Meta社が開発した新しいSNS「Threads(スレッズ)」。Twitterによく似たテキストベースのSNSとして2023年7月にサービスを開始し、日本国内でも大きな話題になりました。
ユーザー数が5日間で1億人を超えるなど前代未聞の注目を集めたSNSですが、その後どうなっているのでしょうか。また、そもそもThreadsとはどのようなサービスなのでしょうか。
このページでは、注目のSNS「Threads」の基本情報を整理しつつ、その現状と課題、今後の展望をまとめていきます。
Meta社のSNS「Threads」とは?
Threads(スレッズ)は、Meta社が2023年7月6日にリリースしたSNS。見た目や使い方はTwitterと似ている部分も多く、テキストを主体にコミュニケーションを行うアプリとなっています。
突如として登場したようにも見えるThreadsですが、「Meta社がTwitterの対抗馬となるアプリを開発しているらしい」という噂は、実は以前から囁かれていました。当初は「噂」レベルでしたが、2023年3月にはMetaが事実であると発表。4ヶ月を経て、今回のお披露目となったわけです。
では、実際にリリースされたThreadsは、どのようなアプリだったのでしょうか。
1. テキストを主体としたSNS
Threadsは、テキストでのコミュニケーションを主体としたSNSです。
Metaと言えば、すでにFacebookやInstagramといったSNSを運営しているのは有名な話ですよね。Facebookはクローズドな実名コミュニティ、Instagramは画像メインのSNSですが、Threadsはそのどちらとも異なります。
前述のように「Twitterの対抗馬」として開発されたThreadsでは、「文字」が主なコミュニケーションの手段。ただ、Twitterで投稿できる文字数が最大140文字であるのに対して、Threadsは最大500文字と、1回でより長い文章を投稿することができます。
2. 基本的な機能は実装済みで、画像や動画の投稿も可能
テキストが主体のSNSではありますが、画像や動画の投稿も当然できます。
Twitterは1回のツイートで4枚までしか画像を挿入できませんが、Threadsでは10枚まで投稿することが可能。アップロードの際に画質が自動で調整されない設定にもできるため、Twitterよりも高画質な画像を投稿できます。
また、Twitterのリツイートに相当する「再投稿」や、引用リツイートのように別の投稿を「引用」する機能もあります。ミュートやブロック、メンションといった基本的な機能は実装済みなので、Twitterに慣れている人はすぐに使いこなせるようになるでしょう。
3. Instagramアカウントと連携
Metaが運営するThreadsはInstagramとの連携が前提となっており、新しくアカウントを作成するにはInstagramのアカウントが必要です。アカウント作成後は、Threads上で自由にプロフィールを編集できます。
すでにInstagramアカウントを持っている人は、Instagramでつながっている人を簡単にフォローできるほか、連携させたInstagramのプロフィールにもThreadsのプロフィール画面へのリンクが表示されます。Threadsでの投稿をInstagramのストーリーやフィードに連携して投稿することも可能です。
なぜ、Threadsはこれほどにバズったのか
リリースから24時間と経たずにユーザー数が3000万人を突破し、5日間で1億人を達成したThreads。インターネット上で提供されるサービスとしては前代未聞の増加数を見せており、大手メディアでも取り上げられるほどの話題となりました。
Threadsは、なぜこれほどの注目を集めることになったのでしょうか。明確な理由を断言することはできませんが、主に以下のような要因があったと考えられます。
1. Instagramからユーザーを誘導できた
まず挙げられるのが、MetaがFacebookやInstagramという世界的なSNSプラットフォームを運営しており、もともと膨大なユーザー数を抱えていたことです。
MetaはThreadsのリリース前にInstagramでちょっとした「予告」を行なっており、ネット上でも話題になっていました。リリース後もInstagramと連携させれば即座にアカウントを作成できたため、ユーザーのスムーズな誘導につながったと考えられます。
2. Twitterに対する不満が高まっていた
イーロン・マスク氏による買収以降、組織改編や仕様変更が行われていたTwitter。
当初は好意的に受け取る見方もありましたが、特に2023年に入ってからは、大幅な変更に対して不満を表明する人も少なくありません。ツイートの閲覧数の制限や一部機能の有料化に加えて、突然の仕様変更によるトラブルも相次いでいます。
そんなタイミングで登場したのが、Threadsです。実際に使い続けるかどうかはさておき、ますます使いにくくなる一方のTwitterの代わりとなる移住先として、Threadsの存在はまさに「渡りに船」だったと言えるでしょう。
3. アカウント作成が簡単で、インフルエンサーも登録していた
降って湧いたように登場したThreadsですが、実のところ「Twitterの代わりになる移住先」としては、ほかにも選択肢があります。
たとえば、Twitterの創業者が開発に携わっている「Bluesky」や、Twitterでもたびたびトレンドになっている分散型SNS「Misskey」がそうですね。特にMisskeyはエンタメ色が強く、新しいものが好きなクリエイターたちが飛び込んで盛り上がりを見せ続けています。
しかしこれらのサービスには、アカウント作成の際にちょっとした「壁」があります。Blueskyは招待制ですし、Misskeyは登録するサーバーをまず選ばなければなりません。そもそも「分散型SNS」にピンときていない人にとっては、少々ハードルが高く感じられるのではないでしょうか。
その点、ThreadsはInstagramアカウントがあればすぐに登録できますし、その手軽さもあって、多くのインフルエンサーが早々にアカウントを作成していました。そのようなハードルの低さがThreadsのユーザー増につながったと考えられます。
Threadsを利用する際の注意点は?
世界的なテック企業が運営するSNSであり、アカウントの作成方法や使い方もわかりやすいThreadsですが、利用するにあたっては注意点もあります。
1. 利用規約は読んでおこう
FacebookやInstagramがそうであるように、MetaはThreadsでもさまざまなユーザーデータを収集しています。
企業やサービスによるデータ収集はMetaに限った話ではありませんので、必要以上に気にする必要はないかと思いますが、それでも「自分のデータがどのように使われるのか」は知っておきたい人もいるはず。気になる方は、登録の際に規約を読んでおきましょう。
2. アカウントを削除するには、Instagramごと削除しなければならない
Instagramと連携してThreadsに登録した場合、Threadsのアカウントを削除するには、連携しているInstagramのアカウントも消さなければなりません。ですので、以前からInstagramを使っていた人は特に注意が必要です。
「Instagramは削除したくないが、Threadsを使うのはやめたい」という人は、「利用解除」という方法でThreadsを休止状態にしましょう。完全な「削除」ではありませんが、再ログインしないかぎりはThreadsのプロフィールを非表示にすることが可能です。
3. ヨーロッパでは利用できない
全世界1億ユーザーという数字を記録したThreadsですが、2023年9月現在、実はまだヨーロッパ圏ではリリースされていません。
というのも、EUにはGDPR(一般データ保護規則)というプライバシー保護の法律があり、Metaはこのルールに準拠するためにまだThreadsをリリースできていないのです。
Threadsの提供をスタートするために協議を進めるとの話もありますが、リリース時期は今のところは未定。EU圏にお住まいでThreadsを利用したい方、EU圏の友人とThreadsでつながりたい人は、まだしばらくは待つ必要がありそうです。
Threadsはどうなる?現状の問題と、今後の展望
当初こそ並々ならない注目を集めたThreadsですが、現在はどうなっているのでしょうか。
2021年に流行したClubhouseがそうだったように、一過性のブームでユーザーが定着しないネットサービスもありますし、Threadsがそうなる可能性もゼロではありません。
最後に、Threadsが抱える問題を整理しつつ、今後の展望を見ていきましょう。
Threadsのアクティブユーザー数は減っている
リリース間もないThreadsに対して成否の判断を下すのは早すぎますが、少なくとも2023年7月下旬現在、そのアクティブユーザー数は「大きく落ち込んでいる」との報道がありました。筆者の周囲を見ても、大多数のユーザーは変わらずTwitterで投稿しているように見えます。
実際、Threadsがリリースされた前後は、ちょうどTwitterが不安定だったタイミングでもありましたが、現在はそれなりに安定して使えています。Twitterを問題なく利用でき、ユーザーが一気に離れないうちは、Threadsへの「移住」は進まないのかもしれません。
機能が不十分で、アプリとしては未完成
他方で、Threads自体がまだまだ「未完成」なSNSであると指摘する声も少なくありません。というのも、Twitterと比べるとまだまだできないことも多く、サービスとしての方向性も不明瞭であるように映っているからです。
事実、TwitterをはじめとするSNSでは利用できる基本的な機能が、Threadsにはまだ実装されていません。前述のように、投稿や引用、フォローやミュートはできますが、たとえば以下のような機能は未実装の状態です。
- キーワード検索
- ハッシュタグ機能
- リスト機能
- ダイレクトメッセージ
- 「いいね」をした投稿の閲覧
TwitterやInstagramに慣れている人からすれば不便極まりないようにも感じますが、一方で、不足している機能については段階的に実装が予定されています。
つい先日も、フォロー相手のみを時系列順に表示するフィードが実装されて、Threadsに戻ってくるユーザーが散見されました。現在はiOS/Androidアプリ版しかありませんが、今後予定されているウェブ版がリリースされれば、フィードもさらに活気づくことでしょう。
Threadsの今後はTwitterの動向にも左右される?
ここまで、Metaの新しいSNS「Threads」について、リリース後約1ヶ月間の動向も踏まえつつ整理してきました。
早くも「オワコン」だと評するメディアもありますが、Threadsが今後どうなっていくかは正直まだ読めません。各種機能が実装されれば使い勝手もよくなるでしょうし、インフルエンサーや企業が積極的に利用するようになれば、ユーザーの移住も進むことでしょう。
なにより読めないのが、Twitterの動きです。
2023年7月24日には、ついにTwitterのブランド名が「X」に変更されました。今後は「スーパーアプリ」への変身をめざすという報道もあり、ThreadsやほかのSNSへのユーザーの移住が進むかどうかは、Twitter改め「X」の動向にも大きく左右されるのではないでしょうか。
いずれにせよ、Threadsは今まさに注目を集めているアプリですし、まずは試しに利用してみることをおすすめします。Twitterに取って代わるかどうかはさておき、新しいSNSの変遷を追える機会はそうそうありませんので、触っておいて損はないでしょう。
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