YouTubeをはじめ、多くのライブ配信サービスには「投げ銭」の機能があります。
有料チケットとは別に、チップとして「投げ銭」をすることで配信者を応援できるシステム。オフラインで人が集まるイベントの開催が困難になり、オンラインイベントが増えている昨今、ビジネスの分野でも投げ銭に注目が集まりつつあります。
本記事ではそんな「投げ銭」について、ビジネスの視点からご紹介。
ライブ配信において投げ銭が果たしてくれる役割に加えて、Zoomをはじめとするオンライン会議サービスで同様のシステムを利用する方法も紹介。投げ銭を用いたイベントの開催を検討されている方の参考になりましたら幸いです。
目次
そもそも「投げ銭」とは?
代表的なのは、YouTubeのライブ配信で見られる「スーパーチャット」ですね。
配信のチャット欄で金額を指定すると、配信者に対してお金を直接「投げる」ことが可能。
スーパーチャットは色付きのコメントとしてチャット欄に表示されるため、配信者側もすぐに気づくことができます。
投げ銭機能はYouTube以外にも、17LIVE、ツイキャス、SHOWROOMなど、多くのライブ配信サービスが採用。
「有料ギフトを購入して投げる」などプラットフォームごとにシステムは少々異なりますが、配信者を金銭面で支援できる機能として広く活用されています。
投げ銭をしてもらうメリット
では、配信者目線で考えると、「投げ銭」にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ビジネスとしての魅力とあわせて、2つのポイントに分けて説明します。
1. チケット代とは別に集金できる
オフラインイベントと比較すると、オンラインイベントは「コストを抑えられる」と言われています。
イベントのジャンルによっては会場を借りる必要もありませんし、スタッフも少ない人数でOK。ノウハウを持たない個人でも開催できます。
しかし同時に、問題もあります。それが、「リアルのイベントで発生したはずの収益がなくなる」ということ。
音楽ライブであればグッズ、トークイベントであれば書籍などを会場で販売することが多いですが、オンラインではそれができません。
もちろん通販を利用する手もありますが、特にグッズなどはリアルな会場の熱気にあてられて買う人も多く、あまり売上が振るわないという声もあります。
そのような収益源の代わりとなるのが、ライブ配信における「投げ銭」です。
配信が盛り上がれば盛り上がるほどファンも「自分の興奮を伝えたい!」と感じるようになり、自然と投げ銭が飛び交うようになります。他の視聴者が投げれば、それに感化されるように投げる人も出現。ファンが一丸となって投げ銭を行う大きな流れが生まれることも少なくありません。
ただし、言うまでもなく投げ銭は強制されるものではありませんし、イベントのジャンルによってはあまり発生しないこともあります。
「思わず投げ銭をしたくなるような空気を作れるか」が、ライブ配信では大切になってくると言えるでしょう。
2. イベントに「一体感」を生み出せる
一番は、目に見えて配信が盛り上がったとき。人気の曲が披露されたり、注目のゲストが登場したりしたタイミングですね。
他にも、演者の反応を期待して投げたり、配信の最後に感謝のコメントを添えて投げたりする傾向も多く見られます。
このような傾向も、配信における「投げ銭」ならではの特徴と言えるでしょう。パフォーマンス後に投げられることの多い、大道芸や路上ライブにおける「チップ」との違いとも言えるかもしれません。
投げ銭は通常のコメントとは異なり、視聴者に独特な「体験」や「一体感」をもたらしてくれます。「投げ銭を投げる」という行為自体が「自分もその場に参加している一員である」という強い実感を感じさせるものなのです。
このような「一体感」が得られるのは、何も音楽ライブだけではありません。それ以外のイベントでも、観客に「その場の一員として参加している」という実感を与えることは可能です。
たとえばトークイベントであれば、「質問は投げ銭とあわせてお願いします」といったアプローチが考えられます。
ずっと聞き手だった視聴者を巻き込んで、ステージに上がってもらうイメージですね。気持ちよく投げ銭してもらいつつ、イベントをさらに盛り上げることができます。
また、知識を提供するタイプのオンラインイベントであっても同様です。
鍵となるのは、参加した視聴者に「為になる話を聞けた」「勉強になった」「刺激的な時間を過ごせた」などと感じてもらえるかどうか。聞き手の心を動かし、価値のある「体験」だったと思ってもらえれば、自然と投げ銭も集まります。
イベントを開催する際には、このような点についても意識してみてください。
送金アプリ「pring」を使った投げ銭システム
YouTubeに代表されるライブ配信サービスとは異なり、Zoomには「投げ銭」の機能がありません。そのためオンラインイベントを収益化するには、「有料チケットを購入してもらい、専用のURLを発行して送る」という方法が主流になっています。
ですが、「イベント自体は無料にすることで大勢の人に参加してもらって、収益化は別の手段で行いたい」と考えている主催者の方におすすめなのが、送金アプリを併用する方法です。
そんなときに使えるのは、「pring」というお金コミュニケーションアプリ。
友達との割り勘などの場面で使えるいわゆる「送金アプリ」ですが、同時に、Zoomと連携した投げ銭サービスも提供しています。このシステムを利用すれば、Zoomを使ったオンラインイベントでも投げ銭をしてもらうことができるわけです。
ただしZoomの画面上に投げ銭が表示されるわけではないため、先ほど説明したような「一体感」は生まれにくいかもしれません。
それでも、オンラインイベントの幅を広げるという意味ではありがたいシステムであり、貴重な収益化の手段となり得るのではないでしょうか。
リモートワークが普及し、イベントもオンライン化やリモート開催が当たり前になりつつある現在。
自分の知識や特技を生かしたオンラインイベントを開催する際には、「投げ銭」システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。