年に2回開催されているコミックマーケット。「オタクの祭典」としてメディアでもしばしば話題になりますが、なぜ50万人以上もの人が毎回集まるのでしょうか。
今回はコミケに何度か足を運んだことがある筆者が、コミックマーケットがどんなイベントなのか解説します。
目次
コミックマーケットとは?
「コミックマーケット」とは、世界最大の同人誌即売会。「コミケ」「コミケット」などと略されます。メディアなどでも取り上げられる機会が多いため、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
コミケは年に2回、8月のお盆の時期と12月の年末に、それぞれ3日間にわたって開催されます。ただし、2019年は夏冬のいずれも4日間開催、2020年はゴールデンウィークに移動しての開催となっています。
期間中の一般参加者数は、のべ50~60万人ほど。4日間開催となった2019年夏は、73万人もの人が訪れました。日本最大の野外ロックフェス・ROCK IN JAPAN FESTIVALの来場者数でも30万人以下ですので、約2倍の数ですね。イベントのジャンルが違うため一概には比較できませんが、それでもコミケの規模の大きさがなんとなく伝わるのではないでしょうか。
「同人誌」とは?
コミケと言えば、世間的には「オタクの祭典」として有名なイベント。そこでしか手に入らない限定グッズが販売されていたり、ファンがつくった同人誌が売られていたり、大勢の人がコスプレを楽しんでいたり──と、そういったイメージを持っている人も多いかと思います。
中でも特筆すべきは、やはり「同人誌」の存在ですね。同人誌の定義は一言では説明できないのですが、コミケで見られるものの多くは「アニメ・マンガ・ゲームなどを題材にした、ファンメイドの雑誌」であると言えます。
これらは、いわゆる「二次創作」と呼ばれるもの。
たとえば、あるアニメについて「最終回のその後」を考えてみたり、あるマンガについて「もしかしたらこういう展開があったかもしれない」と想像してみたり、作中のキャラクターについて「こんなやり取りがあったかもしれない」と妄想してみたり。同人誌ではしばしば、そのような世界が描かれます。
つまりファンの各々が、自分の考える「IF(もしも)」の世界を自由に想像して描いているわけです。アニメやマンガのキャラクターになりきる「コスプレ」もまた、二次創作の一種と捉えてもいいかもしれません。
同じ作品、同じキャラクターであっても、表現の幅は無限大。十人十色の表現と、千差万別の世界を垣間見ることができる。それがコミケの大きな魅力なのです。
二次創作だけじゃない!同人誌の魅力
「オタクの祭典」として名高いコミケ。メディアではアニメやマンガと紐付けて報道されることが多いため、なんとなく「アニメオタクが集まるイベント」というイメージが強いですよね。
ところが、コミケ会場で見られる同人誌は、何もアニメやマンガに限定されているわけではありません。いくつか例を挙げてみましょう。
- 鉄道ファンによる列車の写真集
- ミリタリーオタクが書いた戦車の解説書
- アイドル好きがまとめたライブツアーのレポート本
- 洋楽マニアが初心者向けに書いた入門書
このような同人誌も、コミケでは数多く見られます。
また、ミリタリーやアイドルの本は「マニア」向けですが、たとえば「グルメ」や「旅行」の話題はどうでしょうか。
都内のコロッケ屋をめぐる食レポ本や、パスタ料理に特化したレシピ集、全国各地のおみやげカタログ、京都のおすすめ観光スポット紹介など、食や旅にまつわる同人誌は人気ジャンルのひとつ。「自分は何のオタクでもない」という人でも、きっと興味深く読めるはずです。
かと思えば、逆にあまりにもニッチすぎて、商業誌ではなかなか見つけられないような同人誌もあります。
自分が見たことがあるものとしては、ある地域の民話集、古式泳法の解説書、黒魔術や魔法陣のハウツー本、住宅地で見かけた室外機の写真集など。「好きな人いるの!?(※褒め言葉)」という驚きがまずありますし、しかも読んでみると思いのほかおもしろいんですよね。他には、ハンドメイドのアクセサリーを作っている人もいます。
このように「オタクの祭典」としてのコミケは、アニメやマンガが好きな人だけをターゲットとしているわけではありません。そこはありとあらゆる趣味人の偏愛と出会うことのできる場所であり、どのような表現も受け入れられる、自由な空間が広がっているのです。
ただしメディアで報道されているとおり、人混みがすさまじいこともあって、なかなか他人には勧めにくいイベントでもあります。
お昼過ぎくらいに行けば、入場で並ぶことは回避できるかも。興味のある方は、一度足を運んでみてください。