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iPhone 12 Pro/Maxに搭載された「LiDARスキャナ」とは?
2020年に発売された「iPhone 12」シリーズでは、上位モデルのPro/Pro Maxの背面カメラのみに「LiDARスキャナ」というセンサーが搭載されました。
このセンサーは、そもそも同年に発売されたiPad Pro最新モデルに初めて搭載されて話題になっていたもの。それがiPhoneの最新モデルにも搭載された形となりました。
▲LiDARスキャナを搭載した「iPhone 12 Pro」
LiDAR(Light Detection and Ranging)スキャナとは、要するに赤外線を使ったレーダーのようなもので、赤外線が反射して戻ってくるまでの時間を計測することで、カメラを向けた空間の奥行きや被写体の3次元的な形状を計測できる代物です。
小回りが効くiPhoneだからこそ、iPad Proのそれよりも、こうしたセンサーの恩恵を受ける場面は多いと言えるでしょう。
具体的な恩恵としては、ARコンテンツの表示精度や、ポートレートモードの輪郭認識精度の向上、暗所でのオートフォーカスの速さなどが向上します。
AR機能がより現実的に
従来のiPhoneでARコンテンツを表示させたことがある人はおわかりでしょうが、ARを利用する場合には、まず「iPhoneを動かして開始」のように表示され、手元の平面を認識させる操作が必要になります。
これが意外と手間というか、ARコンテンツの体験をイマイチにしていました。
一方、LiDARスキャナ搭載のiPhone 12 Pro/Maxではこうした“儀式”が不要になります。AR関連アプリを起動したあと、スムーズにコンテンツを利用できるのです。
また、LiDARスキャナがないiPhoneでは、光量が足りない場所だとAR機能を利用できないのですが、LiDARスキャナがあれば問題なく利用可能。「計測」アプリを使って暗所で距離を測ろうなんてときには便利です。
さらに、床や机の上、壁面などの単純な場所を認識するならば、LiDARスキャナなしのiPhoneでも問題なかったのですが、本棚の一部などにARを表示させようと思うとうまく立体を認識できない課題がありました。
LiDARスキャナありのiPhone 12 Pro/Maxでは、こうした空間にもARを表示させられます。
▼動画でも比較してみました
ポートレートモードの輪郭認識が良好に
被写体の背景をぼかせるポートレートモードの精度は、「iPhone 12」シリーズの4機に共通してかなり良好になった印象があるのですが、一部のシーンではLiDARスキャナありのProシリーズのほうが、輪郭の認識が正確に行われます。
例えば、飲み物のカップにストローを挿したような被写体です。LiDARスキャナなしのiPhoneでは、どうしてもストローが背景と認識されてボカされてしまいます。
しかし、iPhone 12 Pro/Pro Maxでは、うまくストローをボカさずに処理できます。
暗所でのフォーカススピードが速い
ARもポートレートモードもあまり使わないよ、という人にとっては、暗所でのフォーカススピードが高速になったことが大きなメリットになるでしょう。
例えば、iPhone 11 Proを使って、暗所で撮影をしようと思った場合には、どうしても焦点を合わせるのに時間がかかります。画面の中央に、焦点を合わせていることを意味する黄色い四角の枠が表示されることでも、これがわかります。
しかし、LiDARスキャナ搭載のiPhone 12 Pro/Maxでは、カメラを向けた瞬間に既にフォーカスが合っているような状態になります。標準カメラと望遠カメラの切り替えなどの際も、同様にピント待ちの時間がほぼ発生しません。
例えば、キャンプのようなアウトドアシーンでせっかくシャッターチャンスなのにピントが合うのを待っていたら撮影できなかった、というような事態を回避できるでしょう。