昨今、ワイヤレスイヤホン売り場には様々な商品が並びますが、その火付け役はやはりApple純正の「AirPods」シリーズです。
iOS、Androidの両OSに対応していますが、特にiOSとの相性は抜群。格安SIMでもiPhoneを使っている場合には、ワイヤレスイヤホンとして、まず検討したい製品と言えるでしょう。
しかし、同シリーズには、2019年3月に第2世代目として発売された「AirPods」と、同年10月に発売されたアクティブノイズキャンセリング対応の「AirPods Pro」の2種類があります。本稿では、両者の違いについて改めて確認していきましょう。
目次
デザインの違い
AirPodsシリーズは、充電用のケースの中にイヤホン本体を収納する構造になっています。このケースはモデルによってサイズが異なり、AirPodsは縦長な高さ53.5×幅44.3×厚さ21.3mm、AirPods Proは横長な高さ45.2×幅60.6×厚さ21.7mmです。
▲AirPodsとAirPods Pro
内部のイヤホンも、それぞれデザインが異なります。まず、AirPodsは耳に収納する部分から伸びた棒状の部分までが樹脂素材で共通しています。棒状の部分も直線的な形状です。
一方、AirPods Proは耳に収納する部分がイヤーチップの取り外しが可能なカナル型になり、耳に装着した際の密閉度が増しました。棒状の部分も短くなり、やや折れ曲がった形状になっています。
▲AirPods(左)とAirPods Pro(右)
機能、操作性の違い
ケースの蓋を開けて取り出すだけで、iPhoneなどの機器と自動で接続できる手軽さは両モデルで共通しています。しかし、曲を再生・停止したりするような操作方法は両者で異なります。
AirPodsでは棒状の部分を指でダブルタップするように、トントンッと振動を与えて操作します。一方、AirPods Proでは、棒状の部分をギュッと指で挟むようにして感圧センサーを利用した操作方法に変わっています。
そのためAirPodsでは動作を割り当てられる操作が「ダブルタップ」1つだけでしたが、AirPods Proでは挟み込み方によって「1回/2回/3回/長押し」の4通りの操作を使い分けることができます。
▲AirPods Proは、軸にある感圧センサーで複数の操作が可能に
▲接続中のAirPodsの設定画面は、「設定」アプリの「Bluetooth」から接続中のデバイスの(i)マークをタップすると開く
冒頭でも述べた通り、アクティブノイズキャンセリングに対応しているのは、AirPods Proだけ。搭載されたマイクがノイズ認識し、耳の中にノイズが届く前にそれを打ち消し、さらに内部に入ってきたノイズの残りもしっかり打ち消される仕組みを備えます。
さらに「外部音取り込み」モードに切り替えれば、イヤホンを外すことなく、車の走行音や、電車のアナウンスなどの環境音を確認できるようになります。
▲ノイズキャンセリングのオン・オフは、iPhoneのコントロールセンターで、音量調節のバーを長押しして表示される画面でも変更可能
両モデルを使ってみた印象について
AirPodsとAirPods Proの両モデルを使った印象として、どちらが良いかは、好みや使用シチュエーションによって分かれる傾向が大きいと感じました。
電車内での利用、環境音を遮断したければProを
例えば、地下鉄で通学や通勤をする際に、英語のリスニングを行いたかったり、音楽の歌詞をはっきり聞き取りたいような人は、AirPods Proを選んだ方がよいです。
アクティブノイズキャンセリングを有効にすることで、電車内の大きなノイズもほぼ気にならない状態になります。
なにより、AirPods Proでは、音量を無駄に上げる必要がなくなるため耳にも良いことも嬉しいポイントです。
また、自宅やカフェなどでのテレワークで、環境音を遮断して作業に集中したい人にも、ノイズを遮断できる機能は重宝するはずです。
音質は、仕様を見る限り、低音域から高音域までが強化されたとあります。実際に聴いてみた感想として、フラットで万人受けする音質だと感じました。
Air Podsでも十分高音質。つけ心地の好みも
一方、普段からノイズの多くない場所で使用する分には、通常のAirPodsでも十分満足できます。AirPods Proとじっくり聴き比べると低音域などの表現で劣る部分もありますが、決して音質が悪いわけではありません。
また、耳の形によっても差があるとは思いますが、ランニングのような運動で使うならば、イヤホンが外れることはほぼありません(ただし、ダンスやバスケットボールのように遠心力がかかる運動では、密閉度の高いAirPods Proの方がオススメ)。
むしろ、密閉された装着感を好まない人にとっては、AirPodsの着け心地の方が気に入るというケースもあるはずです。
ちなみに、両モデルともに、レイテンシー(遅延)は小さいもののわずかに存在します。
リズムゲームのように僅かな遅延も許されない使い方をする場合には、内蔵スピーカーや有線イヤホンを使った方が良いですが、それ以外の通常のゲームアプリや動画視聴などでは全く問題なく使用できました。
価格について
AirPods Proの価格は、2万7,800円(税別、以下同)。AirPodsはケースをワイヤレス充電対応のものを選ぶのか、非対応のものを選ぶかで値段が変わります。「AirPods with Wireless Charging Case」は2万2,800円、「AirPods with Charging Case」は1万7,800円です。
1万円差は決して小さくありませんが、想定使用用途によってAirPods Proの方が適していると思えるのであれば、すぐに元が取れる差でもあると思います。