps、アップロードが2324.4Mbpsだったのに対し、後者では1433.4Mbp、1417.8Mbpsと端末によって差が出ました。とはいえ、それでも1ギガ回線では決して得られない値です。
SteamDeck OLEDは、アップロードスピードが71.2Mbpsと、他の端末と比べて見劣りがしました。
有線接続の方も見ていきましょう。
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | |
---|---|---|
ONEXPLAYER 2 | 2212.9 | 1721.1 |
AYANEO Pocket S | 445.0 | 1291.8 |
Steam Deck OLED | 1063.6 | 2915.3 |
Galaxy S25 | 1945.6 | 2490.2 |
iPhone 16 | 338.6 | 321.8 |
ONEXPLAYER 2では、ダウンロード/アップロードともに2000Mbps以下だったものが、ダウンロードでは2212.9Mbpsへとスピードアップしていました。逆に、iPhone 16では無線接続時にダウンロード14533.4Mbps、アップロード1417.8Mbpsと高速だったものが、それぞれ338.6Mbps/321.8Mbpsと著しく速度が低下していました。
実は、iPhone 16が搭載しているUSB Type-C端子はUSB 2.0規格というもので、最大データ転送速度が480Mbpsなのです。これではどんなに頑張っても480Mbps以上の通信速度を得ることができません。
有線接続の通信速度は、ハード側の制約から大きな影響を受けてしまうということがわかる、一つの例といえるでしょう。
とはいえ、あれだけアップロードスピードの遅かったSteamDeck OLEDでは2915.3Mbpsという速度を出すことができました。
アップロードとダウンロードで、有線接続時と無線接続時の速度比較のグラフを下に掲載します。有線接続の方が速いものもあれば、無線の方が速いというものもあり、なかなか興味深い結果になりました。


通信速度だけでは図れない有線接続のメリット
では、有線で接続するのは全くむだなのでしょうか。一概にそうとも言い切れません。
例えば、iPhone 16では有線接続をすると、データ通信速度が1000Mbps以上低下してしまっていますが、Pingの数値が小さくなっています。Pingとは通信の応答速度を表す数値で、小さければ小さいほど反応にかかる時間が短く、いわゆる「ラグがない」状態になります。コマンドに対してラグが少ないということは、オンラインゲームを有利に進められるというわけです。

▲iPhone 16のテスト結果の一例。データ通信速度が圧倒的に速いのは無線接続の方ですが、有線接続の方がPingの数値が小さく、応答速度の速さを示しています
安定した通信を行えるのもメリットの1つです。無線接続台数が増えても、物理的な線で接続していれば、ほぼ影響を受けることがありません。
まとめ
契約しているインターネット回線が速くなったので、「もっと高みを目指したい!」と思っていたのですが、案外、無線接続のほうが速いこともある、ということが今回の検証でわかりました。
もちろんこれは利用している無線LANルーターの性能によるところも大きいといえるでしょう。筆者宅で選んだのは、BIGLOBE光10ギガ回線契約時に、オプションで展開されていたDeco BE85だったため、いってみれば“相性バツグン”の“最適”な製品でした。
今後、Wi-Fi 7規格に対応した端末が増えてくることを考えると、「ベストチョイスだったなぁ」と思わずにはいられません。
また、速度にかかわらず、全体的に有線接続のほうがPingが低くなるということも再確認できました。今のところ、10GbE(10Gbpsで通信できるRJ45コネクタ)を搭載しているPCはそれほど多くないので10ギガ光回線にするメリットをあまり感じないかもしれませんが、LANからUSBに変換するアダプターを使ってUSB接続すれば、RJ45コネクタを使うより速い通信速度を得られます。
ゲームをするときだけ有線接続する、など使い分けていきたいと感じる結果でした。
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