最近話題の光回線10ギガプラン(BIGLOBE提供)を、IT系ライターが実際に契約して使ってみました。その体験談を綴るシリーズです。

「10ギガ光回線って本当に意味があるの?」「家庭用なら1ギガ光回線で十分でしょ?」

こんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。確かに、ひとり暮らしであったり、ネットの接続する端末の数が少ないというのであれば、1ギガ光回線でも十分な速度でデータ通信を行えます。 しかし、現代の家庭では状況が大きく変わってきています。

スマートフォン、タブレット、ノートPC、デスクトップPC、ゲーム機、スマートTV、IoT機器など、1つの家庭で10台以上のデバイスがインターネットに接続されることは、もはや珍しいことではありません。テレワークが普及し、家族全員が同時にビデオ会議を行ったり、4K動画を視聴したりする機会も増えています。

そこで今回、実際に10ギガ光回線環境で複数台のデバイスを同時接続し、速度測定を行ってみました。使用したのは最新のWi-Fi 7対応ルーター「TP-Link Deco BE85」。
果たして、10ギガ光回線は複数台接続時でも1ギガ光回線を上回る性能を発揮するのでしょうか?

30台がぶら下がっている過酷な検証環境

まず、検証環境をご紹介します。BIGLOBE光10ギガ回線に、無線LANルーター「TP-Link Deco BE85」を接続し、スマートフォンやモバイルゲーム機、ノートPCなど合計6台のデバイスで同時に回線のスピードテストを実施しました。

端末の内訳は以下のようなものです。

端末
Windows PCONEXPLAYER 2AYANEO SLIDE
携帯ゲーム機AYANEO Pocket S
AndroidスマートフォンGalaxy S25Galaxy S23 Ultra
iOS端末iPhone 16

なお、Amazon Alexa端末(スマートスピーカーやFire HDタブレット)、Chromebook、家族の所有しているゲームコンソール、スマートロックやスマート照明といったIoT家電など、無線LANルーターと接続している端末の合計台数は30台でした。

▲TP-Link Deco BE85に30台接続されている状態で計測していきます

検証結果は?

無線LANルーターからの電波強度を高めるには、設置場所と同じ高さに端末を置いた方が良いのですが、今回は3mほど離れた同じ部屋の床に6台を並べました。できるだけタイムラグのないように次々とテストボタンを押していきます。

10回計測し、その平均値を出しました。テストボタンを押す順番を途中で変えることで、無線LANルーターへアクセスする順番に偏りが生じないよう工夫しました。

その結果は以下のようなものになりました。

下り(Mbps)上り(Mbps)
ONEXPLAYER 2692.2567.6
AYANEO SLIDE615.1632.7
AYANEO Pocket S191.383.6
Galaxy S25505.7801.4
iPhone 16634.4638.3
Galaxy S23 Ultra516.8687.5

こちらは、回数を追うごとにどのように各端末のデータ通信速度に変化があったかを示す折れ線グラフです。

他に24台の端末が、同じ無線LANルーターとつながっており、そのうち5台は動画配信サイトや音楽配信サイトと接続してデータ通信を行っています。必要な時以外は通信しないIoT端末を除いて、動画配信サイトなどに接続している5台+スピードテストを行っている6台、合計11台が1つの回線を共有している状態であることを考えると、平均して高速通信を行えているという結果が得られました。

接続台数を減らしてテストした

ただ現実には、6台がフル稼働している状況というのはあまりないかもしれないので、接続台数を減らしたテストも行いました。
まずは、動画配信サイトや音楽配信サイトに接続して、無理やりインターネット通信を行っていた(しかしテストには参加していなかった)5台の端末の電源を切りました。

また、スピードテストを行っていた6台のうち、4台の電源をオフにして、2台のみが無線LANルーターにつながっているという状態を作りました。

IoT家電やスマートスピーカーはそのままです。というのも、生活の中でIoT家電と無線LANルーターの接続をわざわざ切る、という状況は現実的ではないからです。

これで、1つの無線LANルーターにぶら下がっているクライアントの数は20にまで減りました。この状態の下、2台の端末(ONEXPLAYER 2とiPhone 16)でスピードテストを行います。

5回計測し、その平均値を出しました。結果は、以下の表のようになりました。

下り(Mbps)上り(Mbps)
ONEXPLAYER 21165.61279.3
iPhone 161409.41267.4

ONEXPLAYER 2では、下りが1165.6Mbps、上りが1279.3Mbpsで、iPhone 16では下りが1409.4Mbps、上りが1267.4Mbpsでした。実測で1ギガオーバー、つまり1ギガ回線では絶対に出せない通信速度ですね。

以上の結果から、同時接続台数の増減で、通信速度に影響が出るということが実証されました。

将来を見据えて10ギガ回線を

今回の検証結果で注目すべき点は、6台同時にスピードテストを行っても下り/上りともに(端末性能によりますが)約600Mbpsという驚異的な速度を維持していることです。これは1ギガ回線で接続したときの平均実測値以上の数値であり、実用面では1ギガ光回線を大きく上回る性能を実現しています。

というのも、これまで筆者宅で1ギガ回線のみを契約して使っていた間に、iPhone 16やAYANEO Pocket Sなどで行ったスピードテストでは下りで300Mbpsから600Mbps、上りで200Mbpsから300Mbps程度の速度しか得られなかったからです。

1ギガ回線でのスピードテスト結果

ダウンロード
(Mbps)
アップロード
(Mbps)
レイテンシー
(ミリ秒)
1回目58229010
2回目55829610
3回目27820410
4回目31720312
5回目5542988
平均457.8258.210
最大値58229812

▲ダウンロード/アップロード:数値が大きいほど回線は優良
▲レイテンシー(ネットワーク通信における遅延時間):数値が小さいほど回線は優良

上記の結果は、1ギガ環境下で1台の端末でのみテストしたものですが、これが6台同時となれば、さらに速度が落ちたことでしょう。
細い市道に複数の車両が合流する場合と、片側3車線の高速道路に複数の車両が合流する場合とでは、渋滞の度合いが変わってきます。
1台ずつしか通れない道の方が、より渋滞しやすくなるように、回線が細いと、それだけデータにも渋滞が生じてしまうのです。

現在でもスマートTVが当たり前になっていますし、昼間はテレワークでオンラインミーティングやオンライン商談を行っているという人もいることでしょう。

今後は、ますますインターネットに接続する端末が増えますし、照明だけでなく鍵や冷蔵庫、コーヒーメーカーなどでもスマート化しネットに常時接続するIoT家電が増えることが予想されます。

快適なインターネットライフのために、また接続台数の増える将来を見越して、回線の太い10ギガ光回線へと、早めに乗り換えたほうがスマートだな、と今回のテストから再認識させられました。